第5話 双子姉妹
クリュウ・オルナート大地に立つ
作者の(心の)メインヒロイン登場です
そうして、父さまを見送った後、僕は部屋を出ようと思い、ベッドから降り着替えを探した。
地面に立つと少しよろけたが、それでも歩く事はできそうだ。
しかし、目線の高さがとても低い事を確認してため息をつく。
(やっぱり体は8歳の子供なんだな)
そう心で話かけ、クローゼットに歩こうとした時だ。
「坊ちゃま。」
「はぃぃっ!?」
「お着替えですか。お手伝いします」
「エリナさん!いつからそこに!?」
「先程、アンニュイな表情でため息を付かれた時からです。8歳の少年が出す妖艶な表情に、不覚にもわたくしのささやかな胸はドキドキしております。」
「僕から見たらいつものエリナさんだけどね。」
いつも着替えを手伝ってくれる侍女のエリナさんだ。毎度のことだが気配を全く感じなかった。
エリナさんは青く長い髪をポニーテールにしてまとめていて、しかも美人で常にクールな雰囲気を漂わせている。カッコイイ女性の代名詞みたいな人だ。
…黙っていればだけど。
「何をおっしゃいますか。ならば直接触れてお確かめ下さい。もちろんその後、坊ちゃまのリビドーが溢れて子供を産むことになろうともわたくし的にはバッチコーイでございます。さぁ早くっ!」
…ホントに見た目はクールでカッコイイんだけどなぁ。
「…エリナさんがいつも通りで安心したよ。あっ、でもこれからは一人で着替えようと思うから大丈夫だよ。」
「な、んですと?」
おっ、珍しく目を見開いた。
「や、いつまでも着替えを手伝って貰ってたらエリナさんにも悪いし、自分のためにもならないかなって。一人で出来そうな事はやっていかなくちゃ」
「つまり坊ちゃまはわたくしにシネと。そう仰りたいのですね」
「なんでそうなるの!?」
超展開だ。
「坊ちゃまが一人で着替える→わたくし坊ちゃま成分を補給できない。ついでに仕事がなくなる→クビ→坊ちゃま成分が補給できずに野垂れ死ぬ」
「えぇ~!?」
そ、そうだったのか…
「ごめんエリナさん。僕とんでもない事を言っちゃったんだね。悪気はなかったんだ。独り立ちの第一歩だと思ったんだ」
「いえいえ、坊ちゃまがこのまま純情な少年でいてくれたら、それだけでわたくしは十分です。あと少年の一人立ちってちょっとエロいですね」
「意味が解らないけど、僕を許してくれるのかい?」
「勿論ですとも。わたくしは坊ちゃまの愛の奴隷なのですから」
「奴隷なんかじゃないよ!僕はエリナさんを大事に思ってるんだから」
「坊ちゃま…」「エリナさん…」
手を合わせる僕達
そして…
「あの~。」
「あっ、ナエリさん。こんにちは」
「はい。こんにちは~」
ここにいたもう一人の侍女から声がかけられた。エリナさんの双子の妹のナエリさんだ。
「ナエリ。貴方はまた良い所で邪魔して。あとちょっとでわたくしは坊ちゃまの子を孕むことができたのに」
おぉぅ。そんな恐ろしい事になっていたのか。
以前の僕は意味が解ってなかったが、今の僕は大人の心も持っているのだ。もう騙されないぞ。
「え~と、そういうのは坊ちゃまにはまだ早いと思うんだよね~。だから、わたし正しかったんだと思うよ~」
ナエリさんはエリナさんと双子だけれど、その表情はとても眠たそうで見ているとこっちもポワポワする。
それに話し方も少しゆっくりだ
髪型も青く長い髪を綺麗に片サイドで編んで体の前に垂らしている
顔はそっくりなのにこんなに違うからすぐに判別がつく。
「そっか。ありがとうナエリさん」
「はい~、どういたしまして~」
「あのさ、僕一人で着替えちゃったらナエリさん達クビにされちゃうのかな?」
「いや~、それは無いんじゃないですか~。私たち、他にも仕事がありますし~。
でもでも~、坊ちゃまは病み上がりですし~、しばらくは身の回りのお手伝いさせて下さいな~」
「そっか。そうだね。んじゃ、お願いしてもいいかな」
「喜んで、ですよ~」
にこにことほんわかを体全体から発しているナエリさんは話していてとても安心する。
エリナさんは…なんだか身の危険を感じる時がある。
「くっ、最大の障害は実の妹だったのですね。わたくしはいつか貴方を越える!」
黙っていればクールでかっこ良くて憧れるんだけどなぁ~。でもそれはエリナさんじゃないか。
そう思いながら、僕は二人に着替えを手伝ってもらうのだった。
大地に立っただけ
エリナさんは「ショタ 痴女 クーデレ ヤンデレ (腐)」を網羅したパーフェクトなメイドです。