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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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二十二話 ~砂漠の国 オアシス  交渉~

                     22.


勇者と呼ばれる者には確かな才能があった。天から与えられた才能。天才というヤツだ。

逆に言えば、凡人はどんなに努力しても勇者と呼ばれない。秀才止まり。

勇者とその付き人には分厚い壁がいつもそこにあった。


「魔族の事を教えろだぁ?」


ヨルガと呼ばれた男性が見るからに警戒心を高め、睨みつけてくる。

それもその筈だ。いきなりこの国の禁句みたいな事を口にしたのだ。

怪しまれるのも無理はなかろう。

だが、ここでビビッてる場合ではない。


「はい。実は私、とある本を書いてまして。今度は魔族の事をネタにするつもりで

各地、取材をしてるんです。」


俺は一冊の本を取り出す。『魔術と魔法の違い』という本だ。著者名は勿論。俺の名前では

無い。だが、この世界に情報を調べる手段はない。俺がこの本を書いたという証明は出来ないが、

逆に証明する手段もないのだ。

そしてこの本の作者は魔界にある多数の書庫で一冊だけだった。

つまり知名度がない。顔を知っている者はそうそうにいないだろう。


「あんたがこの本を?」


案の定、疑いの目はあるが。ソレを否定もできないといった感じだ。


「そんな建前はどうでもいい。アンタに情報を教える理由が俺達にはない。

分かったら他を当たれ。」


ローブの少年は俺をそう言って突き放す。だが、ソレも想定内。

それどころか、この二人は魔族の情報を知っているという事が分かった。


「勿論、タダとは言いません。コチラも有益な情報をお教えします。」


俺は他に聞かれぬよう、声のボリュームを落とした。

コレはあたかも貴重で大事なモノであると二人に分からせる為だ。


「何だ?つまらんモノだったら容赦しないぞ?」


ローブの中から見える目は鋭い。見えないが魔力を放出して威嚇してるようにも感じる。

片方の男も同様。壁に立てかけてある剣を気にしている。

虚偽と判断されれば命は無いと言う無言の脅しだ。大抵の者なら、尻尾撒いて帰るだろう。


「その前に確認です。お二方は王宮関係者。しかも上級職の方で間違いないですか?」


その言葉にピクリ。二人の眉が動く。


「だったらどうした?」


この剣を見ればそんなの誰でも分かるだろ!とでも言いたげだ。

確かにこの世界で剣を所持する者等は、限られるだろう。

だが、二人が反応したのは上級職という言葉だ。剣だけではソレは分からない。

なら、何故俺にソレが分かったかというと幾つか理由はあるが。

簡単に言えば態度だ。二人は明らかに俺を下に見てる。

いや、この店で自分等が誰よりも強い。偉いという自負を感じられる。

そんな奴等が一般兵な訳がない。


「いえ、別に。ただの確認ですよ。」


ジャブは上々か?

コレで俺の事を少しは只者でないと思ってくれた筈だ。


「では、はじめにコレは他言無用。他者への共有も禁止でお願いします。」


情報の価値は前段階で作るのが鉄則だ。俺は神でも魔法使いでもない。

手を鳴らすだけで、水を金には出来ない。だが、水を金にする事はできる。

話術を使い。水を売るだけだ。

今回に関しては、水が情報になっただけ。


「あ、あぁ。分かったよ。それでなんだよ?」


ヨルガと呼ばれた男はやりやすい。既に情報を欲しがっている。

問題はローブの少年だ。未だ警戒のオーラが消えてない。


「では、最後にもう一つだけ。お二方は魔界までの行き方はご存じですか?」


!?


二人の反応は目に見えて明らかだった。ローブの少年もこの言葉には冷静さを崩した。


「お前、魔界への行き方を知ってるのか?」


ヨルガは俺に詰め寄る形で問いを投げる。だが、コレも情報だ。

そう、簡単に答えては損だ。


「先に聞いたのは私ですよ?」


「ッ…。ぐぬっ」


ヨルガの悔しそうな表情を見て、ようやく胸を撫でおろす。

貰う側から与える側に立場を変えた。こうなれば後はやりやすい。


「…知らない。魔界へのルートを知る者は勇者等だけだ。」


「リオンッ!いいのかよ!」


男は少年の解答に声を荒げる。リオンというのかこの少年は…。


「良い。教えてどうこうなるわけではない。それにコイツが魔界の行き方を知っているなら

ソレは勇者がいないこの国では有益だ。」


「それはそうだが、まだコイツが魔界への行き方を知ってるなんて…」


ばさっ。


俺は背負うリュックの中から数枚の地図を卓上にばら撒いた。


「まさかコレ…」


男は机に散らばる地図を手を震わせながら持つ。ローブの少年も平静を装っては

いるがその地図を見る目は真剣だ。


「はい。これ等は魔界へ行く為の難所。ソレ等の全体図が示された地図です。」


俺は営業スマイルを顔に浮かべ、再び交渉を持ち出す。


「そちらの地図は、貴方方が知ってる魔族の情報を提供して下されば差し上げます。

勿論、無いとは思いますが。その情報に虚偽が交ざっていたらこの地図は回収させて

頂きますので。ご理解下さい。」


俺に力はない。だが、言葉で圧を掛ける手段は幾らでも知っている。

二人はそれぞれ視線を交わすと。小さく首を縦に振った。


「…座れよ。」


男はぶっきらぼうに手前の席を勧める。その表情に先程までのモノは見えない。

そして数秒。二人はようやく重い口を開いいてくれた。


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