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翠玉の魔術師《ヒストリア》  作者: アオルヤ
第1章 少年期編
2/8

第一話 「剣と魔術」

 

 びっくりした。

 自分が、今日で6歳になるということを、すっかり忘れていたのだ。

 そういえばシルヴァも、『今日は特別に』いいとこ連れてってやる

 と言っていた。

「びっくりした!忘れてた!」

 母さんと父さんが顔を見合わせる。

「父さんがびっくりだよ!」

「クスクス…レオンったら忘れてたの?」

 春だからもうすぐだ、とは思っていた。

 シルヴァと遊び回ってたから、ちょっと日付けの感覚に疎くなってたようだ。


「さて、お楽しみのプレゼントだ」

「なになに!」

 誕生日といえばプレゼントだ。

 忘れてたから2倍嬉しい。

「まずは、母さんからはこれ」

 そう言って差し出されたのは、初歩的な魔術についての本。

「絶対魔術が好きになるわ。レオンは私の息子だからね!」


 ノーラ=クロスナー。

 母さんは元冒険者。それも凄腕の魔道士…らしい。

 普段から魔術は使うけど、村の人も使うような、初歩的な物しか、使っているところを見たことがない。

 だからあまり凄腕!、という実感はない。

「へえー、まほうのほんかぁ!」

 明日から読んでみよう。と、思った。


 ドン!と机の音がなる。

「俺からは剣だ」

 そう言って父さんは机に置いた、ショートソードを、僕によこした。

 持ってみる。

 …。

「父さん、これすごい重いよ…」

「それが、戦うことの重みだ…」

「へ、へぇ…」

 絶対違うよね。剣の重さだよね。

 内心でツッコミつつ僕は剣を置いた。


 ラウス=クロスナー。

 そんな事を言ってる父さんだが、やはり元冒険者で、やり手だったらしい。

「せっかく剣を手に入れたのだから、明日から稽古をしよう」

 などと父さんが言い出した。うんうん、と一人で頷いている。

 正直、シルヴァと遊んでいたい。

「ダメよあなた!」

 母さんの助け舟。

 助かったようだ。

「レオンは魔法の勉強をするのよ!」

 違った。

「でも、シルヴァと遊びに行きたいし…」

 僕が訴えると、

「ならシルヴァも一緒に稽古をつけてやるよ!」

「シルヴァも誘って魔法の勉強をしましょう!」

 なんだが、大変なことになりそうだ。



---

「よう!おはようレオン」

 窓の外からの声。

 翌朝、何時ものごとく、シルヴァが僕を連れ出しに来た。

 シルヴァリオ=リベルーク。

 12歳の彼はいつも僕を引っ張ってくれた。

 大好きな、兄。

 血は繋がっていないけれど、大切な家族だ。

「おはようシルヴァ!」


「おう、シルヴァきてたか」

 と、父さんが僕の後ろから顔を出す。

「毎日遊びに行くのはいいが、レオンに剣を教えようと思うんだ」

「よかったらお前もやらないか?」

 どうやら昨日の言葉は本気だったようだ。

「いいのか!教えてくれラウスさん!」

 こうして、僕とシルヴァの剣と魔法の修行は始まった。



 討伐以来や買い出しに、村の外へ行く父さんとは午後から修行することになった。

 そして、午前中は母さんと魔法の勉強。

 シルヴァはノリノリだった。

 僕はやる気はあったが、自信がなかった。


 シルヴァと僕は机を挟んで母さんの前に座る。

「まずは、魔法の基本事項についてね。シルヴァ!属性ってわかるかしら?」

 母さんはそう言って、シルヴァに問う。

「下位の火、水、風、土、それから上位の時空、無、光と闇?だっけ?」

 僕もこの辺はうろ覚えだ。

「そうね、それが魔元素8属性よ」

「母さんがよく使う回復魔法は?」

 思わず、尋ねる。

