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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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十九話  ~砂漠の国 オアシス 着~

                     19.


この世界には人類が行ってはならない禁忌の場所がある。その一つが『蟻の砂』と呼ばれる

砂漠である。

一度入れば抜け出せない。正に蟻地獄。何人もの探検家が消息を絶った砂漠。

しかし、そんな砂漠を抜け、魔界へと辿り着いた者等がいる。後に英雄と崇められる勇者一行だ。

だが、その経路は記録にない。砂漠の出口は勇者等。または魔界から人間の街に行く魔族に

しか知られていない。



ガヤガヤ。ワイワイ。


「人がこんなに…。」


約、一ヵ月。魔界を飛び出して。ようやく俺達は人の住む街へ辿り着いた。

持ってきた飲食料は全て切れ、現地調達をするしかなかった。

ロデーの存在は言うまでもなく大活躍!

強さは勿論。水魔法を得意とするロデーの水には何度も助けられた。


「モルガナ様ぁ。くれぐれも変身魔法は解かないで下さいよぉ。」


「分かっておる。てか、私にはどうもできんじゃろ。」


「それはまぁ…」


街に着く前。モルガナちゃんはロデーから変身魔法を掛けて貰っていた。

魔力が無いモルガナちゃんには変身魔法が出来なかったのだ。

だから、相手に魔法を掛けて貰うという荒業で街へと潜入する事にした。

そして具体的な魔法が解ける時間だが…


「今から半日。とにかく宿を探そう。」


この状態でモルガナちゃんを街に居させるのは危険すぎる。とにかく何をするにも

策を練る必要があった。それに単純に一ヵ月にも及ぶ野宿生活で疲労はピークに達していた。


「それなら私に案内させてよぉ。この街には以前、来たことがあるからさぁ。」


耳、歯の尖りも無く。目は茶色。当然、ロデーも変身魔法を掛けている。

ただ、ロデーの場合は時間の制限がない。魔法が解けるのは自分で解除するか。

魔力が枯渇した時。それと 死んだ 時だ。


「なにからなにまで恩に着るよ。ロデー。」


当初、俺の考えはこの街を一人で見て回る事にしていた。

魔族に対する人間の仕打ちは文献で知っていたからだ。

モルガナちゃんはとりあえず砂漠に残し、街で聞き込み等をする予定だった。

勿論、その件に関してはモルガナちゃんには伝えた。

その時、モルガナちゃんは寂しそうな表情を浮かべていたが…。


本当にロデーがいなかったらこんなスムーズに事は運ばなかっただろう。

モルガナちゃんの表情も隠してるつもりだろうが。活き活きしている。

ロデー様様だ。


「いいよぉ。そんなぁ。私達、仲間でしょぉ?」


はにかむ表情かおが可愛い。人間の姿だからか、余計にそう見えた。


「ありがとう。」


心の底からの感謝の気持ちを短く、彼女に伝える。

そんな言葉に彼女はどこか満足そうな表情を返してくれた。



「…ところで、お金。よく余ってたねぇ。盗られたりしてなかったのぉ?」


宿への道中。ロデーが誰に対するでもない質問を投げ掛けた。


「あぁ、それは…」


「私のおこづかいじゃ。」


モルガナちゃんの声が俺の言葉を遮った。


「こう見えて、結構。貯めていたのじゃ!」


ふんすっ。と、鼻を鳴らすモルガナちゃんはどこか自慢げだ。


「えぇー。それは使っちゃ駄目だよぉ。君、モルガナ様にそんな大切な

お金を使わせようとしてたのぉ?」


ドン引きされた。


「いや、まぁ。それしか手段がなかったし…。」


俺だって子供が必死に貯めたお金を使わせたくはない。けど、魔界の金品は全て

盗られてたし。金になりそうなモノもなかった。

そう、苦渋の案だったのだ。


「もぉ。宿のお金は私が出すよぉ。前に潜伏する時に稼いだお金、少しはあるし。」


やれやれ。と呆れた表情で息を吐くロデー。


「すまない…。」


こうもロデーに頼り切る形になるとは…。

日雇いの仕事でも探して、美味い飯でも奢ってやらねば。

歯に小骨が刺さったような感覚だ。


「それより、まだかぁ?歩き疲れたぞ?」


この一ヵ月。ずっと歩きっぱなしだ。その思いが態度として現れるのも無理はない。


「もう少しだよぉ。安くて、綺麗な部屋なんだぁ。手続きも名前書けばいいだけだしぃ。」


「へぇ。詳しいんだな?この街にはどのくらい滞在してたんだ?」


「んーとねぇ…」


と、ロデーが考える仕草をした瞬間。



ドドドッと前方から大きな馬車が駆けてくる。

馬を操る男は一人。腰に剣を刺しているのを見るところ、衛兵か何かだろう。

そして後ろだが…。布で隠されてはいるが鉄の牢がチラチラ見えた。そしてその中も…。


「…モルガナ様。我慢してね。」


「……」


二人の表情が険しいのは言うまでもない。かくいう俺も似たようなモノだ。

俺に力があれば、あの馬車を襲撃して中の者等を解放した筈だ。

この時ほど無力な自分を呪った事はない。


ドドドドドッ…。


馬車が近付いて来る。その数秒の時間がやけに長く感じた。


ドドドドッ……    ド…ドド……



「……」


馬車が通り過ぎた。だが、俺達は誰一人として口を開かなかった。

遠のく馬車の音が小さくなる度に、心臓が締め付けられる感覚に陥る。

俺がそうなのだから、二人の気持ちは計り知れない。


コレが現実だ。捕まった魔族は人に買われ。飼われ。弄られ。傷めつけられる。

そんな想像が現実に見えた。


この二人が捕まったら…


そんな残酷な考えが頭に過る。


無言で歩いているとしばらくして宿屋と書かれた看板が見えてきた。

本当に疲れた。早く休みたい。全ての疲れを取り除きたい。

だが、忘れてはならない。この気持ちだけは。


一刻でも早くこの世界を変える。


俺は拳を握りしめ、二人と宿屋に入った。 

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