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大空のフィア  作者: マッチポンプ
後編 ダークメア戦争
1227/1603

20n

 ――ライトロード城、壁内にて……。


「ダーイン……殿」

「バルバ氏、ニセモノを用意するというのは、適切ではないのでは?」


 誰もが困惑する中、ダーインは自身の強力な光属性の導力を放出し、当主を光で包んだ。

 すると、藍色の霧のようなものが霧散し、金色の鮮やかさは薄れる。


「信者をこのように利用するなど、前法王と変わらないように思えるが」

「……前法王……バール様のことですか?」

「無論」

「よくいいますね。あのお方を葬ったのはどなたですか?」


 ダーインは黙っていた。


「元宰相、シナヴァリアだ」


 民衆はざわついた。


「貴族は我ら教会が不都合だからと、法王を暗殺した。正規の手段ではなく、何者かがやったと隠して行った! それこそが悪性の根拠だ」

「それが、私に何の関係がある」


 大貴族が一切擁護に入らなかったのは意外だったのか、バルバは言葉を失った。


「バルバ氏、あなたが行おうとしているのは、教会による国家の掌握だ。だからこそ、貴族という……正統王家という、この国の基幹を壊そうとしている」

「何を根拠に」

「本人から聞いたのだよ。あなたが秘密裏に捕らえていた、正統王家当主より」


 再び、バルバは絶句した。


「捕らえたのはつい最近のこと。それまで、あなたが我が主を傀儡の如くに動かし、この国を自在に動かしていたのだろう? こちらにも大きな不都合がなかっただけに、対応が随分と遅れた」

「正統派の首魁が言っても何の証拠にもならないでしょう! ただ己が身、己が地位を守る為に――」

「生憎、こちらは別件で教会の悪行……いや、正体を突き止めたのだよ。皮肉にも、魔物の口からね」

「魔物の……?」

「オーダー、人間を家畜として扱うことを是とした知的魔物の集団。それが教会を利用していたことはこちらも聞き及んでいる」

「それは、前法王の……」

「今回の奇襲、彼らから聞いたのだよ。だからこそ、手を打つことはできた」


 魔物が明かすはずがない、と考えるのは簡単だった。

 しかし、断言はできなかった。現に、ローチは実験の完成の末、首都を無差別に攻撃したのだ。


 あの時はアルマがいたからこそどうにかなったが、教会が本当に救われる保証はなかった。


「……それがどうしたというのだ!」

「なに?」

「あなたは私の所業を追及しようとしているようだが、それに何の意味がある?」

「……」

「魔物の接近は近い。滅ぼされてしまえば、真実は闇に溶ける。終わりだよ、お前達は」

「終わり……か、そうかもしれない。我々はアルマ姫を欠き、善大王様も不在だ。このまま衝突することになれば、滅びは必至だ」

「善大王……か。好都合なはずだが、あの男がいなかったのが誤算だった」


 奇妙な言い分に違和感を抱き、ダーインは黙る。


「あの男を消すことこそ、我々の真の目的だった」

「我々? 教会のことか」

「……ハハ、この時まで隠し通せたというわけか! 

教会? そんなものは仮初めの所在にすぎない。クラークの弟と聞けば、分かるか」


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