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大空のフィア  作者: マッチポンプ
中編 少女と皇と超越者
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1

 ──ライトロード城では……。


「お腹空いたなぁ」


 天の国で善大王が結婚の試練を受け始めた頃、アルマはそんなことを言っていた。

 ぼけーっと外を見ていたアルマは、お菓子を食べに行こうとする。

 しかし……。


「あっ、ふーちゃんからだ!」


 彼女は頭に鳴り響く音に気付くが、それは通信術式ではない。どうにも、《星》での回線を使っているようだ。

 強制介入ができるが、フィアは気遣いを覚え、きちんと事前に通知を送るようにしている。

 それで気にする《星》ではないものの、主にミネアやライカからすれば都合がいいことだろう。


「はぁーい!」

『……あっ、アルマ? 今大丈夫?』

「うん、大丈夫だよぉ」


 確認を取ると、急にフィアの声は小さくなった。


『ねぇ、アルマ。指輪作ってくれない?』

「えっ? なんでぇ?」

『ライトと結婚するのよっ! お父様に頼んだら、ライトが試練を受けてくれることになったの。で、よゆーで合格してるから、今の内に作っておきたいなぁって』


 善大王が了承していない──当人が勘違いしている──状態で指輪を欲するなど、性根は元の通りなのだろう。

 ただ、アルマが彫金を得意とするか、と言われると──そうではない。


「うんっ! いいよぉ」

『ありがと! じゃあ、お願いね』

「わかったよぉ」


 完全な、安請け合いだった。

 ただ、同じ頭空っぽのフィアと比べ、アルマは何も考えていないわけでもない。


「せっかくなら、なにかおまじないをしておこうかなぁ」


 弱そうに見えるアルマだが、彼女も歴とした《星》。得意分野も存在している。

 彼女が好んでいるのは、封印系統の術。《救世(セイヴァーリパルス)》や《魔封ヘヴンズシール》などが頂点に位置するに術体系だ。

 そもそも、彼女が封印術を取得することになったのは、先代善大王が原因なのだ。


「どんなおまじないがいいかなぁ」


 アルマはアルマなりに真剣に、親友の為になにかをしよう、と考えているらしい。

 《魔導式》の構想を練りながら、過去に想いを馳せる。

 彼女は決まって、こうしていた。封印術を作り出す時、現代に流れるイマジネーションだけではなく、それ以外の要因を捉えている。

 ただ、それは技巧というわけではなかった。

 ハーフエルフとして持った、天性の直感というべきか。情景を思い浮かべ、感じた気持ちや想いだけで、自然と《魔導式》が構成されていく。

 努力を知らない天才が、歌や詩を自然と思いつくように。

 巡りし思いは(フィア)への祝福。善大王への激励。そして──先代善大王とも、楽しかった記憶。


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