鬼先生
「森下、今日は逃がしません。掃除してもらいますからね」
「あぁ、そうだな〜」
今俺は鈴原に首を後ろからつかまれ、旅行に使うときのキャスターバックみたいにひきずられている。
視線が痛い。
廊下で掃除をしている生徒や、話している生徒が俺を思いっきり見ていた。
いつも風紀委員まがいな事をしている。
そんなことをしているため、俺と大地が話してると、叫びながら追いかけてくる。
俺は被害者なのにな〜、こいつと関わると大地とは別の意味で面倒だ。
「森下、何か失礼なこと考えてない?」
鈴原がこちらに顔を向けて笑っている。
腕に力が込められて首が痛い。
笑っているのだが、何かが背筋を走る感覚がする。
「なっなんでもない!」
こえ〜、今殺されるかと思った。それにしてもなぜわかったんだ?
今も早く逃げ出したいが鈴原に首をガッチリと掴まれている。
この拘束から逃げれたとしてもすぐに捕まるだろうしな〜。こいつスポーツテストの100mで11秒を出している。ついで言うと鈴原の握力は50だ。
そして俺は100mは13秒。走ったところで二秒もしないうちに捕まるだろう。そしてその前にこの怪物握
力から逃れないといけない。問題は山ずみだ、そんな面倒なことをする気はさらさらない。
「そう言えば俺の掃除場所って何処〜?」
俺は掃除が始まるたびに逃げていたので今まで一度も掃除をしていない。
「そっそれは〜、何処だったかしら」
俺を探してるうちに忘れたらしい。
「どうするんだ?」
「先生に聞くしかありませんね」
「先生って、どの?」
「担任の先生に決まってるでしょ、ほかの先生に聞いてもわからないわよ。そういえば昨日の放課後先生が5.6時間目をサボった森下を見つけたら職員室につれて来いっていってたわね〜」
あ〜、死亡フラグがたっているみたいだ。しかも昨日から。こいつはどうしたものか、このまま行けば確実に殺される。だが逃げるにしてもこいつから逃げれる確立は0だし〜。
「困ってる様ですね」
と、考えていると右から誰かが耳元で囁いてきた。
ん? いつの間に、鈴原に気付かれずによくココまで近寄れたな〜。
鈴原に気付かれずに俺の横まで来た奴に興味があるので、囁かれた方向に頭を向けようとしたが、今は首をつかまれ動かせないので目だけで右を見た。
そこには川村が、気配を殺しながら付いてきていた。
ふ〜む、川村は何か謎だ。
「かなり困ってる。助けてくれないか?」
助けてくれそうなので聞いてみた。
「嫌です」
「ぶふっ、お前ひでぇな!」
きっぱりと断られ、俺が叫んだ時には川村はもう既に階段を降りていた。
「森下、何がひどいんだ?」
鈴原がこちらに向き、腕の力が強くする。
「ちょ! ギブギブ! それ以上強くされたら折れる〜〜!」
俺は思いっきり抵抗した。
抵抗した時に、丁度腕がスカートの中にはいり、大きくまくれあがった。
「あ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
鈴原は顔を真っ赤にしてスカートを両手で押さえた。
こ、これはやばい、真剣に殺される。
幸い鈴原の拘束は外れたので俺は死ぬ気で走り出した。
「はぁ、はぁ、死ぬかと思った」
「おつかれちゃ〜ん」
「古いな」
「古いか?」
今俺は鈴原からの追跡を逃れ、大地と一緒に屋上のいつもの場所で休憩している。
「それにしてもよく鈴原から逃げ切れたな。俺でも校舎だけって限定されたら逃げれないのに」
大地の逃げるは既に人間の限界を超えかけている。
「そりゃ死ぬ気だったしな。お前は窓が閉まっててもぶち破ってでも逃げるだろ、限定とか関係無しにさ」
「さすがに窓まで割って逃げようとは思わないよ。せめて人を盾に使うくらいさ」
それも充分ダメだろうと思うが俺もするのでつっこまない。
「まぁ逃げれたのは運がいい事にバナナの皮が落ちてたのもあるがな」
そう、本当に俺が逃げれた理由はバナナの皮が廊下の曲がる端のほ〜に落ちていたからなのだ。
俺は少し大回りに走ったからよけれたが、鈴原は最短で曲がろうと直でバナナの皮を踏んで思いっきりこけていた。
その後の事は俺は見ていない。
だって怖いじゃん。
「大地お前ひで〜よな〜。俺が捕まってるんだから助けてくれてもいいじゃないか」
「なんでだよ〜。お前見てたほうが面白かったから助ける気なん――――」
「見てたんなら助けろ!」
鳩尾に一発殴った。
「ぐふっ」
「お前は俺が死にそうなめに遭ってるときにたかみの見物でもしてたのか!」
自分で言った事でさらにムカついたので今度は頭を一発殴った。
そっちは全く効いていない様だ。
「たかみの見物をして何が悪い!」
