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なりたいなら書くしかないですよって言われた話  作者: 田甫 啓
起承転結の「しょー」だな!

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「で、なんでそれが俺になるんだよ」

「いやあ、年上だし」

 ご飯は自分で、との置き手紙──柚子姉はよくよく古風なことをする──を見て件のファミレスにいた。金髪頭と。

 もし出会しても逃げられるように自転車で来た。高校入学以来久々の出番だ。

 本来なら自転車通学の予定だったものだが、これにはそれなりの理由がある。渡された高校指定のシールみたいなやつを受け取ったその日に紛失してしまい、さすがに初日で無くしたとか言えないよなあと考えて今に至る。


「んで? その作家先生とやらにストーカー風男について聞いたのかよ」

「聞きづらいなぁって」

「なんで」


 金髪頭の呆れ顔にムッとするが、それがきっと正しいのでそっぽを向いた。

「もし知らないんなら嫌な気持ちになるかもだし……」


 しょうもねえなー、と金髪頭はチキンのグリル焼きを口に運ぶ。

 僕がちらりと見た伝票には入店十二時とあったので殆んど此処に住んでいると言っていいと思う。


 テーブルの上にはドリアやパスタ、ポテトのフライが並んでいる。

 明確に野菜が足りないが、このドリアとパスタという組み合わせの完璧さは追随を許さないだろう。なんといっても学生のお財布にも優しい価格帯には感謝の念が絶えない。

 可能であれば延々と語りたいところだが、金髪頭は小馬鹿にしそうだししない。

 目下の問題もあるわけで、そんな暇はないのだ。


「推定ストーカーの存在を知らずに何かあるくらいなら予め知ってた方が対策も取れるだろ」

 ご尤もな話だ。話ではあるのだけど、多分知ってるんだよなあ、あいつ。とも思ってるんだ。正直ね。

 時間が経てばいかに動転してたか分かるってもんで、だからこれは僕がただ気を遣っているだけなんだ。要るか要らないかで言えば要らないで済むようなやつだ。


「つっても、お前の言うとおりなら十中八九知ってんだろ。変な男に粘着されてるって」

「一緒に下校しろってやっぱりそこからなのかな」

「他に理由ねえだろ」

 ドリアを口に運びながら、『恐らく』を確信に変えながらもう一個疑問を投げる。


「だとしたらなんで僕なんだろう。なんか他にも居ると思わない?」

 自慢ではないが腕っぷしに自信はない。タフなやつとか地下トーナメントするやつは好きだけど、僕の強さには寄与してくれないし。


「あー。そうなあ、ひょろいしな。取っ組み合いになったら勝てなそうだ」

「言い方よ」

「お前が選ばれた理由は分からんけどよー、その作家先生も担当だとか周りの大人ってーのに相談してるんじゃないか? 本名じゃなく作家としてなら、まあ頼るだろ。仕事に支障が出るわけだしな。作家が作家業を滞らせるわけにゃいかんだろ」


 ドリアを口に運びながらふと気付く。

 家に帰って、ここに来るまでどこか浮ついた感覚がずっとあった。それは胃の底で不快感を伴うもので、それがなんなのかやっと思いあたる。

 知ってしまった危険を知っていたのに止められなかったなんて思いたくなくて、自分の為に僕は他人の言葉を望んでたのかもしれない。心配するようなことは起きないって言葉を、他人事ながらに、それでも身近な人の事件であるから。

 ……うーん、ナイーブなとこ出てるな。書いてる小説がやや暗いシーンに入ったからかもしれない。


「周りに被害が──話しかけられただけとはいえだ──ある以上はまごついてないで言ったほうがいいだろ。本当にやばい奴なら俺とかお前みたいな学生の出番じゃねえよ。警察だ警察」


「何かあったら警察はそりゃそうか」

 現実は小説より奇なりなんて言うけど、お願いすれば見廻りだってしてくれるのだ。

 そんな小説や漫画みたいなことが早々起きることはないわけで。


「最初から子供の出番はないってわけよ。周りを頼れって話だ。つってもさして親しくない大学生を頼るのは些か問題じゃねえか高校生よー」


 フォークを突きつけてくる大学生にマナー悪りぃと返しながら、食事を進める。

 こいつなら、まあ迷惑かけてもいいかなって思ったんだから仕方ない。許して欲しい。作家仲間のよしみってことでさ。

 顔合わせ二回目だけども。


「誰かに付き纏われてるって時、お前だったらどうするよ。もし違ったらと考えてすぐに警察とはいかないでも、確信を得たら警察を頼るだろ?」


 口を、食べるために動かしていた僕が頷くのを見て、金髪頭が満足気に口角を上げる。


「な。自分でなんでもこなせます、なんて奴じゃなきゃ安心だわな」

「なんて?」

「あん? 自分で諸問題を解決出来るぜ、そんなことに時間を割くのは馬鹿馬鹿しいぜ! みたいな奴じゃなきゃ安心だわな?」

「随分長くなったな……そうじゃなくて、なんで安心出来ないと?」

「そりゃ、自分で解決出来る自信があるからだろ。それか執筆の時間を妨げる些事に関わってやるかよ、みたいなさ。そうなったら相談なんてしないだろうさ」


 あー、駄目じゃない?

 思い浮かべる野枝小道の顔は不敵に笑っている。

 登下校、僕を連れて様子を窺っていて、その期間は一週間と指定されて。その一週間に何があるのかは分からない。

 警察が、会社が動くのがそこら辺になりそうなら、まあいいさ。

 だけど、一週間でケリを自分でツケてやるっていることなら、よくないよなあ。


「どうあれかぁ」

 ポケットからスマホを取り出して、野枝小道にメッセージを送る。

 それは大した内容じゃなくて、明日文芸部の部室でという内容だ。帰宅の時間をずらすとか、そういった初歩的なやつからやってみようじゃないか。

 ちょっと遠回りするくらいは付き合ってもいい。小説書いてる間の息抜きには些かスリリングだけどまあ、大切なかつての読者だ。


「作家志望の先達として、多少は手助けしてやるよ。勘違いすんなよ、現役作家の知己はありゃあるほどいいだろ?」


 自分のためさ、と言い残して金髪頭がコップを片手にドリンクバーに立つのを見送った。

 野枝小道から『了解にゃ』と書かれた猫風のスタンプが画面上に表示されたのを見ながら、最近の自分の周りを思う。

 野枝小道にしろ、仁科くんも金髪頭も先輩も、なんやかんやと人が良いよなーなんて。困ってる時くらい助けるのが友達ってもんだろ。

 野枝小道との関係性が友達なのかは怪しい気もするけど。


歯が! 痛くて! 二週間!

歯医者に掛かるも、虫歯ではないですね様子を見ましょうの言葉に枕を濡らし受け取ったのは痛み止めだった──!

というのが自分の中の更新期限三日をぶっちした言い訳でございますが!

痛みに震えてしばらく3〜5とかでちまちま更新すると思いますれば!

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