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1.メンヘラ彼女と別れます

 



『あ』

『あ』『あ』『あ』『あ』『あ』『あ』『あ』

『ねぇ、しげくんゲージ減ってきちゃったから、今からぉ家来て?』


 一体こいつは今何時だと思っているのだろうか。夜中の三時だぞ。しばらく前に土曜日の夜は結構夜更かししていると伝えてから、深夜の静寂はこいつに奪われた。


 俺は何故こんな女と付き合うことにしてしまったのだろうか。いや、そんなことを考えても仕方がない。ゆりはルックスに関しては学園内でもトップを争うレベルなのだから、告白されて断らない男などいない。それに今の俺は高校2年生だが当時は高校入学後すぐの話だ。だれだって高校デビューしたいだろ?


『ねぇ既読は?』『起きてるんでしょ?』『ぉーぃ』『ぉーぃ』『ぉーぃ』『おーい』『おーい』『おーい』『おーい』『既読は?』『読んでょ』『読んで』『読んで』『ょんで』『読まないと死ぬよ?』『ねぇ死ぬ』『死んじゃぅ』『ぃゃだょ』『ゅり死ぬのいゃだよ』


 ええい五月蝿い。スマホで動画を見ているのに画面の上からチラチラと通知を知らせる表示がでてくる。


 あ、通知切ればいいじゃんとか思った奴出てこい。それがバレて一週間拘束された俺の気持ちを考えてからそんなこと考えろ、どうだ考えられないだろ!


 取り乱してしまったが、まさかゆりがここまでのメンヘラだとは知らなかった。というか、ゆりと付き合う前はメンヘラ彼女も良いかもしれないなどと考えていたが、当時の自分にこの様子を見せたい。


「クソが……なら死んじまえよ」


 頭ではそう考える。口ではそう言う。しかし手の汗は止まらない。体がゆりを失うことを拒んでいる、とはよく言ったものだが、まあ大差ないだろう。


 メンヘラ女に感染して、自分まで依存する一歩手前までやってきてしまった。本気で心配なんだ。自分が。


「このままじゃいかんよなぁ」


 別れるってのがベストなのはよく分かってんだけどなぁ。そのあと何されるか分からないしなぁ。とりあえず既読だけはつけておかないとなぁ。


『あ!』『しげくん!』『しーげ!』『しーげ!』


 体が震えた。ダメだ、コイツ、気持ち悪すぎるわ。もう耐えられない。思い立ったがなんとかって言うし。こう思えているのは、神様がこのままではいかんぞ、と伝えてくれているのかもしれない。ああ神よ。


『ゆり、ごめんもう耐えられない。別れよう、短い間だったけどお世話になりました。バイバイ』


 げ、やば。送っちまった。送信取り消しなんて、読んだ相手には無意味だし。月曜日学校に行ったら包丁で刺されるかもしれないわ。


『ぇ? しげくん? 今日は4月1日ぢゃないよ?』

『もうしげくんったらかゎいいんだから!』

『でもその嘘は面白くないからゼロ点です!』

『もぅ一度ゃりなぉし!』


 なんだこのバカおんーーじゃなくてゆりは。自分で今日はエイプリルフールじゃないって言ってるのに何で嘘にしてんだよ。てか、ブロックしないとやばいな。


 ラインをまずブロック!

 そしたら5秒後からDMの通知が鳴り始めたツイッターをブロック!

 今度はまたDMの通知が鳴り始めたインスタをブロック!


 よし、もう今日は動画が切り良くなったら寝よう。と思ったら。


 携帯が珍しく電話の着信を受けた。ゆりと電話番号は交換していないから、おそらくそれはゆりじゃない。


 ってんなわけあるか! どこのどいつが午前3時に電話入れてくるんだよ! メンヘラ女は侮ってはいけないらしい。


 即切り着拒。


 先ほどまで俺の彼女だったメンヘラ女、古川ゆりから逃げ切るのは至難の技だと、俺は車に酔って吐く直前と同じくらいに未来を悟った。


需要があると判断したら続き書きます。もっとざまぁしろでも、もっとイチャつけでもご要望があればお教えください

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