第7話 感謝
高機動型 クリュウ・オルナート
このネタもいい加減しつこいですね。
エライ人に会うわけでもないので、服装は動きやすい薄手の長袖シャツとズボンだ。
何だかパリッとしているのはちゃんと手入れしてくれる人がいるからだ。
今は紅陽月の始まり、日本で言えば夏の終わり、秋の入口手前と言ったところか。昼間までは暑く、午後になると急に冷えてくる。
この国には四季が存在し、月齢も存在する。因みに1年は12ヶ月だ。
「あっ、そうだ。母さまは今どちらにいるの?」
「ウィンディア様…ですか。」
そう言ってエリナさんは珍しく沈痛な表情を浮かべた。
まさか…
「ウィンディア様は坊ちゃまのご病気を直すとおっしゃって坊ちゃまを連れて2人だけで古代魔法文明の遺跡に入り、そしてそのまま…」
まさか…僕を助けるために…
「遺跡を破壊し、気絶していた坊ちゃまを連れて帰り、今は疲れて部屋で寝てらっしゃいます。」
「生きてるの!?」
「えぇ、はい。勿論。」
何を言ってるのだろう?みたいな顔でエリナさんは言ってくる
くっ、何だか騙された気分だけど、勝手に勘違いしたのは僕なんだ。さっきも勘違いしちゃったし。
でも…
「良かった」
ほんとに良かった。しかしあの部屋中に巡らされた魔方陣を母さま一人で起動させたのだろうか。
目覚めたときは他の人も居なかったようだし相当無理をさせてしまったんじゃないだろうか。
「ですが、憔悴したご様子だったのは事実です。ウィンディア様は今もまだ部屋で眠っておられます。
お医者様によりますと、体内の魔力がほとんど空になったため魔力欠乏症になったのだろうと。幸い現在は命に別状は無いですし、時々目を覚まして食事を採って下さります」
「そっか。じゃあすぐにお見舞いに行かないとね」
そう言えば、さっきは流してしまったけど、遺跡を破壊したって言ってたっけ。
僕の今の状態を考えると、どうやってかは知らないけど滅びた魔法文明の遺産を動かしたんだろう。しかも相当危険なモノを。
魂の融合なんて神の禁忌に触れる行為、誰にも許されない事だ。
多分母さまはそれを解っていて、それでも恐らく僕、クリュウを助ける為に行なってくれたんだ。
不謹慎だけどその事実はとても嬉しかった
でも、僕は“僕”に、“僕”は僕に謝罪しなきゃいけない
(ごめんなさい、自分の都合であなたを巻き込んでしまって)
(ごめんね、自分のせいで君は半端な人間になってしまった)
そして感謝の気持ちを伝える。
(ありがとう。あなたのお陰で僕はこうして元気でいられる)
(ありがとう。君のお陰で僕は貴重な第二の人生を得られた)
どちらも自分だから一人で勝手に謝って、感謝してるだけなのが少し滑稽で恥ずかしかった。
だけど心は少し軽くなった。
言い忘れましたが、主人公のクリュウはど天然です。
地球にいたときも良く周りの人間の嘘を真に受けてました。
100%クリュウ君も(もっと)小さい頃からよく(母)親やメイドにだまされて可愛がられてます。これからもだまされる事でしょう。
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ここまで読んで下さっている心の広い方々に
(読んで下さる方がいらっしゃれば良いのですが…)
まずは、こんな駄文にお付き合い頂きありがとうございます。
明日からは更新速度ががくんと落ちると思いますので、ご了承お願い致します。
そして、良ければ今後とも天然混合体クリュウ君にお付き合い下さい。