第6話 着替え
換装型だと!?
着替えを手伝ってもらうにあたって、まずは服を脱がされる。
裸を見られる事は別に抵抗は無いが、大人の女性に服を脱がされることに“風間颯太”の心が少し恥ずかしくなる。
とはいっても所詮は8歳児の体、向こうだって気にしない
「はい~、では脱がしますね~」
「あぁっ、8歳の少年の鍛えられた体っっ!くっ、わたくしの有り余る忠誠心とリビドーが鼻から溢れそうですわ。
そうです、こんな時にこそ映写器ですね。今日は恐らく撮影会が行われるでしょうし、持ってきて正解でしたわ」
エリナさんが何やらゴニョゴニョ言ってるけどいつも通りだからいっか。
「あら坊ちゃま~、何だかご病気が治ってからなんだか体つきが良くなりましたね~」
ナエリさんが服を脱がせながらそう言ってくる。
言われてふと鏡を見ると、そこには黒目黒髪の“風間颯太”の8歳頃の幼い顔、つまりクリュウ・オルナートの顔があった。
(多分このまま成長しても周りの人達に童顔だとか言われ続けるんだろうな。くっ、女子に可愛いなんて言われたって嬉しくないってのに…)
半ば諦めの心境で体を見ると、確かにクリュウの記憶よりも幾分か引き締まった体をしている。
胸に何かの模様のような痣がうっすら見えた。
(もしかして…)
そう思い、僕は試しに拳を握ってみる。
すると空手をやっている人間特有の拳になった。だけど、空手の運動では鍛えにくい部分にもうっすらと筋肉がついてるのが見てとれる。
(やっぱり混ざってるんだ)
顔の要素は全く同じだから変わらなかったけど、鍛え方も年月も違うから体つきは混ざってしまったんだろうか?
でも肉体の成長具合は8歳の体だし…
う~ん。よくわからないな。
「鏡を見て悩ましげな顔をされる坊ちゃまも良いです!くぅ、今日の坊ちゃまはわたくしの心の奥の柔らかいところを的確に突いてきますわ。
あぁ、神よ。今日という日をわたくしめに与えて下さりありがとうございます!」
エリナさんが後ろでゴソゴソやってるのが鏡に写っている。
っていうか、写真取ってる?
「エリナさんっ、何やってんの!?」
「いえ、何も?」
勢い良く後ろを振り向くと、エリナさんは僕らから一歩離れた場所でクールな顔をして静々と服を用意し控えていた。
「どうかされたのですか?」
「あれ?」
エリナさんは不思議そうな顔でそう言ってくる。
え?あれ?確かに鏡には写っていたと思うんだけど。幻覚が見えたのかな。
いや、でも。それにしてははっきり見えたんだけど。う~ん。
「坊ちゃまは病み上がりですし、ふと幻覚を見ることもあるのでしょう。お体の調子は大丈夫ですか?」
「そうかな?そっか。そうだよね。勘違いしちゃってごめんね。僕って勘違いが多いって良くみんなに言われてたのを忘れてたよ。
あっ、体調は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「いえいえ。坊ちゃまはこのままでいてくださいね」
「お世辞でもそう言ってくれるとうれしいよ」
エリナさんは慈愛に満ちた目で僕を心配してくれる。
うん。やっぱりエリナさんは優しい大人な人だな。僕が勘違いして悪いのに、全然気にしないで逆に僕の事を心配してくれるんだから。
僕も将来エリナさんみたいな立派な大人にならなくちゃ!
「はぁ。私は坊ちゃまの将来が心配です~」
「大丈夫だよ。僕はエリナさん達みたいな立派な大人になるから!」
「それが心配なんですけど~。でもそこが坊ちゃまの良いところですよね~」
そっか、まぁ心配になるのは解る気がする。おっちょこちょいだし、自分でも立派な大人になれるか不安になる時があるし。
でも、周りにこんなに立派な人達がいるんだから、いつか自分もなれると信じよう。
「立派な大人になる前に服を着ましょうね~。このままだと風邪を引いてしまいますし~」
「そうだね。」
「もう至福の時間は終わりなのですね。この写真は永久保存版ですわね。後ほどディア様にもお見せしなければ」
「エリナさんその服頂戴」
「はい、只今」(キリッ)
着替えたd(ry
変態メイドは興奮すると口調が変わります。