第六話 結果と友達
前半試験、後半友達
次の試験は試験というのか分からないが、スキル鑑定試験となっており、持っているスキルを特殊な魔道具で見て貰う。恐らく最低限のスキルを持っているかの確認も含まれているだろう。
勿論持っているスキルを全てそのまま見せるなんて馬鹿な行動はしない。ここまでやばいスキル持ってるとか知られたら嫌な未来しか見えないしな。
「はい、此処に手を置いて下さい」
差し出されたプレート型の魔道具に手を置いた。
隣に置いてある水晶へ俺のスキルが映し出されていく。見えたスキルはこんな感じ。
特殊スキル 【スキル奪取】
スキル 【魔力操作lv9】【ステータスオープン】【身体強化lv7】【魔力感知lv7】【闇属性魔法lv9】
【幻影】で弄くってやったぜ。フハハハハ
【闇属性魔法】はよく使うだろうから無くさずに、大体の人が持ってるスキル以外は全て消して、lvも少し下げた。これだけしてもまだ強い方なので合格ラインは余裕で超えてるだろう。予想では入学希望者上位十名の中に入ると思っている。
最後はいよいよ知的能力試験だ。これは俺でもミスってしまえば、普通クラス行きとなる可能性がある。ただ、紙に答えを書いていくだけでこんなにも緊張するのは何年ぶりだろう。でもやっぱり試験というのは少し緊張して挑むぐらいが一番いいのかもな。
知的能力試験は無難に乗り切った。名前や受験番号の書き落としも無い。何問か解けないのはあったが、合格はしてると思う。
問題は特別クラスに入れるかどうかだな…。
明日、もう一度此処に来て自分が合格したかどうかを確認する。合格するとそのまま制服とバッチを貰える筈だ。
このバッチはシルバーバッチとゴールドバッチの二色があり、シルバーバッチは普通クラスの人が着け、ゴールドバッチは特別クラスの人が着ける物。つまり、貰えたバッチがゴールドバッチだったら特別クラス確定なのだ。ちなみにこのバッチ、裏側にはその人の名前と所持スキルが書かれてある。書かれるスキルは先ほど魔道具に映された通りだろう。基本、後からバッチの偽造は不可能なので、これを見せれば俺がスキルに関して嘘を言っていないというのは証明できる。
もし俺のバッチがシルバーバッチだったら如何しよう。
リアに近づくには特別クラスに入るのが必須だ。特別クラスに居るだけで接触の機会がぐんと増える。
なんとしてでも特別クラスに入らなくてはな。最悪、先生全員を洗脳する作戦も視野にいれとく。そんなのはしないに限るが…。
「帰ろ」
いいや。明日になったら分かるんだし今日は疲れたので早く帰って休もう。
外のボードには俺の受験番号がしっかり書かれてる。まあ、合格はしてないと話しにならんよな。大事なのはこの次だ。
俺は制服を受け取るために中にある受取所へ向かい、受付で名前と受験番号を言う。
「制服のサイズは…」
あ、そういえばサイズをここで言うんだったな。
ていうか、全部のサイズを用意してるのか?流石帝国はやることが違う。そんな金あるんか知らんけど。
「よっしゃ!」
何処を如何見てもゴールドバッチだ。見間違えはない。とりあえずこれで、リアへ近づくための第一関門を突破か。
あー、だるい。緊張が解けて今までの疲れがどっと来た。そういえば魔王ダンジョンの出来事から真面目に休憩時間を取った覚えが無かったな。今日はしっかり体を癒そう。学校が始まるのは来週なんだし、次の作戦を練るのは明日からでも余裕。余裕。
制服を取り、外に出ると前から見覚えのある奴が掛けて来た。
「よう!また会ったな!」
「お、レオンか。昨日ぶりだな」
「おうよ! で?結果どうだった?」
「フッ 特別クラスだぜ」
「おお!やったな!」
「そっちこそどうだったんだ?」
「ハッハッハッ 見て驚くなよ?これだ」
レオンはそう言いながらゴールドバッチを取り出した。
「マジか!?」
「どうだ!これが実力ってもんよ!」
本当にレオンは成績が良かったみたいだ。なんか疑って悪い。
そして俺たちは大魔法学校で憶えたいスキルや魔法を話し合った後、明後日俺の行きつけの店に飯を食べに行く約束をして帰った。…学校が始まるのは来週なんだし、次の作戦を練るのは明後日からでも大丈夫。…嘘じゃない。
今日はレオンと飯を食べる約束をした日だ。
俺は少し早めに待ち合わせ場所の店に着き、水をちまちま飲んでいた。
「ウォルお前来るの早いな。待ったか?」
「待った。腹がへってんだ。注文するぞ?」
「俺はウォルと同じのでよろしくー」
「分かったよ」
立ち上がってカウンターの方に行き、いつもの300zで買えるジャガイモが大きいカレーみたいなのを二つ金を払って注文し、テーブルに戻る。
「悪いな。金払わしちゃって」
「今から出す気はないんだな。お前らしいが」
「だろ?」
そんな会話をしながら待っているとカレーが運ばれてきた。
「これ旨いな。なんていうんだ?」
「カレー?」
「なんじゃそれ。まあ旨いからいっか」
カレーで憶えちゃってるから名前は知らない。注文も「おすすめで」と言うので知らなくてもよっかったし。
「そういえばレオンは戦闘試験を何で挑戦したんだ?」
「ああ、俺は槍を選らんだ。槍術は達人まで行ってる」
まさかの滅茶苦茶強かった。達人級だと武器の扱いは現勇者のリアと同じぐらいになる。リアは剣術が達人級だった筈なので、勇者の素質がない者で達人級は相当凄いのだ。まあリアは炎のエンチャントが使えるので、戦っても負けるだろうが、少なくとも学年十位には入りそうだな。
「そうだったのか。にしても達人って凄いな」
「そうだろ?頑張って練習したからな」
「旨かったなー。また一緒に来ようぜ?」
「そうだな」
カレーも食べ終わって解散になった。たまにはこう友達と会話しながら食べるのもいいな。
とにかく今日はもう寝て、明日からは学校の準備とかでもするかな。ん?あ、作戦ね。憶えてるよ。ちゃんと考えるから。
飯は次回でいいかなと思ってたんですが、結局無理やり詰め込みました。