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レベル1の魔王様  作者: 猫屋敷 魂
第1章 魔族探索編

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十二話 ~魔獣の森~

                      12.


人類が魔界に到達困難とされる理由は二つある。

一つは経路である。長い砂漠を越え、極寒の地に耐え、迷路のような洞窟を

脱けなければならない。

魔族にはこれ等の対処法。攻略方法が伝承されていると言われる。


もう一つは魔界周辺を覆う大きな森である。通称『魔獣の森』と

呼ばれるその森は字が如く。狂暴な魔獣の多くが住処として居座っている。

魔獣は魔族を襲う事はなく。魔族と魔獣は昔から友好的だった。

ただ、全ての魔獣がそうではない。好戦的なヤツも中には当然、存在する。



「…導きに応えよ。聖なる流星群ホーリーステラ


無数の光の流星が大きな魔法陣の中から飛来する。


「グウェェー…」


魔狼と呼ばれる狼の集団は短い悲鳴にも似た鳴き声を上げ、

落ちた流星群の石に圧し潰された。


土埃が舞い、木の葉と枝が落ちる音が森に響く。


「お疲れ。モルガナちゃん。助かったよ。」


巻き添えを喰らわぬ様、遠くにいた俺は土埃を払いながら。我が主の元へ

向かった。


「怪我はないか?」


「お陰様でね。」


先ほど、モルガナちゃんが披露したのは上級詠唱魔法だった。

魔力が無いモルガナちゃんは自然の魔力を一箇所に集中させ、魔法を

形にする。上中下とランク付けされてるのはその大きさが主なものだった。

つまり、上にいけばいく程。魔力を集めなければならないという事で。

その集中力。精神力の疲弊は当然といえた。


「はぁ…はぁ…。一つの魔法を撃つだけでこの有様。やはり、勇者を倒すなんて

私には…。」


実践経験が初めてだったモルガナちゃんは、今ので現実を知ったのだ。


「いきなり大技を放てば誰でもそうなるよ。大丈夫。勇者戦になれば俺も協力するから。」


気休め半分。本音半分でモルガナちゃんのやる気を上げるよう試みる。

実際。獣と人との戦い方は異なると思っている。

対人戦では戦術がモノを言うだろう。そうなれば俺が参謀の役割を担う必要がある。

勇者との戦いとなれば尚更、モルガナちゃんを一人にはさせたくない。


「それはそうと。ごめんね。モルガナちゃん、一人だったらこんなに襲われる事は

ないんだよね?」


この森に入って、もう何度と魔獣に襲われている。その原因は正に俺。

人間だからだった。


「気にするな。それに魔族だからと襲われぬ訳ではない。魔獣は強い魔力を持つモノに

敬意を払うと言われておる。」


確かにそんな説明文を本で読んだ気もするが…。


「少し休憩しようか?モルガナちゃんも疲れたでしょ?」


疲弊した状態でこれ以上、進むのは悪手だ。モルガナちゃんも幾度の戦闘によるものか

身体。精神。共に疲れ切っているのが目に見えて分かった。


「あそこの木陰でちょと、休もう。」


「……」


返事をするのもしんどいのだろう。モルガナちゃんは脂汗が滲む顔でこくり。

小さな顔を上下に揺らした。


どさっ。


大きな木の下は思ったよりも涼しかった。というより、この森に入って太陽の光を浴びてない。

森というだけあって上空は木に覆われ。辺りは常に薄暗い。

早朝、森に入って。今がどのくらい時間が経っているのかスマホが無ければ

分からないでいただろう。


「モルガナちゃん、大丈夫?」


「あぁ…。心配掛けて悪いな。」


いつものキレがない。弱り切った彼女を見るのは何とも心が痛んだ。


がさっ。


「良かったらコレでも食べなよ。」


俺は、リュックの中から一つ。紙で包んだモノをモルガナちゃんに渡した。


「…なんじゃコレ?」


「昔、とある知人に習ったんだ。小麦粉とミルクはあったから。作ってみた。

クッキーって言うんだ。」


砂糖はなかったが、代わりに果物を使った。この世界の果物は想像以上に甘かったので

砂糖を入れなくても十分に甘さが引き立った。


「主が作ったのか…?」


「まぁね。疲れる旅に、糖分は必須だと思ってね。大丈夫。味見はしたから。

不味くはないと思うよ。」


「……」


さくっ。


少し見つめられた後。モルガナちゃんは不格好なクッキーを口に入れた。


「……!?」


その表情が全てを物語っていた。残りのクッキーが無くなるのが早かったのは

言うまでもないだろう。


「…帰ったら作り方を教えろ!絶対に!」


「勿論。」


いつもの元気なモルガナちゃんに戻った。良かったと内心、思い。

俺も水を一口、喉を潤す。モルガナちゃんにも水筒を渡し、腰を上げた。


「じゃぁ、行こうか。」


先はまだ長い。気を引き締めていこう。

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