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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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三話 ~葛藤の朝~

                   03.


グエェーッ。グエェ―ッ。


魔界の朝は不気味な怪鳥の囀り?で始まるらしい。

あまり良い気はしない。

とはいえ、朝日は世界が違えど同じらしく窓から差し込む()が眩しい。


「ふぁぁ~。」


フリーランスとて朝は早い。いや、フリーランスだから朝は早い。皆が休んでる時でも

働かなくてはならないのがフリーランスである。とはいえ、今。現在。自分がどういった

立場なのかよく分かってない。


ぱっ。


ココに来る前に所持していたスマホの電源を入れる。時刻は7時10分を示していた。

時間の概念は同じなのだろうか?よく分からないが外の状況と時間が合っている事を

考えるに元の世界と同一化してる可能性は高い。


「くー。くー。」


「………。」


中央の大きなベットで小さな寝息が聞こえる。どうやら魔王様はまだ寝ているらしい。

まぁ、昨夜は遅かったし。子供に早起きはどの世界もキツかろう。


ぎしっ。と音を鳴らし、寝ていたソファーから降りる。

子供とはいえ異性。初対面の男が一緒のベットで寝る訳にはいかない。

なら、何故。同じ部屋にいるかというと。

ココしかまともな部屋がなかったからである。

この部屋だけは窓も割れてないし、家具や支柱が荒らされ、倒れていることも

なかった。

魔王様いわく。この部屋だけ修繕を施したとのこと。

つまり、ココが魔王様の部屋。個室という訳だ。


しかし、広い部屋だな。20畳くらいはありそうだ。

奥には脱衣所もあるし。トイレもある。さすがは王室。



昨夜は気付かなかったが、四隅の机上、大量の本が積まれている。

まだ睡眠中の魔王様を起こさぬよう。静かな足取りでソコへ向かう。


「んー。読めん。」


タイトルすら読めない。英語でもないし。異国語でもない。観たこともない字の本が

乱雑に積まれている。


まぁ、何らかの魔術書なのだろうが。今後の事も考えると文字を習う必要はあるな。

魔王様に教えて貰うか。


「ん?コレは写真か?」


机の右隅。写真立ての存在に気付く。この世界に写真というモノが

存在していたのにも驚いたが。その中に映る幼女の姿にもまた驚いた。

写真の中に映る幼女…モルガナちゃんの姿は出会って見せたことのない

無邪気で無垢。子供が見せる笑顔だったからだ。


「両端にいるのがご両親か。」


片方の男性は筋肉質で頭には大きな角と牙。顔は厳つくヤクザの首領(ドン)のような印象が

強い。この男性が魔王と言ったら間違いなく信じただろう。

もう片方の女性はモルガナちゃんが大きくなった姿を想像した。

ただ、今のモルガナちゃんのような尖った感じは見えなく、優しい笑みが心を揺らす。

耳が尖ってるのを見るとエルフなのだろうか?

そういえば、モルガナちゃんにも角が見えない。母親の血を濃く引き継いだのだろうか?

訊く事が多いな。

頭を掻きむしりたくなる。


思えば、今日中にやらなくてはならない案件。クライアントへの連絡等。あっちの世界の

仕事を残してココに留まっている。

フリーランスの重要事項の一つ。信用信頼は今日が終わればガタ落ちである。

また直すのにどれだけの時間と結果が必要か…。

考えただけで胃が痛くなる。


「本当にこの選択で良かったのか…。」


一晩経って。睡眠を終えた脳で改めて思ってしまう。昨夜は疲労と勢いに任せて

あぁは言ったが。冷静に考えたら、魔界を救って何になるというのだ。

元の世界でそんな事を言っても笑われるだけだ。

金だって貰える訳じゃない。全てを投げ捨てて俺が動く意味ってあるのか?


「………」


…今ならまだ間に合う。どうにかして元の世界に今日中に還れれば何とかなる。


「……」


大丈夫だ。もう関わる事、なんて絶対にない。

召喚は運だって言ってたし。また召喚される確率なんて宝くじを当てるより難しい

筈だ。


「…」


そうだ。こんな国。魔王なんて…


がしゃっ。


!?


手から写真立てが零れ落ち、少し激しい音が場に響く。


「しまった!割れちまった。あー、絶対。モルガナちゃんに怒られるよ。  ……!?」


写真に映る両親と目が合ったような気がした。まるで逃げようと考える俺を見透かす。

そんな奇妙な感覚が身に走った。


「……はぁ。俺は何てことを考えてんだ。」


今までの自分の思考が本当に恥ずかしい。確かに元の世界での仕事。クライアント様は大事だ。

けど、ソッチは俺がいなくても()()()()()


けど、()()()は俺しかいない。それにまた裏切ったらモルガナちゃんはどうなる?

精神が崩れ、自ら命を落とす可能性だってある。

そんな未来。絶対にあってはならない。


「…ちょっと。何してるの?」


!?


写真立てを落とした音で起こしてしまったのだろう。眠そうな眼を擦る

パジャマ姿の魔王様が俺に声を掛けてきた。


改めて見ると。まだまだ子供。小学生低学年くらいの女の子だ。

こんな子供を俺は裏切ろうとしていたなんて…。


「モルガナちゃん。」


「ん?」


「絶対、君を幸せにするから。」


グワァーー。グワァーーー。


怪鳥の鳴き声と共に、朝日が俺等を包む。

決意も固まり。この世界に来たんだなと実感すら今更ながら沸いた。


「…何を。いきなり。」


目前の幼女が何故か顔を赤らめている。


「ん?あぁ。決意表明みたいなもんかな?さっきまで馬鹿な思考に囚われてたから。」


「意味が分からん!朝から何を言っておるのじゃ!阿呆ッ!

そういう事は結果を出してからと昨日、言ったではないか!」


ん?何か話が嚙み合ってない?

今更ながら、俺と魔王様の会話のテンポがおかしいのに気付く。


「あーっ!」



さっきまで顔を赤らめ、あわあわ。していた魔王様が急に大声を上げる。


今度はなんだ?と思うも束の間。


「…写真。お父様とお母様が映ってるのコレしかないのに。」


「あ、ごめん。わざとじゃないんだ。でも、ほら。写真は無事だから。」


言って写真立てから、写真を取り出して見せる。が、その言葉は虚しく

一蹴された。


「うるさぁーいっ!もう、今日は主とは口をきいてやらんっ!」


「いや、それは困る。今日はモルガナちゃんに訊きたい事が沢山あるんだ!

君しかいないんだよ!」


「…ッ。主はまたそうやって。私を…。」


「え?何?何か言った?」


「もう、私に付いてくるな!風呂に入るから出ていけ!」


言って、俺は部屋から放り出された。


「…ッ。何、怒ってんだ?」


子供の思考は全く分からない。ほんと、子供は未知なる生物とはよく言った

ものである。 


 まぁ、仕方ない。今日は俺が朝飯作ってやるか。写真立て壊したのは

事実だし。謝罪の意味も込めて。


モルガナちゃんが風呂から出たら一緒に、昨日の食堂へ向かうとしよう。


グエェー。グエェー。


また、どこかで怪鳥の鳴き声が微かに聞こえた。



次回から話を盛り上げていきたいです!

また、是非。読んでください。

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