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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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十三話 ~魔獣の森②~

                      13.


魔獣。魔力を好み、独自の魔法を使用する獣。その生態は種類によって異なるが

多くは獰猛で狂暴と記録されている。

魔獣が人を襲う理由の詳細は不明。だが、魔獣の多くは人を自分より下と認識している。

コレは魔族を襲わない理由からこう推測される。

魔獣にとって魔力が無いモノは敵であり、魔力があるモノは味方なのだ。

                       魔獣の生態記録より一部抜粋。



「…はぁ。はぁ。」


魔界を出て、もう三日と経つ。しかし、未だ。俺等はこの森を脱けれないでいた。

ココまでモルガナちゃんには何度も戦闘をさせている。その疲れは日を増すごとに

如実になっていた。


「地図の通りだと半分くらいか…。モルガナちゃん。大丈夫?また休む?」


「いや、いい。」


「……」


毅然と振舞っているが辛そうなのは誰が見ても明らかである。

休ませて上げたいのだが、戦闘が終わる度に休んでいたらいつまでたっても

先には進めない。モルガナちゃんもソレが分かっているから無理を通しているのだ。

とはいえ、幼気な幼女に三日三晩。無理をさせているのは非常に心が痛んだ。


「モルガナちゃん。ほら、乗って。遠慮はいいから。」


「…はぁ。はぁ。は?」


その場で腰を下ろし、背中を向ける俺を訝しむ。


「何の真似だ?」


「見ての通りだよ。こう見えて体力には自信あるんだ。モルガナちゃんには

負担掛けてばかりだし。体力が回復するまでは背負わせてよ。」


若い頃は仕事でオールなんて日常茶飯事だった。そのお陰というか、体力は人並み以上に

ある筈だ。

それを差し引いても大人の俺と。子供のモルガナちゃんとでは体力に差があるのは

当然といえた。


「ふざけるなッ!私は魔王でぬしはその配下だ!あるじをおんぶ…背負うなど

あってたまるか!」


息を荒げながらも怒声を荒げるモルガナちゃん。まだ、そのプライドが折れていない

事に少し安堵する。


「だからだよ。王を支援するのは配下の務め…」


言って、言葉を止める。コレは交渉でも何でもない。この子にはいつ何時。本音で接するべきだと

思った。


「…というか、素直にモルガナちゃんが心配なんだ。

休ませてあげたいけど、この森で何度も夜を過ごしたくない。出来るだけ早く脱けたいんだ。」


「……」


背中越しでもモルガナちゃんが考えているのが分かった。プライドの高い彼女だ。

俺の背中に乗るなんて本当はしたくないのだろう。

だが、自分の事だ。体力。精神。共に限界が近いのは分かっている筈。


「…分かった。その背中に乗ってやる。」


そう言って、モルガナちゃんは俺の背中に体を預けた。これまで背負っていたリュックより

少しだけある重量が乗っかる。


「…その大丈夫か?重くはないか?」


照れくさいのだろう。コレまでの堂々とした態度とは異なる小さな声が

耳元で聞こえた。


「全然、重くないよ。安心してよ。」


実際、重くない。そりゃ、人、一人担いでる訳だから余裕とは言わないが。

前に移動させたリュックを三個背負うのと同じくらいの感覚だ。


「…そうか?おんぶなんて何年振りにされた。その…ありがとな。」


「…どういたしまして。」


しっかりしていたせいで忘れていたが、この子はまだ子供なのだ。

親がいたら甘えたいだろうし、頼りたいのが本心。

そんな想いが背中越しに伝わってくる。



「 …すぅ…すぅ…」


しばらく沈黙のまま道中を過ごしていると、小さな寝息が聞こえてきた。

おんぶをした事で張り詰めていた警戒心が解かれたのかもしれない。


俺は基本。どこでも寝れる体質だが、モルガナちゃんはそうでなかったのだろう。

三日間。あまり、寝ていないのは知っていた。ソレは単に枕が違えばなんとやらって

感じだと思っていたが。本当のところはそうでなかったのかもしれない。


寝ている最中。俺がどこかに行ってしまわないか。不安だったのかもしれない。

この子の過去はまだ詳しく知らない。けど、失った。裏切られたモノの多くは知っている。

何度もそういう経験があれば、自然。()()()()()()()()が強くなるだろう。


だから、今。人肌を感じ。俺が逃げない事を確信したこの子はようやく安心できたのだ。

寝顔が見えないので全てが想像だが。この規則正しく聞こえる寝息で表情は想像に難くなかった。


「…ゆっくり、おやすみ。」


俺は静かにそう背中に投げ。魔獣に出くわさない事を心より願った。



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