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大空のフィア  作者: マッチポンプ
後編 ダークメア戦争
1139/1603

16y

 アルマが戦場に立ったことで、士気は著しく高まった。

 彼女を危険から遠ざける為に、戦士達はそれまで以上に活躍し、またアルマの支援によって強化の度合いも高まっていた。

 ほどなくして、敵戦力のほとんどが打ち倒され、敵の撤退が確認される。


 勝利した、と誰もが考えて安堵する一方、相手が退くまでは片隅に注意力を残していた。

 アルマは全員の連携、実力に驚く一方、強い喜びを覚えていた。


「みんな、強いね!」

「はい! 皆、ライトロードの精鋭ですから」


 インティは自分もその一員であることを誇らしく思い、姫の問いに謙遜一つなく応えた。

 ただ、それは(おご)りではない。あの絶望的状況をひっくり返した、というのはそれだけ凄まじいことなのだ。


 魔物の姿が見えなくなるまで、しばらく掛かったが、無事に全個体が逃げ終えるのを確認して騎士達は歓声をあげた。


「アルマ姫、大丈夫でしたか!」


 戦闘終了によって持ち場を離れることを許されたダーインが、いの一番にアルマのもとへ現れた。


「わあぁ! ダーインさん久しぶりぃ」

「はい……長らく国を空けたこと、心より――」

「ううん、いいの。ダーインさん達が帰ってきてくれたなら、百人力だから!」


 彼女の眩しい笑顔を向けられながらも、ダーインはなにか引っかかりがある、と言いたげな表情をした。


「どうしたの?」

「姫、教会の者達が魔物と連なっていることは」

「……うん」

「証拠は」

「ううん。何もないの」

「なら、安心してください。私の方で、教会の悪事を突き止めました」


 予期せぬ言葉に、アルマは目を丸くした。


「えっ、どうやって!?」

「自由に動ける者に頼んでいたのですよ。その結果、連れ去られた者達は――」


 そこで言葉を切り、彼は視線を逸らした。


「姫、我々が決起する時、皆を導いていただけますか?」

「えっ……う、うん! 任せて」


 ダーインはここでようやく笑みをみせ、彼女の隣に控えていたインティに目を向ける。


「この件については口外しないように」

「は、はい」


 釘を打った上で、続きを述べ始めた。


「我々は首都近くに陣を張り、しばらくは待機する予定です。教会の者達を追い落とすのは、翌日以降にしましょう」

「お父さんは、大丈夫かな」

「……心配なさらないでください。お父上に飛び火しないよう、正統派(われわれ)が手を尽くしますので」


 結果的にそうなったとはいえ、現在の統治者は正統王家の当主なのだ。

 現政権の問題を追求しようと思えば、当然のように彼にも波及することになる。

 とはいえ、それを防ぐ方法は幾らでもあり、大きな問題ではなかった。


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