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「で、なんであんたが乗っているのよ」
「いや、あれだよ。旅は道ずれ世は情けってね」
ミネアは俺を蹴り飛ばし、馬車の外へと掃きだした。
「誰があんたみたいな変態と乗るなんて言ったのよ」
「いいじゃないか、同じ変態同士、仲良くしよう。そうしよう」
そうしてもう一度馬車に入ろうとすると、汚物を扱うような足蹴りを食らい、俺は外へと出されてしまう。
「は? だから、乗せるわけじゃない。それに、あたしは変態じゃないから」
「じゃあその手に握ったパンツはなんだよ! シアンのだろ!」
「あんたには関係ないじゃない!」
「いや! 関係ある。シアンのパンツ代は俺が支払っている。よって、下取り代金としてそれを受け取る権利は俺にあるのだ。分かったかいミネアちゃん」
幼女に睨まれると、とても嗜虐的になってしまう。俺は幼女に蔑まれて快感を覚えることも可能だが、どちらかというと従わせたくなる。
「よし、パンツの権利を譲ってやろう。その代わり、この馬車を俺にも使わせてくれ」
「パンツは関係ないじゃない」
「まったく、困った子だ。……一応言っておく、俺はシアンの紹介でここに来ている。なにも、ミネアを困らせようとしているわけじゃない」
「シアンちゃんが? 本当なの? こんな時に――いや、善大王には頼れないか」
どうやら、シアンが関係しているとなると少しは甘くなるらしい。
「ああ、本当さ。どうにもシアンは国を自由に動かせる権利を持っていないとさ」
「なら、フォルティス王に頼めばいいじゃない」
「あんなシアンを大切にしない奴に頭を下げるなんて御免だね」
「……ま、それは同感だけど」
ミネアは目線を逸らすと、足を床に置いた。「シアンちゃんの顔を立ててあげる。乗りなさい」
俺は黙ってミネアの横に乗ると、扉を閉める。
「じゃ、数日間は世話になるぜ」
そう言ってミネアの肩に手をまわした瞬間、足が踏みつけられた。




