赤い雪
どこか遠い国のお話。
あるところに
一年の終わりに必ず雪が降る国がありました。
最後といっても
一日ではなく最後の二週間…
十二月半ばごろから降り始める不思議な国。
そこに一人の少女がいた。
少女は山奥の小屋に一人で住んでいました。
少女は「今年もあと一週間かぁ…」と言って外にでました。
すると
ドアの前に一人の男が立っていました。
男はこういいました。
「道に迷ってしまって困っているんだ。一晩でいいから泊めてもらえないか?」と。
少女はなんの躊躇もなく許可した。
しかし、その男は迷ったのではなく
意図的に来ていたのだった。
男は山を降りたところにある村の噂を聞いてやってきたからだ。
噂とは『山奥には行ってはならない。行ったら帰ってこれなくなる』
そんなよくわからない噂だ。
しかし男が気になったのは別の噂だった。
それは…『赤い雪』の伝説。
男は赤い雪を見たくて来たのだった。
少女は男をもてなした。
食事を振舞ったり
暖をとったり
風呂まで用意した。
そして男は寝る前に少女に聞いた。
「赤い雪のことを知らないか?」と。
少女は「知っている」と短く答えた。
しかし少女はそれ以上を語らず、ただついて来てと男を外に連れ出した。
男は少女について行った。
しばらく歩いて男が聞いた。
「赤い雪を見れるのか?」と。
少女は首を立てに降った。
男は赤い雪を見た。
一瞬…ほんの一瞬。
そして…男は帰ってこなかった。
その日の夜遅くに…
山奥では『赤い雪』が降ったのだった。