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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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二十七話 ~ 砂漠の国 オアシス 夜戦 ~

                       27.


魔族は人間と比べ、五感が鋭い。ゆえに視界不良の夜戦において有利になる。

また、夜は昼間と比べ隠密行動がしやすい。

今回、俺が夜を待ったのはそういった理由にあったが…。



ザッ。


シルバーの鎧に全身を包み、手には青。赤。緑…。それぞれの属性によるモノなのだろう。

光る剣を握っている。

その先頭には赤と青の光を放つ、二本の剣を持つ男が立っていた。


「けっ。アイツやるな。俺のブレスを防ぎやがった。」


「何で嬉しそうなのさぁ。」


「それよりどうするのじゃ?全員で突破するか?」


カルマとロデーの会話を他所にモルガナちゃんが俺に問う。


「それもいいけど…」


少し考える。


今、ココに最高戦力を投下した理由。

単純に考えれば、速攻で型をつけたいという表示。


だが、こっちは魔王の幹部が二人もいる。そのくらいの情報はあっちにも漏れている筈だ。

幾ら百を超える精鋭が集まったところで勇者を手こずらせた幹部だ。敵うと思っているのか?


それにこの中にはアイツがいない。


そこから導き出される解は…


「時間稼ぎか…」


「あ?」


俺の結論に全員が首を振る。


「多分だが、こいつ等は囮だ。」


「どういう意味だ?」


カルマが即座に問いを投げる。


「ココで時間を掛ければ俺等の負け。捕らえられた魔族は既に売りに出されてる可能性が高い。」


「なっ…待て。それでは私等は何の為に…。」


モルガナちゃんは分かりやすく絶望している。確かに今の話を聞けば既に売りに出されている

魔族を助ける等、ほぼ不可能だ。


「モルガナ様。大丈夫だよぉ。兵を送ってきたって事はまだ全て終わってないって事。だよねぇ?」


普段は天然だが、こういう時のロデーは冴えてる。


「あぁ。イレギュラーはあったが俺等の作戦は変わらない。砂の騎士団はカルマに任せる。

突破口を作ってくれ。」


「けっ。了解だ。正面を空ける。」


正面にはヨルガと数名の団員が立っている。それも当然だ。王宮へ行くには正面の門を

通らなければ行けないのだから。


「大丈夫ぅ?さっき止められたけどぉ?」


ロデーの天然の煽りがカルマを苛つかす。


「さっきのはただの挨拶だ。てめぇも焼き炭にすんぞッ!」


言ってカルマは大きく息を吸う。周囲の木々が揺れ、木の葉がカルマに集まる。

物凄い肺気量だ。


と、その瞬間。


色鮮やかな斬撃が俺等を襲う。言うまでもなく目前の騎士団が魔力を込めた斬撃を飛ばしたのだ。


が。


「なっ…!?」


ソレ等の斬撃が俺等に届く事はなかった。


「カルマは今、(マナ)を吸収してるんだよぉ。だから、来た魔力は全てカルマの糧に

なるのぉ。」


斬撃が消えた事に驚きの表情を見せているとロデーがその原理を説明してくれた。


「…なるほど。心強いな。」


さすがは魔王幹部の一人だ。強さが異次元級だ。


「なら、魔力無しの剣術なら届くのか?」


斬撃が消えた刹那。ヨルガの行動は早かった。魔法による身体強化だろうか?

人智を越えた瞬間移動で光らない剣がカルマの首筋を狙う。


にっ。


カルマはヨルガと目が合うと笑った。そして…。



炎大砲(サラマンダー)


ドッ!!!!


ヨルガを含め。その一直線に炎の大砲が放たれる。その威力はさることながら。

炎が消えた地面は何もない焼野原になっていた。大きな門も熱に溶け、大きな穴が

ぽっかり空いている。


「行けッ!」


カルマの声が大きく上がる。


「ありがとぉ。」


「任せた。」


「死ぬんじゃないぞ。」


俺等はそれぞれに言葉を残し、カルマが作ってくれた道を駆ける。


「そう簡単に通す訳にはいかねぇな。」


「なっ!?」


横からヨルガの声と共に鈍く光る魔剣が俺を襲う。

あの咆哮を防いだのか?


炎の弾丸(フラン・バレッド)


ガキンッ。


俺に迫っていたヨルガの剣は飛んできた炎の弾丸を防ぐので動きを止めた。


「俺を無視してんじゃねぇぞ?」


カルマは手を銃の形に、笑みを顔に刻んでいた。


「…まぁ。一人、足止め出来りゃ。十分か。」


去っていく俺等を見ながらヨルガは呟く。


「あ?」


「いや、こっちの話だ。それより驚いたぜ。魔族にも仲間意識みたいのがあったんだな?」


戦闘前の雑談。否。時間稼ぎ。先ほどの大技で四分の一の団員が消えた。

隊列を整える時間がどうしても必要だった。


「…。ねぇよ。んなもん。」


カルマはヨルガの狙いは分かってはいたが。敢えて会話に乗る。

その理由は単純に戦闘を楽しみたいという我欲にあった。


「ただ、俺は魔王の幹部だ。王がやると言った。俺がココに居る理由はそれだけだ。」


「ほぉ。あの小さい娘か?えらく高く見積もってんだな。」


ヨルガは強い相手か否かを見極める事には自信があった。だからこそモルガナを目前の強者が慕う

事が素直に疑問だったのだ。


「お前()自分より強い奴にしか従わないと思ってたぜ。」


「お前の目は節穴か?」


「は?」


「俺等の王は誰よりも弱い。」


「お前、何言ってんだ?」


そんな言葉を無視してカルマは続ける。


「弱い事を知ってる奴は誰よりも強ぇんだよ。」


隊が整った事は肌で感じとれた。会話の意味は終わった。元々は時間稼ぎの意味のない会話。

だが、ヨルガはこの短い会話の中で目前の男がただの戦闘狂でない事が分かった。

分かってしまった。


「お前とは酒の席で会いたかったかもな。」


「けっ。奢りなら付き合ってやるよ。」


数秒後。炎と斬撃。轟音が響き渡った。

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