第二章 氷に閉ざされた街の主
心地よい微睡みの中
俺は朝日の差し込む白いシーツの中で目が覚める
「…あ、目が覚めましたか?お兄ちゃん。」
…目の前で微笑む天使が一名。
なんてこった、俺は死んだのか
「なんで何かを成し遂げた顔をしてるんですか?朝ご飯できてますよ?リビングで待ってますから。隣の部屋ですよ?」
…ちょっとまて
「なぁ、天音。」
「なんですか?お兄ちゃん。」
「なんでお前、俺を跨いで乗っかってるんだ?」
「…ッ!!!!?」
そう、いわゆる馬乗り体勢というヤツである。
顔を真っ赤にして湯気を噴出させつつ俺から転げ落ちるように降りる天音。
「ちちちちち違うんですよ!?なかなかお兄ちゃんが目を覚まさないから、ちょっと昔を思い出してしまって…ふぁあっ!?私は何を正直に話して〜〜ッ!??」
あぁ、天音は可愛いなぁ
「もう、分かったから。今のは無かった事にしてやるから
とりあえずメシ食いながらでいいから今の状況を教えてくれ」
「あ、はい…
本当に今のは忘れてください…」
ショボンと俯いてしまう天音
俺はそんな天音の頭に手を軽くのせて紳士的にリビングへと向かう
本当に撫でやすい身長だよな、天音って…
「…あ、ちゃんと顔は洗ってきてくださいね?洗面台はリビングのさらに奥です。」
「お、おう」
くそ、折角紳士的に決めたのに…
俺はリビングを抜けて洗面台へと向かい冷たい水を洗面器へと注ぎ込み一気に顔に水をかける
「っぱぁ、冷てぇ〜」
朝シャンを終えた俺は改めてリビングへと向かう
「で、まずここはどこだ?」
「あ、私の寮部屋です。もともと二人用の部屋なので部屋はありますし
学校側から『まぁ兄妹だし、最初のうちは一緒に済むのがええやろ』とのことで…一応年頃の男女なんですけれどね…」
顔をほんのり赤らめ照れたように説明する天音。
あの紅亜と対していた天音がまるで別人のような可愛さである
「そういえば、紅亜は?」
「虹原さんは別の部屋ですよ」
だよな。
いい匂いのするベーコンエッグにナイフを入れて一口
うん、美味い。やっぱり天音の料理は宇宙一やでぇ…
「…あの、美味しいですか?」
「当然!天音が先に竜力が覚醒して家を開けてしまってから以降は自炊だったからな、久々に美味いメシにありつけたよ。」
「そ、そうですか!おかわりもありますからね!」
天音は小さい頃から料理が得意で掃除洗濯までこなすという、俗に言う『嫁スキル』を完備した妹なのである。
両親が家を空けがちだった天神家では本当に頼りになる存在だった
天音か家を空けてしばらくは自炊してたので俺も一応料理掃除洗濯は出来るが、天音には遠く及ばない
あまりの美味しさにベーコンエッグとご飯をすぐに平らげてしまった。
「ごちそうさまでした!美味かったぜ!」
「お粗末様でした。
さて、学園に行きますよ。すでに一日遅れている訳ですから、急ぎましょう。これお兄ちゃんの制服。」
「ん、サンキューな」
俺はあえて昨日の事を聞かなかった。
せっかくの天音のメシを不味くしたくなかったからな。
俺はスタイリッシュに制服を着込み
クールに入学手続き書類を鞄にしまい、エレガントに玄関を開ける
「出発ーッ!今日も頑張るぜえ!」
「…あんた、なんで天神天音の部屋から出て来てんの?」
はうあ!紅亜!?
いきなり出鼻を挫かれてしまった!?
「仕方ないですよ、兄さんと私の部屋割りは学園側からの提案ですから。」
すかさずフォローをいれてくれる天音
やっぱり人前でお兄ちゃんは恥ずかしいのかね?俺はいつでもカモンだぜ!
「だからって年頃の男女が同じ屋根の下って…よからぬ事が起きない保証はあるの!?」
「私たちは兄妹です、起こり得ません」
断言する天音
まぁ、大きいお友達御用達のゲームではあり得るかもだがな
そのままスタスタと俺の腕を引っ張って学園へと向かう天音
「ぐぬぬ…」
…なんで紅亜はあんなに悔しそうな顔をしてるんだ?
〜
「おー、ここが…フェリシア学園」
「ここはまだ正門です、本館はあっちです」
まるでお城のような大きさの建物を指差す天音
待て待て、まさかこの周辺一体フェリシア学園の土地なのか!?
ぱないの!
しばらく歩きすすみ、靴を履き替え一つの部屋の前に到着
「ここは学園長の部屋です。
くれぐれも失礼が無いように」
「お、おうよ!」
厳かなノックの後、静かにドアを開ける天音
「お?君が新入生の空斗君かにゃ?
にゃっふっふー!よく来たよく来た!」
にゃ…?
なんだこの猫耳幼女は…?
「おー!申し遅れた!私はこの学園の学園長を務めるシュテル・スノードロップ・フェリシアなのじゃ!気軽にしゅてるんとよんでくれてかまわんぞ?」
え、この人が…学園長…?
学園長が猫耳幼女!?
出会いの連続のなか
また新たな火種が!?
次回 第二章 氷に閉ざされた街の主②
近日更新予定!