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意外と黒い転校生

大地が逃げて数分、その間大地を追いかけていたが、タイムアップのチャイムの音が校舎に鳴り響いた。

「どうだった静間? 大地を捕まえられたか?」

クラスメートの一人、野之山永兎ののやまひさとが開いてある窓から顔を出し、俺に聞いて来た。

どうやらさっきの廊下のやり取りを見ていたらしい。

「ハァハァ、あんにゃろ、ハァハァ、逃げ切り、ハァハァ、やがったか、ハァハァ」

俺は息も絶え絶えに説明した。

とりあえず教室に入ろうとしたら、

「な〜に女子見てハァハァ言ってんだ静間」

後ろから俺を挑発する声がした。

声の主は言うまでもなく大地だ。

「誰の、せいだと、思ってんだ!」

俺は振り返りながら拳を固めて残る力を使いパンチを放った、がっ、そこにいるはずの大地はおらず、かわりに永兎の顔があった。

スピードの乗ったパンチは途中で止められるはずもなく永兎の顔面にクリティカルヒットした。

「ぐはぁ!」

ドゴッ!

更に鈍い音をたて柱に後頭部をぶつけ、席と席の間に倒れた。

その光景を見て騒いでいたクラスの連中がいっせいに静かになった。

やべ〜、死んでないよな。この歳で殺人犯何て嫌だぞ。

「静間がとうとう殺人犯に! 何て悲しい」

大地が大声で言う。

「こんな事になったのは誰のせいだと思ってんだ!」

俺は大地に大声で言い返す。

俺が近くで大声を出しているのに全く反応しない。

とりあえず大地を無視し教室に入り、倒れている永兎のもとに行き、息があることを確認した。

よかった、まだ息はしてるな。

とりあえず先生が来てはやばいので、永兎を起こす事にする。

「お〜い、永兎起きろ〜」

肩を持ち揺すりながら名前を呼んでみる。

反応がない。ただの屍のようだ。

クラスの誰かが呟いた。

ゲームに頭を侵されてるな。

「ん、んん?」

声を無視し、しばらく揺すっていると意識が戻ったようだ。

「大丈夫か永兎?」

とりあえず俺の責任が半分なので心配する。

もう半分は当然大地な訳だが、あいつは携帯で何かしている。

おおかたゲームかメールだろう。

今日こそあいつを殺そう。

今は永兎の事を片付けないとな。

間もなくして永兎の意識がハッキリしたのか、返事が返って来た。

「あなたは誰ですか?」

あ〜、お約束ですか?

「冗談だよ! そんなお約束がそうそう起きるかこの野郎!」

永兎はそう言って俺の頭を叩いた。

教室はそれを見るとまた騒がしさが戻った。

さすがにこのクラスも、クラスメートに死人と殺人犯が出るのは御免らしい。

嫌なら手伝えよ。

永兎が無事だと分かったので俺は席に戻ることにした。

俺の席は窓際の一番後ろで横には誰もいなかったのだが、今は郁が座っていた。

そういやクラス一緒だったっけ。まぁいいや、大地追いかけまわして疲れた、昼休みにそなえて寝よう。

いつものように腕を机におき、その上に頭を置いて寝る体制になり数秒、すぐに夢の中に落ちていった。


夢の中、俺は小さな女の子に会った。

その女の子は俺に一言、こう言った。

「私と一緒に死んでくれないかしら」


「怖いよ!」

ゴスッ!

「〜〜〜〜〜ッ!」

いきよいよく立ち上がったために、誰かに頭突きをかましてしまった。

クラスの皆が俺の事を見て黙っている。

最近こんな事多いなと思いながらも、俺は頭をさすりながら横を見るが、そこには椅子に座って教科書を見る郁だけしかいない。

もう教科書貰ってんだな。

など考え、後ろを見ると、山口が大の字に仰向けに倒れていた。

「あ〜」

俺が声を出すと、今まで以上に静かになった。

耳が痛い……、取りあえず何か言わないと。

始めに浮かんだ言葉を口に出そうとした時、

「埋めましょう」

隣からそんな言葉が聞こえて来た。

隣にいるのは勿論郁である。

まさか大人しそうな彼女からそんな言葉が言うとは思わなかった。

その意見に賛成の声(特に女子)がクラ中から響きわたった。

よくこれだけ叫んで隣のクラスの先生が文句を言ってこないのかが不思議だ。来ないほうかつごうがいいのは確かだけどな。

皆が騒いでいると、山口が目を覚ました。

「あれ? 俺はこんなところで何してんだ? それになんだか顎が痛い。まぁいい、そんな事よりお前等! 授業中に騒がしいぞ! 静かにしろ!」

山口の声で皆が静かになった。

「ちっ」

横から舌打ちが聞こえた気がするけどそこにいるのは郁なので聞き間違いだろう、そんな事より気絶する直前の記憶がないらしい。こいつ記憶があればそれを理由に俺を退学にするかもしれんな。

『キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン、キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン』

チャイムが鳴ったので今日の数学は終わった。

そういえば数学って4時間目だったな。取りあえず飯食って、今日は係じゃないけど図書室に行くとするかな。

それだけ思うと席を立ち、購買にパンを買いに行くことにした。

今日もメロンパンでいいか。

売り切れる心配は無いのでゆっくり歩く。

3分もしない内に購買についた。

そこにはラッシュが終わり、荒れ果てた姿の購買があった。

購買のかごの中には数個のパンが入っているだけだった。

その中にお目当てのメロンパンが後1個だけ入っていた。

危ない危ない、残り1個だけだったぜ。

そう思い取ろうとしたら横から別の腕が伸びて来て同時にメロンパンを取った。

「「あっ」」

そして二人同時に声を上げた。

その声はどこかで聞いたことのある声だった。

「もっ森下君」

名前を呼ばれた方向を見るとそこには昨日廊下でぶつかった少女だった。何故か顔を赤らめながらこちらを見ている。

名前を教えてないのに名前を呼ばれるの、今日はこれで2回目だな〜。

などと意味の無い事を思いつつどうしようかとも考える。

「君は誰?」

とりあえず名前を聞くことにした。

「えっと、あの、1−Cの摩美崎咲蔵まみざきさくらっと言います。咲蔵と呼んでください」

咲蔵と名乗る少女は丁寧に深々とお辞儀した。

「あっ、どうも」

こちらもつられてお辞儀を返した。

つられてお辞儀を返すのも2回目だな〜。

とどうでもいいことをまた考える。

「あ〜、昨日はぶつかって悪かった。それと静間って呼び捨てにしてくれてもかまわん」

名前は何故か知っている様なので取りあえず呼び名を教えた。

「あ、はい、静間さん」

さらに顔を赤くしながら答える。

「熱があるのか? 顔が赤いぞ」

俺は咲蔵のおでこに手をそえた。

「ち、ちち、違います!」

ますます顔を赤くしながら俺から離れた。

「まぁいいや、メロンパンいるか?」

当初の目的のメロンパンの事を聞いた。

「べ、べべ、べ、別にいいです!」

すごい身振り手振りでいらない事をあらわしている。

落ち着かない奴だな〜。

と、思いつつ、

「じゃぁ、このメロンパン貰ってもいいか?」

「は、はい。どうぞどうぞ」

腰が低い子だな〜。

と、思いつつもちゃっかりメロンパンは貰っていく。

「じゃ、また会えれば会おうね〜」

俺はそれだけ言うと購買を後にした。

「は、はい! またお会いしましょう」

後ろから挨拶が聞こえて来た。

さっきからあの大きな声のせいで注目されまくってたな。まぁ大地のせいでなれてしまったがな。

はぁ、最近まぁ、や、まぁいいや、が口癖になってきたな。まぁいいけど、あ、また言っちまったよ。いや、思っただけなんだけだな。

などの下らないことを思いながら教室でパンの最後の一欠片を口に放り込み、教室に戻る途中で買ったカフェオレを飲んで流した。

そろそろ図書室行って借りた本を返そう。

机の中から本をとり、図書室に向かった。

行く途中で大地と会ったので、朝の分と2時間目の分の怨みを食らわすために殴って蹴って最後に回し蹴りのコンボを決めた。

「うぎゃ〜」

大地は叫びながら、自分から飛んだんじゃないんだろうかと疑いたくなるほどキレーに曲線をえがき飛んでいった。

「なんだよいきなり」

大地はダメージをうけていないのか、すぐに立ち上がって来た。

やっぱりさっきのはわざとだったみたいだ。

「朝の分の怨みだ」

「ならいいや」

いいんだ。

それから大地も図書室に行くと言う事なので一緒に行くことにした。

行く途中大地が俺をおちょくる事を言うの殴ったり、葛原の事でおちょくって来るので殴ったり、通算10回位殴った。

大地は始めは痛がっていたが途中からはなれたのか痛がるフリが飽きたのか、痛がるそぶりを見せずにすぐにおちょくってくる。

