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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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二十一話 ~砂漠の国 オアシス 酒場にて~

                   21.


古来より情報を得るなら酒場に行けという伝えがある。ソレは酒場には様々な者が集まり、

酒に酔い、口が軽くなるからである。だが、全ての酒場がそうかと言われればそうではない。

人が少ない酒場ではそういう目的に不向きと言えた。

つまり、情報が欲しいなら人が多い人気店に行けと言う話である。


…ガヤガヤ。ワハハッ。


会話と笑い声。メニューを頼む声に料理を運ぶ店員さん。

店は賑わいを見せていた。


「…よくこんな店、知ってたな。」


卓上には葡萄酒のボトルが二つ。木苺のジュースが入ったグラスが一つ。

肉料理。パン。ピザ等。様々な料理が卓上を埋める。


「まぁねぇ。この国の料理屋は全部、制覇したかなぁ。」


変身魔法で容姿を変化させたロデーの姿は表現するなら美人秘書。

長い黒髪は後ろに一纏めにし、目には眼鏡。モデル顔負けの高身長。

因みにこのキャラのデザインは俺だ。

そんな美女が物凄い勢いで大盛のパスタを食べている。


カランッ。


また一つ、物凄い勢いで空の皿が生成された。


「おい、ロデー。それは私のピザだぞッ!」


キノコが多種多様に乗ったピザの一切れに手を掛けたロデーを見て、モルガナちゃんが

大きな声を上げた。


「あ、ごめん。でも、ピザは皆で食べた方が美味しいよぉ。それに無くなったらまた

頼めばいいしぃ。」


謝罪の言葉を口したロデーだが、反省の色が見えない。

そんな態度が気に食わなかったのかモルガナちゃんは更に大きく声を上げた。


「そういう問題ではないッ!そもそもお前、食べ過ぎだぞ!お父様にも言われてただろ。

自粛しろと!」


もっともな意見。

このままでは本当に店の食材が切れるまで食べ続けるだろう。

モルガナちゃんよく言った。と心の中で横に座る彼女を褒めていたが。

真正面に座る美女には何も堪えてなかった。


「店員さぁん。注文の追加いいですかぁー?」


気が付けば、ピザ以外の皿が全て空になっていた。

俺、まだパスタ一皿しか食べてないのだが…。


「ロデーッ!貴様ぁッ!」


モルガナちゃんは怒りを拳に、机を叩く。

呼ばれた店員さんも見るからにグッタリした表情だった。

こりゃ、また出禁喰らうな…。

払いはロデーだから文句は言えない。


「まぁ、二人は食べててよ。俺は少し席を離れる。」


この店に二度も来れないとなれば、行動は早い方がいい。


「あー、待って。」


椅子を引き、席を立った瞬間。ロデーが数枚。金貨を渡してくれる。


「いいのか?」


この金が何を意味するかくらいは分かっているが。ただでさえこの料理の数。

支払い大丈夫…?


「がんばってねぇ。」


そんな心配は無用だと、首を縦に振られ、小さく手を振って見送られた。


本人がああ言うのだ。信じてもいいだろう。

貰った金貨を握りしめ、俺は店内の奥に座る二人組に話し掛けた。


「すみません。この国で安くて信用のある武器屋ってどこにありますか?」


「は?誰だあんた?」


二人組は不審な表情で俺に顔を向ける。いきなり話し掛けたのだ。

その反応は当たり前だろう。


「あ、すみません。私、砂金の話を聞いてつい先刻。この国に来たんですが、お恥ずかしい話

武器を持たずに来てしまって…。見ての通り、鎧一つも持たぬ姿。こんな格好で砂漠に出ては

死んでしまいます。」


「武器も持たずにこの国に来ただ?怪しいな。お前、どこから来た?」


二十代後半と思われるガタイの良い男は予想していた台詞を俺に浴びせる。


「ウィルダンです。」


「ウィルダンだ!ここから何キロ離れてると思ってる!」


男の声は大きかったが、その両脇の席は離れていた。また、近くの席の集団の声はどこよりも

大きく。店内に俺達の会話が聞かれる心配はかなり低い。


「妻が魔法使いでして。お恥ずかしいのですが護って頂きました。」


言って、ロデー達がいる席に目を向ける。

二人は来た料理を一生懸命、口に運んでいた。


「ほぉ…。あんな美人があんたのねぇ…。」


男はますます疑わしいと言わんばかりの目で俺を見る。


「それに関してはお連れの方に聞けば、証明して下さる筈です。ですよね?」


俺がこの店に入った目的は勿論、腹ごしらえもあるが。第一に情報収集が目的だった。

その為、店内のリサーチはこの店に入ってずっとしていた。


客の特性。席の割り振り。何の目的で店に来たのか等。

ありとあらゆる情報を集結させた上で、この二人組に近付いた。


「…お前、見てたな。」


深々にローブを被る人物は軽く俺を威嚇する。声からして少年か…?

思ったより若そうだ。


「それはお互い様では?」


ローブから見える目は俺達だけじゃない。俺、同様に店内を常に警戒していた。

つまり、この者は只者じゃないと判断した。

ついで、壁際に持たれかけてある剣を見るに二人のどちらかが剣士。

そしてもう片方は恐らく…。


「ふんっ。まぁ、いい。要件は何だ?まさか本当に武器屋を紹介して貰いたいのか?」


少年の声は明らかに苛立っていた。だが、俺は営業のプロだ。こんな声には怯まない。


「それもあります。世話になってる妻に砂漠に咲くサボテンの花をプレゼント

したくって。私の妻、大の植物好きでして。あはは…」


勿論、嘘だが。ここで嘘と言っては感じが悪い。あくまで切り口はそうだが

本当の目的は違うと分からせる必要がある。

これは長年、培った話術による会話のコントロールだ。


「ほぉ、案外。愛妻家なんだな。お前?」


もう片方の男の警戒心は少し解けたと見た。


「あはは…」


軽く笑う素振りを見せながら、片方の少年の様子を見る。

信用はまぁ、されてないか。

とはいえ、全てを疑ってる訳ではなさそうだ。

今、本題を切り出すのはまだ早いか…?


「ボトル、空ですね?払いは私が持つのでご一緒しても宜しいですか?」


卓上には空のボトルが三本。グラスにはそれぞれ二つ。赤の液体が注がれている。


「そうか?俺はまぁ、いいが…」


「ヨルガ!」


少年の声が男の声を遮る。

なるほど、コイツはかなりの強敵だな…。

酔わせて、流れで訊く算段だったが、仕方ない。


「すみません。少し慣れ慣れしかったですね。下手な交流は無しでお伺いします。」


俺は呼吸を一つ。緊迫感を席に作り。こう続ける。


「魔族について何か知ってる事はありませんか?」


二人の空気が変わったのは言うまでもない。

さぁ、ここからが仕事の時間だ。

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