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ソウルリンカー  作者: クロネコにマタタビ
1章 
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第4話 クリュウ・オルナートとグレン・オルナート

クリュウ・オルナート 起動!

ここから多分展開が遅くなると思います。

次の日、僕は見慣れた、しかし一方では見慣れない奇妙な部屋で目を覚ました。

ベットから起き、周りに誰もいない事を確認して、僕はそっと安堵の息をはいた。

ここは僕の、クリュウの部屋だ。


恐らくは僕が目覚める気配を察知して侍女さんが父さまか母さまを呼びに言ったのだろう。

だけど、僕は今は両親に会うのがとても恐ろしい。

今の自分の状態は、自分でもいまいち掴めていない。両親に今の自分の事を知られて見捨てられる事が恐ろしい。

父さまと母さまは自分の両親だと心の底から思っているのだけれども、それでも僕にはもう二人、父さんと母さんがいると思ってしまう。

この国の言語を自然に話すことができるのに、頭の中では日本語で考えている。

そう、今の僕は“風間颯太”であると同時に“クリュウ・オルナート”なのだ。

多重人格ではない…と思う。僕はこの二人が僕自身であることに納得している。

多分混ざり者なんだと思う。クリュウの魂と颯太の魂が混ざった人間なんだろう。

何故こんなことをされたのかは、恐らく母さまが知っているはずだ。最初に目覚めた部屋には魔方陣がびっしりと描かれていたし。

と、そこで部屋が徐に開け放たれた

「クリュウ!!」

背が高く体つきも良い綺麗な“赤色の髪”をした男性、父さまが勢い良く部屋に入ってきて、僕を抱きしめてくれた。

「父さま、く、苦しい。」

ただ、少し力が強すぎたので抗議の声を挙げてみる。

「おぉ、クリュウ。すまんすまん。だが、この程度の抱擁で根を上げるとはまだまだ訓練が甘いな。はっはっはっは!」

「父さま。いつか言おうと思っていたのですが、これは抱擁ではなく絞め技なのだと思います」

そうだ、父さまは何時も抱きしめるたびに力を入れすぎる人なのだ。それに声が大きいし。

「まぁ、いいではないか。しかしクリュウ。良く目覚めてくれた」

そして、とても温かい人だ。

「はい。ですが、僕は何故このようなことになったのか良く解っていません。ただ、父さまと母さまにとても心配をかけた事だけはわかります。

だから、すみませんでした」

「いや、お前が謝る事は何も無いのだ。寧ろ今回の事件は俺たちがお前を守ってやれなかったせいなのだよ。すまないな、クリュウ」

そう父さまは悔しそうな顔をして話してくれる。

「事件…ですか?」

恐らくは僕のこの“黒髪”に関することなのだろう。

「あぁ、だがお前はもう心配しなくても良い。この件に関しては俺が直々に裁く!」

そして、少し昏い顔をして決意を固めている。

「父さま顔が怖い。」

「おぉ、クリュウ!そんな事を言うな。それにしても、目覚めてから何だかしっかりした人間になったな!!」

ギクリ、そんな音が聞こえた気がした。

僕はやっぱり変なんだろうか。

「やはり、男子たるもの三日会わざれば刮目して見よということか。丁度三日眠っていたのだからそれは刮目しなければいかんな!」

そして、父さまもやっぱり変な人だ。

「そ、そうですか。三日ですか。道理で体がだるいと思いました」

翌日じゃ無かったのか…

「おう。しばらくは剣術の稽古は無しだな。だが、ちゃんと外に出て遊ぶんだぞ!お前が大事にしていた白ラトの子供だって待っているだろうしな!」

…今、聞き捨てならない事を言われた!?

「父さまっ!?何故ルシェの事を!?」

「おぅ。あの子供はルシェというのか。中々いい名前だな」

「あ、ありがとうございます。いえ、そんな事はどうでもいいのです!僕が皆に内緒に飼っていたのに!?」

「それは無理だろ。お前の事は常に誰かが見守っているんだから。お前が幸せそうに白ラトの子供と遊んでいる姿は映写器で何枚も撮られて屋敷内で交換されているぞ。因みに俺は全てコンプリートしている!」

愕然とした。確かにそうだよな。僕はまだ子供で、そしてこの“黒髪”なんだから。誰かが常に守ってくれてたはずだよな。

は、恥ずかしい…。駄目だ。これは死ねる。

「うぅ。僕の一生の不覚です。父さま介錯をよろしくお願いします。」

「待て待て!早まるな!大丈夫だ。何も問題ない!」

「そう…ですか?」

「あぁ~…っと、実は白ラトの子供の事は全部嘘だったんだ。お前がルシェと遊んでいた事なんて全く知らなかったし。定期的に撮影会が行われてもいないし、行われる予定もない。」

「なんとそうだったのですか!?良かったぁ~、全く父さまも人が悪い。えへへ。あっ、ルシェっていうのは最近できた友達の事なんです。ラトの子供なんです。」

「あ、あぁ。そうか、友達か。突然俺はお前の将来が心配になってきたんだが。大丈夫だろうか。」

「大丈夫です。問題ありません!」

はぁ。ビックリした。そりゃそうだよな。僕が一生懸命わかりにくい道を進んで行った先にあるこの屋敷の庭に偶々いるだけのラトの子供が今のところ唯一の友達だなんて誰も気づく訳なかったよな。周りに人が居ないこともいつも確認してたし。

護衛の人には悪いけど、こればっかりは人に見られちゃだめだよな。今後も気をつけよう。

「なにはともあれ、元気そうで良かった。では俺は仕事に戻るぞ」

「はい。お仕事頑張ってください!」

父さまは偉い人みたいだから、忙しい中駆けつけてくれたのだろう。

それが嬉しくて、そして父さまはやはり父さまなのだと確認がとれたことで僕は幸せな気分になったまま返事を返した。


信じられるか?

こいつまだ起きあがっただけなんだぜ。


補足

ラト:ネコとリスを掛け合わせたような小動物(本作の唯一のオリジナル(?)要素)

   ネコ=ネズミ採り

   リス=齧歯類=ネズミ

   ネコ+リス≒ネズミ=ラット→ラト

という数式が成り立つ。

見た目を想像するに、風の谷な所に住んでるというナウいシカさんのペットのテト(≠オーム)を想像して、色を白く塗れば大体オッケーです。

多分仲良くなる前に指を噛まれた事でしょう。

完全オリジナル(笑)

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