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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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二話 ~魔王の一皿~

魔界デートではありません。すみません…

                     02.


トントン。 ぐつぐつ。 ジュワァ…


寂れた食堂に何とも香ばしい匂いが漂う。響く音も心地の良いものでソレだけで

料理人の腕が知れる。


「ほら、出来たぞ。食え。」


「あ、あぁ…。ありがとう。いただくよ。」


出来立ての料理が湯気を出して俺の前へ出された。蒸した芋にサラダ。メインはシチュー。

見た目こそ元いた世界と相違ない料理であるが。俺は知っている。

食材は全然、異なるモノであると。

食べて大丈夫か…?

作って貰ってなんだが不安になる。


「でも、驚いたよ。料理、好きなのか?」


そう。この料理を作ってくれたのは何を隠そう。俺のクライアント。改めこの国の王。

魔王様なのだ。


「別に好きでもなんでもないわ。やる奴等は逃げて行ったからな。私がやるしかなかろう。」


「…なるほど。」


今度は俺が何か作ってやるか。独身生活が長い故か、俺も家事全般は割と出来る。


「いいから。さっさっと食え。腹が減っておったのだろう!」


お玉を手にプンスカ怒る魔王様。どうやら作った料理を食べて貰いたいご様子。


「あ、あぁ。じゃぁ、いただきます。」


まずは湯気が漂うシチューをすくう。具材は豊富。野菜に肉がゴロゴロ乱雑に切られたモノが

浮かんでいる。食材の詳細は不明。だが、まぁ。火に掛けられているし。大丈夫だろう。

魔王様が言う通り、腹が減っているのも事実だし。食わない選択肢はない。


少しの不安はあるが、俺はシチューを口に運んだ。


ッ!?


「…ど、どうじゃ?」


人に料理を出したのは初めてだったのだろ。不安そうな声音が少し新鮮。


「驚いた。本当に美味しいよ、コレ。後でおかわり貰えるかい?」


「~~ッ!!」


なんか物凄く喜んでいる。褒められた事があまりなかったのかもしれない。

見ててほのぼのとした気分になる。


とはいえ、この料理が美味いのは本当だ。世辞を言った訳でも。魔王様の

ご機嫌取りをした訳でもない。


「この料理はモルガナちゃんが考案したのかい?」


可愛く喜んでいるところ申し訳ないが、気になった事は放っておけない

主義なのである。


「違うわ。ソレはココの(・・・)店主に教わった。食料の備蓄もその店主が

私に遺してくれたモノじゃ。」


どことなく哀愁が漂う声は何か訳がありそうだ。

思えば少しの疑問があった。

空腹を訴えた俺は何故か、街のこの城から大分離れた食堂に通されたのだ。

城の中にもキッチンはあるだろうし。何なら城から近い食堂を何か所も

素通りした。


「思い出の店なのか…?」


!?


確信を突いてしまったのだろう。魔王様の肩が上下に動いたのを俺は

見逃さなかった。


「…あぁ。ココの店主が出す料理はどれも美味しくてな。よく家族で来ておった。

店主は言っておったよ。料理で世界を平和にするんだってな。人間と魔族も

同じ生き物。美味い物食えば、手を取り合える時代が来るってな。」


しばしの静寂が、寂れた食堂を支配する。ぐつぐつと煮えたぎる鍋の音が

やけに大きく耳に響く。


「…優しい店主だったんだな。」


「あぁ。とても。でも、馬鹿じゃ。店主は私を逃がす為、自ら囮になって

勇者に殺された。私はソレをその樽の中で見てる事しかできなかった…」


奥の片隅に転がる数個の樽。その一つを睨む魔王様は当時の事を思い出してか下唇を

噛んでいた。

この荒れた店内を見れば何となく戦闘の具合は想像がつく。

いや、ココまで見てきた街の風貌でソレ(・・)は何となく想像はついた。

戦争というのは世界が変わってもロクなものではないらしい。


「…モルガナちゃん。シチューのおかわり貰えるか?」


「…え?あぁ、うん。」


二皿目のシチューはさっきより湯気が増しているように思える。


「あっつ!?」


「ちょっ、しっかり冷まさんか!」


そんな忠告を片耳に俺はアツアツのシチューを口に頬張る。


過去は変えれない。遺され、敗けた者は廃れ、消えていく。

そんなゲームがあってたまるか!


からんっ


「ごちそうさま…。」


さすがに口が火傷した。柄にもない事をしたなと。自分でも思う。

だが、時にはこういう目に見えたパフォーマンスは必要だ。

俺は改めて魔王様に目を向け、腹をさする。


「店主の想いは受け取った。このシチューで世界平和を目指そう。

店主の夢を俺達で叶えるんだ。」


「叶えるってどうやって…。それに私は別に世界平和なんてどうでも…」


「まずはこの店に誰でもいい。来訪者を招くんだ。」


「は…?何を…」


戸惑う魔王様の台詞を遮り、俺は続ける。


「俺達でこの店を経営させるんだよ!」


次回、三話めにして未定…です。

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