「はい、そこ!質問する時は手を上げること。それから、母さんじゃなくて、先生と呼びなさい!」

「は、はい」

「そうね回復魔法ね、これは特殊で魔元素8種とは別の魔法よ」

「この他に、神術、結界術、封印術、召喚術、なんかがあるわね」

「こっちは、また別物、と考えるのがいいと思うわ!」

 うーん、つむかしいなあ…。

「なるほど!魔術にはたくさん種類があるんだね」

 シルヴァは理解してるようだ。


「次にすすむわね」

「魔力限界と魔法制御についてよ!はい、レオン答えて」

「たしか〜、魔法は限界が個人が持つ魔力マナの総量だっけ?」

 こんな感じのことを言っていた気がする。

「いいわね、せいかいよ」

「魔法制御は〜、魔術の操り方だっけ?」

「少しちがうわ、シルヴァわかるかしら?」

 ありゃりゃ、違ったみたいだ。

「魔術を暴走せずに使うための能力しょ?」

「正解よ、魔術は制御に失敗したり、魔力マナが足りないと暴発をするの」

「操作を失うならまだしも、下手をすると自分の魔力マナで自分の命が飛ぶわ!」

「とても危険なことよ!」

 暴発つると死ぬこともあるのか。こわいな。

「でも、そんな難しいわけじゃないんだろ?」

 横からシルヴァが尋ねる。

 シルヴァの顔にも不安の色がある。

「そうね…しっかり私と学べは大丈夫よ」

「よし、あなたたちもそろそろ飽きてきたでしょうから、実際に魔術を使って見ましょう!」

「本当!」

「よっしゃあー!」

「それじゃあ庭に行きましょう」



 庭に出る。

 庭はぽかぽかと春の日差しが気持ちいい。

「それじゃあ手始めに、下位属性魔術を一通りやってみましょうか」

「一つ目、土属性魔法の『ロックシュート』よく見ていてね」

「母なる大地、我に一握りの恵みを与え、我が敵を撃つ糧となれ『ロックシュート!』」

 母さんの手元に橙の光が渦を巻く。

 すると、光が集まり、石となった。

 そして、ほんのわずかな3mほど先まで飛んで落ちた。

 僕にもできるのだろうか。


「すっげー!ノーラさん俺にもできる?」

 シルヴァは興奮気味にそう言った。

 対して母さんは

「さあて、やる気と才能次第かしらね」

 と、クスクス笑っている。

「よっしゃーレオン頑張ろうぜ!」

「うん!」


「まずは詠唱よ」

「そして魔力を込める。これによって大きさが変わるわ」

「最後にできた物質を、飛ばす力をイメージして、同じように魔力を込めるの」

「まずは、全魔力だし切る感覚で、あそこの木にぶつけるイメージよ!やってみて」

「よし!みてろよ!レオン」

 そう言うと、シルヴァは『ロックシュート』の詠唱を始めた。

「ーーー我が敵を撃つ糧となれ『ロックシュート』!!!」

 手元で光が形になる。

 母さんのと同じくらいの、拳代の石が出来上がった。

 そして、5mほど先の木まで、一直線に飛んで行った。

 母さんは目を丸くして、

「一回でできるなんて末恐ろしい天才ね!シルヴァは魔道師になれるわ!」

「やったぜ!」

 心底嬉しそうな顔で僕を見る。


「僕もやる!」

 正直悔しかった。シルヴァがあんなに上手く出来たことが。

「いいわ!やってみなさい」

 僕は詠唱を始める

「母なる大地、一握りの恵みを与え、ーー」

 魔力を込める。全力で込める。

「我が敵を撃つ糧となれー」

 全力で。


 全力で。


 全力で。


 母さんの声が、     ー聞こえた気がした。

「『ロックシュート』!」

 全魔力を込めるつもりで打ち込んだ。

 直後。ものすごい音がなった。


 バコオオオオン!!!



 木は真っ二つになっていた。

少し長くして見ました

もう少しながいほうがいいのでしょうか?

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