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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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十五話 ~魔獣の森④~

                    15.


ドラゴン。魔獣の中でもトップクラスの魔力と強さを持つ魔界の暴君。

また、性格は個体差はあれど。基本、獰猛であると記録に残っている。

集団行動を嫌い、単独で行動する事が多い。

ソレは自身が絶対的な強者と自負してのことだろうと予測される。

                  ドラゴンの生態記録より抜粋。



『ギャワァァァァァァーーーーーーーーーッッ!!』


その咆哮は風を呼び、木の葉を舞い散らす。


「ッ…」


攻撃としての咆哮ではないが、鼓膜が破ける程の轟音に思わず耳を塞いでしまった。

ソレは目前の人物も同じようで全く、同じ行動を取っていた。


「あー、五月蠅いなぁ。」


ドラゴンのブレスから助けてくれた美女は眉を潜める。


「助けてくれて、ありがとう。コレが無ければ今頃、消し炭だったよ。」


感謝の言葉を口に、未だ体を包む。水の球体に目を向ける。


「どういたしましてぇ。夕食前に人が死ぬのは流石に気分悪いからねぇ。」


おっとりとした口調で返事が返ってきた。

最初も感じたが、どうやらこの魔族は人間の俺に敵対心はないらしい。

ならば…。


「頼む!どうか、あのドラゴンを倒してくれないか?勿論、タダでとは

言わない。望むモノがあれば俺に出来る事なら何でもする!」


とにかく今は時間が無い。下手な揺さぶりやヒアリングをする時間は無駄だ。

こうしてる今もドラゴンは次のブレスの準備をしている。


「いいよぉ。てか、最初はじめっからそのつもりで追いかけてきたし。」


「え?」


間抜けな声が出た。こんな簡単に交渉が成立したのは初めてだ。


「言ったじゃん。夕食前だって。ドラゴンなんて久しぶりぃ。じゅるっ。」


ドーンッ!!


彼女が涎を拭う仕草と同時に第二のブレスが直撃。


「今日はご馳走だぁ。」


水の球は変わらず健在。ソレは俺を包むモノも同様に言えた。

何なんだこの水の球体は?

息は出来るし、会話も通る。魔法だとは思うが、ドラゴンのブレスを

喰らって無事でいられる魔法って。彼女は一体…。


「いや、てか。あのドラゴンを食べるつもりか?」


「そうだよぉ。前も食べた事、あんだけど美味しいんだぁ。他の魔獣肉とは

比べ物になんないの!」


涎をダラダラ垂らす姿を見るに。

彼女の目にはドラゴンが肉の塊にしか見えてないのだろう。


まぁ、倒してくれるならなんでもいい。


「とにかく、任せた。」


「了解ッ。」


そう言って彼女は一瞬でその場から消えた。


「ッ…」


水の球に彼女が飛ばした砂利が入る。

その脚力は魔族なら当たり前なのかもしれないが、化け物だった。

そして肝心の彼女はどこに行ったのかというと…。


「あははは。大きいなぁ。一人で食べきれるかなぁ?」


愉快に笑いながら、雲一つない夕刻の空にいた。


『ぎゅわぁぁぁぁッ!!』


ドラゴンは彼女を完全に潰す勢いでブレスの連射を浴びさせる。  が。


「あはは。元気だなぁ。君ッ。」


水の球に体を包む彼女は無傷。そして次に片手を上げてこう叫んだ。


「海王神のトリアイナ


大きな水の槍が一本。彼女の手に浮かぶ。

そして、その槍をドラゴンにめがけ…。


ドッッ!!!


『ギャワァァァァーーーッ…』


水の大槍に体を貫かれたドラゴンは悲痛の叫びを上げ、その場で倒れた。


「…マジか。」


ドラゴンの恐ろしさは身をもって知っていた。だからこそ。彼女の強さも分かってしまう。

こんな強い魔族を倒す勇者って、一体…。


「馬鹿か貴様ッ!…はぁ。はぁ。」



気付けば。息を切らしたモルガナちゃんがいた。

擦り傷や血が滲んでいる箇所がチラホラ見える。俺が見てない所で、頑張っていたのだ。


「主が死んだら…。主までいなくなってしまったら…。私は…」


モルガナちゃんの感情がダイレクトに伝わる。


「…ごめん。」


俺がでしゃばらず、出てこなければ。モルガナちゃんにこんな表情かおはさせなかった。

もっと、真剣に考えて動くべきだった…。


「でも、俺もモルガナちゃんが心配だったんだ。もしかしたらって思ったら。

考えるよりも先に体が動いてた。」


俺の行動は間違っていたのかもしれない。けど、後悔はしていない。

また同じ境遇になったとして。俺はきっと同じ行動をするだろう。

だから。


「モルガナちゃんが無事で良かった。」


心の底から安堵した。俺はこの子をこんなにも大切に思っていたのだ。


「…ッ。そんな事を言っても騙されぬぞ!主は毎度、毎度…。」


「あー。やっぱり。モルガナ様だぁ。」



声の方に目を向ける。

水滴に髪を濡らし、ドラゴンの尻尾をムシャムシャ食べている美女が立っていた。


「モルガナ様…?知り合い?」


「あぁ…。主を助けたのがコイツと分かったから。任せた。」


よく知ってる口ぶりだ。だが、モルガナちゃんの顔を見るにあまり良好な仲とは

言えなかった。


「あー。自己紹介とかしとくぅ?」


美女は手に持つドラゴンの肉を全て平らげ。ぺろりっ。舌で湿らせた口でこう言った。


「魔王様幹部の一人。ロデーだよぉ。よろしくねぇ。」

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