第33話 恋が恋じゃなくなる日……?
夏休みが終わり、二学期がやって来た。再開するスクールライフに、友人と触れ合う日常がまた訪れた事を喜ぶ者もいれば、また勉強漬けになる生活に嫌気を差す者もいるなど、その思いは様々だ。
そして、少女もまた、頭を悩ませていた。
彼女はある日、指先を伝ってきた衝撃を恋と認識した。それ以来彼女は彼に夢中になった。
しかし、その感覚が実は全く異なるものだったのなら、あの時彼女が覚えた感覚が恋の感覚ではなかったのなら。
私は今、恋をしていないのだ。
そう思うと、何だか急に彼に対する意識が変わった。様な気がする。
彼の些細な仕草に心を動かされていた自分が、何だか今は遠くに行ってしまったみたいだ。
そう、私は今、恋をしていないのだ。
となると彼女の今後が変わってくる。恋をしていないのならば今まで後回しにしていた侵略について再び考える必要がある。彼女の悩みが無くなった今、彼女がなすべき事は侵略それ以外に無い。
そう、私は今、恋をしていないのだから。
だけどどうしてだろう。そう強く思っても今でも彼とのやり取りの中で依然として心ときめく瞬間がある。私は今恋をしていないのに。
教室でふと彼の事を考えるとやはり顔が綻ぶ。私は今恋をしていないのに。
彼女はこの不思議な現象に頭を悩ませた。恋をしていないはずなのにまるで恋をしていた頃と同じような心持ちになる。自分の心ながら、なかなか理解出来ない。
彼女がその現実を受け入れ始めた時、気が付くと再び以前と同じ様になっていた。彼の一挙手一投足に心が惹かれ、言い難い衝動が彼女を揺り動かす。
私は今、恋をしていないはずなのに。
だが、彼女はわかったのだ。
自分が今、恋をしているという事を。
彼女はあの時恋をしていなかった。それは間違いない。しかし彼女はそれを恋だと思い込んだ。だから自分は恋をしているんだと思い続けていた。
でも違った。彼女は恋をしていなかった。
いや、していた。
いや、どっちだろう。わかんない。
そうだ、きっとこれが恋なんだ。
あなたと過ごす日々の中で、知らず知らずの内に私は、あなたの事を心から好きになっていたのだろう。
私は今、恋をしている。私は今、恋をしている。
私は今、恋をしている。
そして彼女は今日も頭を悩ませる。
私は今、恋をしている。





