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プロローグ

「ッ!?」


 急に来た痛みで目が覚めた。

 身体中の骨を金槌で殴られるような激痛が走り、床を転げ回る。


「あ゛ああぁぁぁぁ!!!!」


 激痛と共に脳に大量の知識や記憶がまるで忘れていたことを思い出したときみたく入って来るのを感じる。

 そして、それは勇者として過ごしてきた記憶よりも強く脳に焼き付いた。




「…………」


 もう、痛みが治まってから十分ぐらいが経っている。

 まだ体の痛みが少し残っているが考えることができる程には落ち着いてきた。


 信じられないかもしれないが俺はどうやら一度死んで転生したみたいだ。

 日本で過ごした16年と、こっちの世界【フェイニル】で過ごしてきた15年。二つの世界で受けた経験を思い出すことができる。まあ、日本では殺された記憶が邪魔して思い出しにくくて仕方がないが…いずれ慣れると思う。


 さらに10分経った。痛みはもう全くと言っていいほど無い。日本での記憶も普通に思い出せる。

 日本での名前はたしか、蒼井光磨(あおいこうま)。フェイニルではアントガー・ウォルコットという名前なので、蒼井光磨と名乗るのは無いだろうが一応。

 弟に甘えてくる可愛い姉が居て、少し親が愛し合い過ぎているような気もするが普通の家に産まれる。

 姉と母は優しく、それなれに楽しい生活を送っていた。

 だが14歳の時、母が亡くなった。買い物が終わった帰り道。トラックから俺を庇ってぶつかり、跳ねられた。母が跳ねられる直前に「自分の気持ちは大切にしなさい」と言ってたことははっきり憶えている。理由は知らんけど。


 それから俺はかなり落ち込み、中学を長期間休んだ。そしてできた心の穴を塞いでくれ、悲しみを少しでも忘れさしてくれるアニメや映画、ゲーム、小説に出会い、ハマりだす。多分その頃からアニメなんかの敵キャラ、悪役のことが好きになった。わらわら出てくる雑魚敵とかボスが頼りにしている中ボスとか後半に出る、今まで頼りにしてた仲間が実は敵だったみたいな裏切りキャラとか。勿論、敵キャラの中でも好き嫌いはあるが、

 兎に角そういうのが大好きになった。


 皆も思うでしょ? 敵がよく使う技とかカッコいい!って思うでしょ?催眠術でヒーローの仲間を操るシーンとかってカッコいい!って思うでしょ!? 魔王とかってカッコい――


 ん゛ん゛っ……     取り乱してしまって申し訳ない。話を戻す。


 そんな感じで残りの中学生活は友達と遊ばずに、趣味に没頭していた。


 そして、高校に入っても変わらず友達は少なく(喋り相手は居た)、学校が終わると寄り道せず家に帰り、何時ものようにヘッドホンを付けてアニメを見ていたそんなある日。


 俺は後ろから親父に首を絞められ、殺された。


 何故、殺してきたのが親父と分かるのかは、テレビ画面に反射して顔が映ったのと、首を絞めながら「お前のせいで、お前のせいで!」と言っていたので何度も親父の声を聞いてる俺からするとすぐに分かる。親父は母が大好きだったので、恐らく母の恨みとかだろう。

 姉は大学へ行き一人暮らしだし、親父に恨みを持たれてないから大丈夫だと思う。

 母が死んだのは俺のせいというのは、自分が一番理解しているので親父を恨んだりはしない。親父も辛かっただろうしな。


 こんな感じが日本での俺の生涯だ。思い出すと改めて転生した事に実感が沸く。


 ってか何でこんな薄暗いとこに俺は居るんだ? そんであの痛みは何だ?痛みのお陰で日本での記憶を思い出せたのもあるだろうが。

 立ち上がってみると体が重く感じる。


(何か変だな…力も出しにくい。あの痛みのせいか?)


 一先ず大事な聖剣を探す。


(あった…      …!?)


 聖剣を持って驚いた。何時も感じる力が感じなくなっていたのだ。

 俺が力を感じ取れ無くなったのか?それとも聖剣がぶっ壊れたのか?

 えっ、やばくね? 聖剣使えないと勇者の意味無いよ?


 とりあえず落ち着いてフェイニルで何したか思い出そう。

 えっと、確か俺には幼馴染がいて…




 …あ …途中まで思い出して気づいた。気づいてしまった。

 勇者とかって結構恥ずかしい。滅茶苦茶イケメンセリフ言いまくった気がする。「僕が皆を守る!」とか「勇者の名の下に!」とか。…恥ずかしすぎて死ぬ。また死ぬ。


 いやね、ここ15年間俺の性格って如何にも<正義>って感じでやってきてたんだよ。その頃は日本での記憶なんて無かったし、気にも留めてなかったんだけど。寧ろ正義みたいな性格の方が合っていると感じていたし。そもそも自分の性格を疑うなんてしない。


 恥ずかしくなり、途中で思い出すのを止めちゃったのでもう一度最初から思い出そう。

お読み頂き有難うございます。

文章についてアドバイス等をくれると助かります。

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