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始まりはいつも唐突に

「眠いな〜」

俺は机に頭を置き、手をだらんとさせていた。

すると机の前に誰か立ったような気がしたが面倒なので無視して寝ようとした。

「授業中に堂々と寝ようとしてるんじゃないぞ」

男の声がしたと思ったら、何か固い物で頭を叩かれた。

「いた」

せっかく寝れそうだったのに頭を叩かれて妨害されてしまい、仕方なく起きることにした。

「やっと起きたな」

俺の机の前に立っていたのは数学担当の山口悟郎先生やまぐちごろうだった。

この教師はなにかと理由をつけて女子の身体を触ろうとするためついた名が痴漢教師である。

「あの問題は寝ていても分かるほどお前にとっては簡単な問題なんだな。ならあれを解いてみろ」

山口が指した黒板に書かれた問題が書かれていた。

「え〜と、X=3とY=6ですか?」

「せっ、正解だ」

山口は、まさか俺が正解するとは思ってなかったようだ。

「これぐらいできるからっていい気になるなよ」

山口は捨て台詞を吐いて授業に戻っていった。

やっと4時間目の授業が終わり昼休みになった。

おっ、と紹介が遅れたが俺は名前は森下静間もりしたしずま、高校1年生で趣味は特に無い。

一応中2まで卓球はしていたが飽きたのでやめた。

それに弱かったしな。

俺が通っているこの木浚塚高校は、県では結構上で、俺が入れたのは奇跡に近かった。

中2までの俺の成績ではここに入ることは不可能だっただろう、だが俺はある人がここを受けるというので死ぬ気で勉強をしてぎりぎり合格できたのだ。

その反動で高校入ってしばらく寝てばっかだった。

やっと最近授業中寝ないようになったが初めの1週間ずっと寝ていたために先生に目を付けられついる。

さて、俺の紹介はこれぐらいでいいだろう。

さてと、購買にパンでも買いに行くか。

そう思ってたちあがると後ろから声をかけられた。

「よっ静間、これから飯か?」

後ろに振り返るとそこにはクラスメートであり、悪友の古寺大地こでらだいちが立っていた。

顔はいいが髪形が坊主で性格に少し癖がある男、それがこいつ、古寺大地。

髪を伸ばせば相当もてただろう。

昔大地に、

「髪を伸ばせよ」

と、言ってみたのだが返ってきた答えが、

「坊主は男のロマン!」

などと真顔で言われた。

どんなロマンだと思ったのをよく覚えている。

まぁそれも慣れれば気にならなくなる。

だがこいつにかかわると面倒になることが多いからあまり関わりたくないのも確かだ。

「そうだがそれがどうした?」

「どうもしないよ。ただ一緒に食堂で飯を食べようではないか」

大地が何を企んでいるっと俺は直感的にそう思った。

大地がこんな喋り方をするときに限ってなにかが起きるのだ。

「今日はパンだ。だから食堂には一人で行け」

「ふむ、それはすごく残念だ」

大地は言葉どうりすごく残念そうな顔をした。

「せっかく面白いものが見せれたとゆうのに」

やっぱりなにか企んでいたようだ。

「一体何が見れたと言うんだ?」

少し気になったので聞いてみた。

大地が企むことは悪いこともあるがたまに面白いこともあり、聞いてみたくなるのでたちが悪いというかなんというか。

そのせいで気になる。

大地がした高校に入ってした一番でかいことは高校の入学式の朝、校庭に机で「大地」という形で置いていたのだ。

そのせいで入学式が遅れかけたのだが大地が何故か持っていたマイクで「犯人は、俺だ!」と、叫んだのだ。

あの時はさすがに驚いた。

後から聞いた話だが、夜中に忍び込んで教室の机を校庭に運び出して、ついでにマイクを拝借してたらしいのだ。

そのことを楽しそうに話していた。

職員室に連れて行かれていたがな。

「お〜い、自分から聞いてて無視か?」

大地はそういってため息をついた。

「すまん、もっかい言ってくれ」

やれやれっといったような感じで言った。

「葛原に会えたかもしれないのに」

「そっ、それがどうかしたんだ?」

いきなりここを受けた理由の人を出されて少し動揺してしまった。

「好きじゃないのか?」

