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大空のフィア  作者: マッチポンプ
中編 少女と皇と超越者
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藍と闇の交差α

 薄暗闇の中、木々生い茂る森の中でローブを羽織った二人の少女は周囲を警戒していた。


「そっち行った」


 背の小さい方の少女は一本の木を指差すと、隣に居る少女へと合図を送る。


「お任せあれ!」


 合図が送られた瞬間、少女の足は地面を離れ、宙を滑るかのように高速で指差された木へと向かった。

 しかし、走った少女は減速すらせず、頭から木にぶつかる。


「痛ったぁ……」


 自分の頭を左手で撫でながら、彼女は右手を真上に掲げ、木より落ちてきたなにかを掴んだ。


「この子が依頼に書いてあった?」

「背中に黒い三本線の入ったモモンガ……うん、この子がモモタンであってるね」


 モモンガを捕まえた少女は、律儀にも動物でしかないモモンガに謝罪し、毛布で包み込む。


「お家に帰してあげるから、それまでは我慢してねっ」


 背の低い少女は腰に付けていた袋から折り畳まれた紙を取り出し、それを見せた。

 それをじーっと確認した後、モモンガを抱きかかれている少女は音読する。


「闇の国の農家、星霊が暴れ回る時期なので手伝いお願いします……この依頼書がなに?」


 この行為の意図を本当に理解していないらしく、首を傾げていた。そんな彼女に呆れていたのだろう、背の低い少女は溜息をつくと、説明を始める。


「この依頼の期限はもう近いけど、間に合うの? それに、その子も今日中に届けなければいけないはずだし……」


 背の低い少女は心配そうな顔でそう言ったのだが、その心配など吹き飛ばしてしまうような、不敵な笑みで返事の代わりとした。


「そうだよね。起きた時にまたいないって思ったら、悲しいからね。よしっ! 目を覚ます前には、ちゃーんと、お家にお届けしないとねっ!」


 雲の切れ間より月が覗き、それまで薄暗かった闇は僅かに払われ、毛布を抱えた少女の顔が明らかとなった。


「《カルマ騎士隊》正義の為に頑張るぞぉー! おー!」

「お、おぉー……!」

「エルズ! 元気が足りないっ! 頑張るぞー!」

「おぉー!」

「よしっ! じゃ、いこっか」


 エメラルドのように澄んだ緑色の瞳を月光で輝かせ、少女は夜の森を駆けた。


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