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大空のフィア  作者: マッチポンプ
後編 ダークメア戦争
611/1603

2t

「は? そんなことありえねーって。だから言ったっしょ? そんなことをすれば──」

「雷の国に攻撃を行うとした理由は分かりますか?」

「……どーせ報復目当てっしょ? アタシらが闇の国を見逃したって因縁をつけたいだけだし」


 あくまでもその意があったとは言わず、ライカはある意味大人な対応を取った。


「はい、雷の国(あなたがた)が見逃したのは自明の事ですが、あの人はそれを大義名分に利用しようとしているのです」

「は? 言いがかりも程々に──」

「フォルティス王の目的は雷の国の占領です。その点からすると、先ほどのライカちゃんの方法では不足が生まれます」


 あまりに突飛で、不合理であったからか、電撃姫は嘲笑を向けようとした。

 しかし、シアンの真っ直ぐな瞳に気圧され、喉奥にまできていたそれは押し戻された。


「もとより、フォルティス王は戦争を起こそうとしていました。その前に夢幻王──ダークメアが宣戦布告をし、魔物の襲撃が発生した為に延期されていただけにすぎません」


 あり得ないと言うのは簡単だが、水の国の文化路線の軽視、急激な軍国化が戦前から起きていたことを考えると、これを断じるのはいささか浅はかと言える。

 ライカから笑みが消えるのを確認すると、シアンは海上部隊総司令の顔になった。


「ライカちゃんに頼みたいことがあります」

「今の話を聞いて、アタシが聞くと思うっての? ……なんならここで消してもいいし」


 この場はフィアによって作り出されたものだが、当の(あるじ)は席を外しており、両者の仲裁を行える人物は不在と言える。


「この場所では戦えませんよ。それに、無理を言うつもりもありません」

「……とりあえず、聞くだけは聞いてやるし」


 歌姫は笑みを浮かべ、会釈をした。


「両国の争いを止める為、フィアちゃんとティアちゃんには協力をお願いしています」

「アンタにしては目の付け所がいいじゃん。あの淫乱と馬鹿なら、簡単に懐柔できそうだし」

「……あの二人なら自由に動け、かつ停戦という目的に協力してくれると判断しました。ライカちゃんの言ったような理由ではありません」

「アンタも言うようになったじゃん」


 口は悪いが、ライカの言い分も的を射ている。

 フィアとティアは《星》の中では圧倒的な穏健派で、協力を申し込めばそうそう断ることもない。何より、勢力が余裕を持っているという強みもある。

 アルマは戦闘に適しておらず、ライムについては現在進行形で敵国に在る。こう表現すると、とても分かりやすいかもしれない。


 ──しかし、淫乱というと両者に当てはまるのではないだろうか。


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