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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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五話 ~紹介①~

05.


 「人間じゃと…?」


それまで愉快に笑っていたモルガナちゃんは鋭い目を更に鋭く

俺を見た。


「あぁ。見ての通り。何の力も。能力スキルもない人間だよ。」


好戦的なモルガナちゃんに対し、俺は両手を広げ笑ってみせる。コレは

強がりでもなんでもない。普段、人を相手にする機会が多いせいか

感情には敏感なのだ。つまるところ、表情こそ険しいものの

魔王様(この子)に敵意は全く感じなかった。この感情はどちらかというと 困惑 だ。


「ただまぁ、俺はこの世界の人間ではないんだ。ソレは召喚したモルガナちゃんなら

何となく分かってるだろ?」


「……。」


返事は返ってこなかったが。構わず続ける。


「俺のいた世界について少し話すよ。」


俺はカウンター奥の厨房から、魔王様の正面前の席に着く。

魔王様にも座るよう、促した。


「…俺が住んでいた所は日本といって割と平和な所なんだ。魔法は無いけど

化学ってのが発達しててね。まぁ、その話はまた機会があったら話すよ。」


魔王様の態度は相変わらずだが、話はちゃんと聞いてくれている。

本質は優しい子なのだ。まだ一日と過ごしてないがソレだけは断言して言えた。


「そんな平和な国で過ごしていたけど、常に不満だった。」


相手の警戒を解くには嘘があってはならない。特に子供は嘘に敏感な生き物と

いう。自分の事。思想を包み隠さず話すのは鉄則と言えよう。


「俺の両親は飲食店を経営しててね。ある日、両親の店が閉店してしまったんだ。

俺は両親の頑張りを知っていた。でも、変な話。頑張ってる奴よりも

ずる賢い奴の方が偉いって国でね。俺の家は常に金の無い暮らしをしていた。」


当時の事を思い出し、周囲を見渡す。ココに案内された時、どこか懐かしさを

感じた。それは内装がどことなく似ていたからだと気付いた。


「それからは必至に勉強したよ。両親の店を建て直す為に寝る間も惜しんで

様々な事をした。」


本当に当時は大変だった。騙されたし、犯罪にも手を染めそうになった。


「…何故、そこまでしたんじゃ?」


これまで黙っていた魔王様の口から問いが投げられる。


「…モルガナちゃんと一緒だよ。」


彼女の目を見つめ、微笑みを返す。


「好きだったんだ。あの店が。 モルガナちゃんも魔界が好きだから離れられなかったん

だよね?俺も無理を言って、店を取り壊すのだけは止めて貰った。いつか俺がこの店を

建て直すからって。」


「…やはり凄いな。主は…。」


「全然。俺からしたらモルガナちゃんの方が凄いと思うけどな。」


「私がか?」


「うん。だって、俺には両親がいた。助けてくれた人もいた。色んな人がいたから

折れずにやってこれた。でも、モルガナちゃんは一人だっただろ?」


復讐という燃料ではあったが。この子は目的に対し、一人で動いていた。

こんな小さく。頼る者もなく。ずっと独りで 努力 していた。


「頑張る人には報われて欲しい。だから俺は店舗コンサルタントになったんだ。」


人に語って改めて、自分の想いに気付かされる。言葉に熱が籠る。


「頑張る人をサポートできる存在に。頑張る人の大切な場所を護る為。俺はこれまで

頑張ってきた。」


だから。

      「頑張るモルガナちゃん()の力になりたい。いや、ならせてくれ!」


「ひゃぇ!?」


言葉は行動に示してはじめて、真意が伝わると思っている。だから、俺はモルガナちゃんの

手を取り、その瞳に言葉を伝えた。


そのお陰かどうか、モルガナちゃんの態度は明らかに変わっていた。

さっきまでトゲトゲしかった態度が今や、年相応の表情かおになってる。というか

目を合わせてくれない。顔も赤いし。


「分かった。分かった。人間は嫌いじゃが主は特別だ!魔界の滞在を許可してやる!

主はココの人間ではないと言うしな。」


手を振り払われはしたが、交渉は成功したと思われる。

俺の誠意がちゃんと伝わったようで良かった。


「じゃぁ、次はモルガナちゃんについて…。というかこの世界の事を教えて

くれないか?魔界を建て直すにしても世界の常識やルールが分かってないんじゃ

話にならない。」


商売の基本は情報だ。俺はこの世界の金銭のやり取りすら知らない。

それでは魔界復興なんて夢物語もいいところだ。


「無理にとは言わないが出来れば、魔界が勇者に襲われた経緯についても

聞きたい。何故、魔界がこうなったのか。人間と魔族との関係とか。

話せれる範囲でいいから、頼めないか?」


「……。」


モルガナちゃんは俯いてはいたが、その表情は見なくても想像がついた。


「…分かった。話す。主も私に話してくれたからな。」


そう言ったモルガナちゃんの声は震えていた。

無理もない。故郷を襲撃され、親を殺された記憶を語れと言うのだ。

そんな残酷な事はない。

だが、聞かなくてはならない。ソレがこの世界の常識(ルール)なのだから。

次回は魔界襲撃編を書こうと思います。長くはならない筈…

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