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大空のフィア  作者: マッチポンプ
前編 七人の巫女と光の皇
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4

「最後の属性だ。世界を統べる、超稀少属性、天属性。特性は調整だな」


 始まってすぐに、質問でクラスが沸き返る。


「天属性ってすごいんですか?」

「調整ってなんですか?」


 いろいろな質問が飛んでくるが、善大王はそれらをかいつまんで説明することにした。


「とりあえず、軽くまとめるが……天属性は世界でも数少ない属性だ。全属性は相性で強さが決まるが、この属性は容赦なく最強属性と断言できる」


 今頃部屋で本を読んでいるであろうフィアを思い浮かべながらも、善大王は黒板を確認せずに告げる。


「特性の調整というのは、全属性の持つ特性を打ち消すことにある。これについては、後ではなそう」


 その言葉に期待感を煽られ、生徒は黙り込んだ。


「攻撃性質は全属性のものだ。砲撃、剣、槌、槍、斧、暗器、全ての種類を使えると言われている。属性色は橙色だ」


 それで全ての説明が終えられ、善大王は改めて説明に入る。


「七属性は虹の七色とも言われている。ただ、相対は色に関わりなく存在している……対抗属性のことだ」


 善大王は全生徒が板書を終えたことを瞬時に察知し、黒板を消してから新たに書き始める。


「火と水、風と雷、光と闇、これらが対抗属性とされるものだ。これらの特性は互いに反対のものであり、火で起こした異常に水の正常を使えば異常をその分軽減できるわけだ」


 全員が納得したのを確認してから、善大王は続きを話す。


「術の順列とはつまり、特性の強さを表している。火の二十番を消すなら、水の二十番より上が必要、といった風にな。言うまでもないが、上回ればその分だけこちらの特性を増して与えられるわけだ」

「特性を増して?」

「火属性によって火が身体に燃え移った人がいるとするだろ? それが二十番ならば、水の二十番を当てることで火だけを消せる。二十番よりも上で行えば、火を消した上で正常の特性が発動され、火傷まで治るってことだ」

「なら、強い順列を覚えるのが大事ってことですね」


 善大王は人差し指を振り、それは違うと示した。


「君たちの使う下級術ならそれで合っているが、上級術や中級術ともなると、少し順列を上げるだけでも一苦労だ。ここで大事なのは、相手の力を無力化する方法がある、というところ」


 事前に書いた文字を指差し、善大王は告げる。


「同一の順列でも相手の術を打ち消すことができる。これは特性がぶつかり合って、互いの効果がゼロになって起きる現象だ。ここまで言えば分かるだろう? 天属性の調整の意味が」


 女子生徒の八割は理解できなかったようだが、利口な男子生徒の一人は手を挙げた。


「天属性は全ての属性の対抗属性になれる、ということですか?」

「うむ、いい答えだ。天属性は言ってしまえば、全ての属性の特性を持っている。だからこそ、どんな属性と相対してもそれを打ち消すことが可能──とまぁ、結論からいえばこれで終わりだな」


 それだけではないとばかりに、説明を始める。


「実際は、打ち消すことに特化した属性というべきだな。天属性は多少の順列差を無視し、強制的に効果をゼロにできるんだ。ここで大事なのはゼロ、というところ。他の属性ならば上回った順列分の特性を出せるが、天属性は消し去った時点で頭打ちなんだ」

「それって弱くないですか?」女子生徒は言う。

「これは難しい話だが、天属性は人間が起こす異常現象を正す属性、という見方もある。だからこそ、自然の現象とは違う方法で発生した火やら水やらを消すだけ消して、それで終わりにしているんだ」


 これについては生徒はあまり理解できていなかった。

 天属性は世界の秩序を守る属性。だからこそ、この属性自体が何かしらの効力を残すことはない。


「一応説明しておくが、属性の攻撃力は雷、天、火、風、光、水、闇の順番になっている。それぞれにかなりの差がある為、雷属性の中級術は光属性の上級術に相当する、とも言われているな」


 術の攻撃力は、その属性が攻撃術をどの程度重要視しているかで変わる。風はほとんど真ん中であり、戦闘は術を主としている。

 境目は光。ここからは肉体戦闘に特化、回復に特化、洗脳に特化と、攻撃術での戦闘に重きを置いていないのだ。


「属性講義はここまでだ。次からは本格的に《導術》を教える」


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