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大空のフィア  作者: マッチポンプ
中編 少女と皇と超越者
276/1603

9

 ──それから数日が経ち……。


「善大王さん、ふーちゃん、おかえりなさい!」


 いつものような眩しい笑顔で二人を出迎えるアルマ。ただ、肝心の二人は対照的な反応を示している。


「ああ、ただいまアルマ。元気にしていたか?」

「アルマはいつも元気だよぉ」

「はは、それなら良かった」


 相変わらずな善大王と、申し訳なさそうであり、不満そうでもあるフィア。

 気になったのか、アルマはフィアの元に近付く。


「ふーちゃん?」

「……ごめん、アルマ。ライトと結婚……結婚──けっこんできなかったよぉぉぉおおうぇええええん」


 いきなり泣き出し、アルマは驚愕した。しかし、すぐにフィアを抱擁し、頭を撫でる。


「よしよし」

「やだぁああああけっこんしなきゃやだぁああああ」

「もう決着はついたはずだろ! もう駄々こねるな引きこもり娘!」

「だって、だってぇ……」


 アルマは泣いているフィアを宥めながらも、懐から指輪を取り出した。


「はい、ふーちゃん」

「えっ……でも、結婚できなかったから……」

「えんげーじりんぐってのにしたらいいと思うよぉ」

「エンゲージリング……婚約指輪! やったあ! これでライトと婚約できるよ!」

「いや、できねーよ……」


 呆れ気味な善大王を知ってか知らずか、フィアは元気を取り戻し、アルマにお礼をする。


「アルマ、ありがと!」

「どういたしまして」


 受け取った指輪は、鏡面仕上げのシルバーリングだった。善大王でも付けられるように、デザインを考えたのだろうか──ダーインが。

 流れで渋々受け取った善大王は指輪を嵌め、掌を返しながら贈り物を見つめていた。


「アルマが作ったのか?」

「うん、そうだよぉ」

「へぇ……なかなかうまいもんだな。偉いな、アルマは」

「えへへ……なでなでしてほしいなぁ」

「うむ、ではそうしよう」


 善大王に撫でられ、アルマは純粋に幸福を感じていた。

 フィアに気を遣えば心苦しいかもしれないが、このご褒美は彼女としても譲れなかったのだろう。


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