大地は腰に手を当て胸を張って宣言した。
無防備な鳩尾にもう一発拳を叩き込んだ。
「ごほっ! ごほっ! 痛いではないか」
大地は少し苦しがってからすぐに復活した。
「当たり前だ。痛くしてるんだから」
もうそろそろ鳩尾もだめか。だがしばらく待って頭を殴ればまた効くようになるしいいか。
たまに大地が不死身に思えてくる。
それはないか。
「それにしても転校生の川村って奴は腹黒いな」
「なにがだ?」
「だってお前が助け求めたのにきっぱり断ってたじゃないか」
「お前あの会話が聞こえるほど近くにいたのか?」
立ち上がってから大地の後ろにまわり、大地の頭の上に両手を置いた。
「何で俺の後ろにまわりこむ? そしてこの手は何だ?」
「何でもない。質問に答えろ」
「そ、そうか。なら応えてあげよう! まぁ、そんなに近くにはいなかった、お前が通った階段に隠れていただけ、川村が降りて来て俺に気が付き、一部をクスクス笑いながら話してくれた」
言い終わったと同時に、頭の上の手に体重をかけて固定して、大地の背骨を蹴って叫んだ。
「なら助けろ!」
わりと本気だったのは内緒。
「いて〜〜〜っ」
大地は痛さのあまり転がった。
「おいおい、こんな狭いところでころ」
ドスッ。
大地は階段の屋根の上から落ちた。
「がると落ちるぞ〜って、もう遅いか」
一応心配はするか、原因作ったの俺だし。
「大丈夫か?」
俺は屋根の上から飛んで降りた。
ボスッ。
「ぐはっ」
「大丈夫かーって、あれ? 大地何処行った?」
屋上を全体見るようにしてみるが、誰もいない。
「お前の、下、だ」
俺の下から、最後の方が力尽きた声が聞こえた。
下に目線を下げると、そこには死にそうな大地の姿があった。
ん〜、見なかったことにしよう。
大地を置いて俺は屋上を後にした。
大地を置いて屋上を後にしてから10分後、俺は今、廊下にボロ雑巾状態、一言で言うと死にそうである。
なぜこんな状況になったかと言うと、10分前にさかのぼる。
――――――回想――――――
屋上から出てチャイムが鳴り階段を降りていると、目の前に鈴原が出現。
出現した瞬間に鈴原の顔が鬼になった。
当然逃げた。
が、すぐに捕り、半殺しにされた。
あの風紀委員まがいめ、自分が風紀を壊してるんじゃないのか?
しかも何気に凄いことしやがり、外部に傷は見えないように、内部破壊をしやがった。
なんだよ! どうやったら内部だけダメージ与えられるんだよこんちくしょう!
などと思いつつ、半分死んだ身で教室に戻るのに5分、やっとついた教室には当然担任の先生がいるわけで〜。
「も〜り〜し〜た〜、お前今日も掃除サボったな〜」
鬼の声が聞こえてきた。
鈴原とは別の鬼が出てきた。
コレはもう半分確実に殺されるな〜。
名前、姫坂歌倉。
俺のクラスの担任で体育教師。
性別は女。
厳しいが優しい先生。
結構人気がある。
スタイルもかなりいいしな。
だが怒ると鬼のように怖い。
体罰禁止なのに殴ったり蹴ったりしてくる。
正直怖い。俺はこの先生は苦手だ。
とりあえず俺はこの教室から逃げよう。
右向けー右! 俺はそう思って体を180°回すがまだ鈴原から受けたダメージが抜け気っておらず思うように体が動かない。
そこに後頭部にとび蹴りを食らわされた。
「「おお!」」
教室中の男子が喜ぶ。
先生……今日はスカートじゃなかったんですか?
俺は廊下でたまに痙攣をするだけの姿になっていた。
――――――回想終了――――――
そして今にいたる。
あぁ、もう意識が掠れてくる。
そして俺が最後に見たのは、鈴原の黒い笑みだった。
気が付けば俺は自分の机で寝ていた。
今までのは夢かと思ったが体中が痛いのでそれはないだろうと思った。
そして今日もまた、外は暗かった。
外が暗い=教室も暗い、で、ある。
今日は体中が痛い。
丁寧に足は念入りに破壊されているので暗い教室にしばらくいなくてはいけない。
携帯のディスプレイに映る時間を見た。
8:00
…………8時?
!!
「8時だと〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
俺は叫んだ。
叫んだせいで体中に響いた。
くそう……
今日も地獄か。
「もう嫌だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
俺の叫び声が夜の校舎に響いた。
さて、そろそろネタが切れそう(ぁ
このままやるとかなり厳しいな!
けど俺は頑張るよ〜
そして俺はこれ以上話を長く書けない。
だって俺にそこまで長く書くと死んじゃうから(銃声
まぁ、応援してくれたら嬉しいな!w