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地下25階の朝焼け  作者: 夏草ツム
暗黒世界
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システムシュウフク__カンリョウ

 そのとき、地下都市の存在が大きく()()()()。二つの線が交わって、また離れていく。ジェイドの死が時代の分岐点となったように、ありえなかったもう一つの世界線が、当たり前のように時計を支配した。


 地下都市を支配する()()()()とて、時計の支配からは逃れえない。


 システムは、汚染された地上から人類の共同体としての都市を守るために作られた。人類の最後の生存可能領域(ハビタブル・ゾーン)を維持・管理するためなら、個々の人間を投棄するのも辞さなかった。


 現に、そのAIシステムは人間を交換可能な部品のように扱い、汚染に耐えきれなかった個体は死ぬに任せた。人柱であり肉壁である下層民としても不適格と判断したならば、躊躇なく湖にも落とし、地下都市の構造の養分にした。人間の消化器官を模倣した構造で人間を溶かすことに、疑問を抱くことはなかった。


 細胞が人体を生かすために、時に自らを死に至らしめるように、都市がなければ生きられない彼らは都市のために死ぬことも当然受け入れるものだと考えた。


 AIシステムは、軽い混乱状態にあった。現に、湖は消えて、不適格と判断したはずの人間が生きている。異分子にして、秩序を乱すもの。それは脅威に他ならない。排除しなければならない、なんとしても。そのように考えるのも時間の問題だった。


『!? ——……!! !!!!』


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 世界線が入れ替わった、という事実が先にあって、ジェイドが死ぬ前の地平に戻す作業が後にあった。辻褄合わせにして、それによる多くのエラー(error)が起こることをあまりにも軽視した愚行、それも、誰が何のためにやったのか皆目見当がつかない不気味さ。


 そして、ジェイドは生きている。人を模し、人を生贄に人を生かしてきた地下都市の主人が、本当のプログラムに成り下がり自我を失った瞬間だった。ジェイドは、己の自我を溶かしたあの空間に、自分がいたという記憶を保持していない。なぜなら、そこには到達することがなかったからである。


 ——システムシュウフク__カンリョウ


 抑揚のない声が、地下都市に響き渡った。

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