大地がにやつきながら聞いてきた。

「そっ、そりゃぁ好きだが」

俺はがらにも無く照れながら応えた。

「そりゃそうだろうな。お前は葛原を追ってこの高校に入ったんだからな!」

大地は、はっはっはっと、笑いながら言った

「あんまり大きい声で言うな!」

俺は思わず怒鳴ってしまった。

昼休みなので教室には人があまりいなかったようだが、残ってる奴等が俺らを少し見て、また話に戻っていった。

「お前のほうが声でかいぞ」

ニヤついた顔で大地が言った。

「お前のせいだろ」

俺はそれだけ言って席から立ち歩き出した。

「おっ、学食に行くのか?」

大地は言いながら俺の後ろをおってきた。

「違う、購買だ」

「まぁいいや、俺も今日はパンにするか」

「学食じゃないのか?」

「久しぶりにお前と一緒に飯食おうと思ってな」

「そういうば最近一緒に食べてなかったな」

パンを何買うのか話しながら歩いているとすぐに着いた。

昼休みが始まってしばらくたつので、購買ラッシュはおさまっている。

「いいの残ってなさそうだな」

大地がぼやきながらパンを選んでいた。

「そうだな」

残っているのはタマゴサンド、カレーパン、カツサンド、菓子パンとかだった。

大地はすぐさまタマゴサンドとカレーパン、飲み物にレモンティーを買い俺のことを待っていた。

「オバちゃん、メロンパン一つ」

「はい、130円だよ」

オレ達は金を渡して、屋上に行く事にした。

「何処で食べる?」

「屋上でよくない?」

大地が聞いてきたので俺は適当に思い浮かんだところを言った。

「寒いけど人があんまりいなくていいな」

「お前が言うとなんか変な意味に聞こえる」

「失礼だな。俺はゲイじゃないぞ」

バカな話をしながら俺らはパンを持って屋上に行くことにした。

まだ冬の寒さの残る屋上は寒かった。

「やっぱりまだ寒いな」

大地が腕を寒そうに摩っていた。

「そりゃ4月だしな」

俺は適当に答えた。

やはり屋上にはあまり人がいなかった。

「おい、あそこにいるのって葛原じゃないのか?」

大地が指を指した方向をみると女子がベンチに一人ぽつんと座っていた。

俺はその女子を目にした瞬間固まってしまった。

「静間、緊張しすぎだ」

俺は大地の呆れた声で我にかえった。

そして、ベンチに座っている女子をよく見た。

確かにそこには葛原零奈がいた。

葛原はいつもどうりの感情の分からない顔で座っている。

「寒くないのかね〜」

大地が俺に聞いて来た。

「そ〜だな〜」

俺は葛原の事を考えて頭がいっぱいで生半可な答えになってしまった。

俺の憧れの人、葛原零奈。

俺がこの高校受けた理由の人。

俺が本気で勉強してギリギリで入れたのに、葛原は首席で入学し、入学式の時に賞状を貰っていた。

顔は綺麗だが無表情、髪型は紐を一本後ろで束ねているだけだ。

スタイルも抜群だが、運動が少し苦手だった。

静かな雰囲気と、無表情な顔のせいで氷の女王と中学の時から氷の女王と呼ばれていたが、この木浚塚高校には中学の時の彼女知る者が少なかったのでよく告白されていたが、全て断ったので1週間もすると誰も告白しようと考える者はいなくなった。

中学の時の呼び名が広まり最近は氷の女王と名前が呼ばれるようになった。

「静間、話しかけてみるか?」

大地の一言に俺の顔は真っ赤になった。

「純粋だな〜」

大地はニヤつきながら言った。

「そっそれよりとっととパン食うぞ」

これ以上は面倒なので話を切り上げるために俺は早口でそれだけ言うと屋上の出入口横にあるはしごを上った。

上には給水タンクが有る。

「まだ寒いが、ここからの見晴らしはやっぱり最高だな」

俺の後から大地が上って来て言った。

「そうだな〜」

俺は感情を沈めながら答えた。

大地はさらに給水タンクの上に上って行った。

「落ちるなよ」

俺はそれだけ言うとパンの袋を開いて食べ始めた。

やっぱりパンはメロンパンだな〜っと思いながら食べていると、屋上の出入口が開いて井野内勇いのうちいさむ黄泉川留美よみかわるみが腕にしがみつきながら出てきた。

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