今度からは鳩尾狙うか。

「図書室に到着〜」

大地が言った。

気付くと図書室が目の前だった。

上靴を脱ぎ下駄箱に入れて図書室に入った。

今日はうるさい先生はいないようだ。

よかったよかった。

俺は借りる本捜し始めた。

やはりこの図書室は拾いと思う、図書室と言うより図書館だ。

なかなか本は見つからなかった。

「おぬしが探してるのはこの小さい文庫本か? それともこの大きな本か?」

大地が本の精(?)をし始めた。俺は迷わず小さい文庫本を選んだ。

「正直者にはこの大きな本も付け――」

「二冊も借りれるか!」

「ごふっ」

最後まで言い終わる前に鳩尾に一発食らわした。

「あ、ああ、あ」

本当に苦しそうに手を伸ばしている。

大地の事だ、すぐに復活するだろう。

俺は大地の手から小さい文庫本を奪い取り、そのまま借り出し口にむかった。

「これを返してこれを借ります」

「解り、ました」

この声とこの喋り方、どこかで聞いた気がする。

前を見ると、そこには眼鏡をかけた葛原が本の後に入れている貸し出しカードに返却日を書いている姿があった。

あ、あれ! なんで葛原が図書室で借り出ししてるんだ!?

俺は心の中で思いきりびっくりした。

「どうか、しましたか?」

びっくりしたのは心だけではなく顔にまで出ていたらしく、葛原がいつもの無表情で聞いて来た。

「あ〜、なんで葛原が貸り出し口で本を貸しているのかと思いまして」

緊張して喋り方が変になった。

「私が本を、貸している、のはおかし、の?」

一言一言切って喋る。

葛原の喋り方は個性的である。

まぁ俺の回り奴らは大体のやつが喋り方は個性的なんだかな。

「葛原って、図書委員ではないじゃないですか」

葛原は図書委員ではなく委員長なのだ。

だから図書委員であるはずも無い。

「辻川、先生に、今日は、図書、委員が、皆さん、お休み、な、そうなの、で、私から、頼まれ、ました」

図書委員いないなら呼び出せよ、いや、葛原が自分から申しでたんならしょうがないかもしれんが、せめて呼び出ししようよ。それにしても喋るのに時間がかかるな〜。そしてなんか和む、氷の女王と呼ばれてるけどいい奴なんだよな〜。そこに俺が惚れた理由の一つだけどな。

「今日担当の図書委員がいないのか、なら俺はいるからもうでていいよ」

それだけ言って借り出し口に入ろうとしたが、葛原が俺を止めた。

「いい、私、一人で、する」

「なら俺も一緒にするよ。元はこっち事だし」

借り出し口に入ってから仕事をして数分、借りる人達の波が途絶えた。

「今日は何故かいつもより借りる人が多かったような気がする」

とりあえず疲れたので椅子の背もたれに体を預けながら横を見る。そこにはさほど疲れてないのか、いつもどうりの無表情の葛原の姿が合った。

風で銀色の髪が揺れ、独特の雰囲気をかもちだしていた。

なんだか俺がここにはいてはいけない気がする。

葛原いきなり席を立ち、どこかに行こうとする。

「どこ行くんだ? まだチャイムは鳴ってないぞ」

いつもの俺なら話しかける事など出来なかったが、今は何故か話し掛けることが出来た。

「そろそろ、掃除の、準備を、しない、と、いけま、せん」

葛原はそれだけ言うと図書室から出て行った。

「静間〜、葛原といっぱい喋れてよかったな〜」

それと入れ違いに大地が入って来た。

さっきからずっと見ていたようだ。

「緊張しまくった〜」

俺は椅子から背中をはなし、机に体をなげたした。

「お疲れさん♪」

「あぁ、本気で疲れた〜。そして大地、なにさりげなく♪つけてんだよ。きもいぞ」

「うるせ〜、いいじゃないか。それにしても葛原があんなに長く男子と話してるの見るのは初めてだな」

「そうなのか〜?」

それからチャイムが鳴るまでの間、大地と馬鹿な話をしていた。

今回は恋愛要素を何個が入れてみました! なれてないので成功してるかかなり不安です。少しでも面白いと感じたなら感想お願いします

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