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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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八話 ~勉強会~

                       08.


グウェー!グウェ―!


ここに来てもう三日。怪鳥の鳴き声にもそろそろ慣れてきた。


「…朝か。」


床には見開いた本が幾つも散らばり。真っ黒になるまで書いた文字の紙が卓上に

高々に積まれ、その横には開かれていない本が何冊か積まれている。


三日前から俺はこの世界の文字を覚える為、猛勉強を始めていた。


ガチャ。


「…呆れた奴じゃ。今日も徹夜か…。」


漆黒のドレス姿のモルガナちゃんが盆に二つのマグカップを乗せ、部屋の中に

入る。


「あぁ…。中級詠唱魔法は昨夜で大体、覚えた。上級魔法の本を開いた所で

どうやら気絶してたみたいだ。…はは。」


三日三晩、徹夜勉強なんて学生の頃にやって以来だ。

もう三十にもなるおっさんには限度があるらしい。

昨日から頭痛がひどい。体が危険信号を発しているのだろう。


「そんな生活してたら死ぬぞ?」


ごもっともな意見。俺もそう思う。出来ればもう少し時間を掛けて

勉学に励みたいところだ。が、時間が惜しい。


「安心してよ。君を残して死ぬような事はしないから。」


「ぐぬっ…。」


最低限の睡眠は取っているし。飲まず食わずって訳でもない。

まぁ、大丈夫だろう。

それに、百冊くらいあった本も半分程に減っている。後、三日、四日あれば

読破はできる筈だ。


「しかし、覚えが早いな主。一日で文字を覚えるとは思わなかったぞ?」


「モルガナちゃんの教え方が上手かったからだよ。」


「またお前は適当なことを言いおって!」


褒めたつもりなのだが何故か怒られた。


しかし、コレには俺自身、驚いている。

俺は覚えは早い方ではあったが。天才と呼べる程ではない。

元の世界でも一つ覚えるのに二日は掛かった。


しかし、二日前。モルガナちゃんに文字の読み書きを教わった時。

すんなりと頭に文字が入ってきたのだ。

まるで乾いたスポンジに水が吸い込まれるよう、超自然に。

且つ、スピーディーに。


思えば、ココに呼ばれてモルガナちゃんの言葉が理解わからなかった事は

なかった。体が適応している…?それか何らかの他の理由があるのか…?


「どうしたのじゃ?急に黙りおって。」


黙々と考えに更けていると。モルガナちゃんの心配そうな表情が覗く。


「あぁ、ごめん。何でもないよ。それよりソッチは?」


見えないモノを幾ら考えても仕方ない。現状、コレは良い事だし。

深く考えなくてもいいだろう。


「順調…とはいえんな。私は天才ではないからな。主を呼んだ召喚魔法を

習得するのにも大分、時間を要した。」


俺達は各々、魔法の修行をしている。コレはモルガナちゃんを強く…。

魔王に仕立て上げる為には必須だった。


店を建て直し、人を呼ぶという事は当然。モルガナちゃんの存在を露見させるという事だ。

そうなれば勇者共の耳にも魔王の娘が生きていたという情報は必ず届く。

情けない話だが今の俺では護れないのだ。

人間の俺が魔法を使用するには世界樹の存在が必要だ。だが、ココにはソレはない。

つまり。俺がどんな強い魔法を知識で覚えたとして意味がないのだ。


だから、現状。モルガナちゃんを護る為にはモルガナちゃん自身。自分で強くなって

貰うしかない。


だが、今まで通りのやり方では必ず壁にぶつかる。というか既にぶつかっているのかも

しれない。

それゆえの猛勉強である。

俺が教える立場になれればソレだけで習得する時間は短縮できる筈だ。


「まぁ、少し待っててよ。直ぐに俺も君に追いつくから…」


いや、違うな。今、言う台詞はこんなモンでは足りない。


「…いや、ごめん。言い間違えた。必ず今週中には君を追い越す。」


そう。追いつくだけでは対等なのだ。ソレでは教える立場にはなれない。

追い抜き、追い越す。ソレで初めて、モルガナちゃん(この子)の力になれる。


「生意気だぞ!」


「ブッ!?」


ばこっと。思いっきり頬にグーパンを喰らった。


「私は主より先にずっと、努力しておったのだぞ!ソレが一週間やそこら

本を読んだだけの奴に負けるか!朝飯は抜きじゃ!見てろよ。今日中に一つ。

詠唱魔法を体得してやるッ!」


「ちょっ。ご飯、抜くのは逆効果だよ!モルガナちゃん!一緒に朝ごはん食べに行こうよ!」


失敗した。煽るつもりはなかったのだが。そう捉えられたらしい。

まぁ、少し落ち込んでたし。良い方に捉えるとしよう。


「モルガナちゃん!待ってってばー!」


何はともあれ。課題の一つとして俺が掲げたのは

『魔王の復活』。


近い日に王の誕生は世界を脅かす事となろう。

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