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熱中時代

作者: 水原 たか

 今、人生で一番といっていいほどに時間が自由である。

 もちろん、この時間を得るために、多少の犠牲を払っているが、「自由な時間」というものの前では些細なことだと考える。(本音は少々違うのだが、多少の強がりもサバイブには必要だと自分に言い聞かせている^ ^)


 今、以前より調べたかったことを図書館なので調べている。

 ありがたいことに、居住する近辺には資料を入手できる場所が多くあり、研究事には、もってこいの地域に住んでいる。


 だが、手に余るほどの情報の洪水のなかで、考えることがある。


 物事をあきらかにするためによく考え調べることが、調査研究の第一義である。しかし、強烈なメッセージ性の強い資料に出会うと、考えが傾倒していく(染まってゆく)ことに気づいた。

 これは誰にでも陥りやすいパターンだそうだ。長年やっている研究者でさえも、例外ではない。あることを調べ、ある事実(仮定であることが多い)にたどり着き、その考えに囚われてしまう。そうなると研究ではなく、欲求を満たすだけの探求になり、客観的事実をよりどころとしない自己完結の世界になる。

 資料を紐解く人間が一番陥ってはならないことだと、以前教わった。


 以下は学生時代師事した先生の言葉。


 あらゆる物事は一面ではなく、多角的に見る。今の時代の倫理観を持ち込まない。それは、大きな誤解を産み、事実にたどり着く足枷になる。そして、その時代背景を考え、辿り、知る。なぜそうなったのか、その地点だけでなく、その前に遡り原点を知る。そうしなければ、その地点で起きたことを理解できない。全ては「線」でつながっている。どんなことでもである。


 その時代その時代の考え方があり、時代背景がある。あらゆる面から考察せよ。

 資料を読み解く時は、常にこれを念頭に置いておくこと。と口酸っぱく言われた。


 近年、本屋でよく見かける題材がある。(その題材のことは、ここであきらかにする意味はないと思うから書かない)それらの本はある仮説を唱えていた。その仮説の出典を調べる。仮説を読み解くためには、そのよりどころとなるものを調べなければならない。

 全ての情報は一次情報を当たる。どのような権威ある者が書いた物でも、どこから引用されたのかは、必ず調べなければならない。それがただの所感なのか、事実に基づいた考察なのか。判断を誤れば、誤解を産み出し、事実から離れていく。


 一次情報が誤り(作為的)である可能性も、考えなければならない。二次情報を鵜呑みにすることは、無論危険であるが、一次情報でさえ、考察する必要が十二分にある。


 なにかしらの恣意的な判断から、事実を捻じ曲げることは往々にしてある。

 では、何が一次情報になるのか、そう思うかもしれない。そう、全ての情報には、絶対的な裏付けはないと心得ておく必要がある。証言はもちろん、統計データ(数値)、は必ずしも恣意的なものが含まれていないとは限らない。

 一面では正しく、他面では誤り。資料を紐解くとはそれほどナイーブなものである。(古い紙の資料は、本当に恐るべきほどナイーブ。以前、国会図書館で写しではなく、何の間違いか原本をわたされた時はヒヤヒヤした。100年以上前の本であり、本の虫も干からびていた)


 こうなると、資料を読み解くには、膨大な時間が必要になる。一人では、到底できるものではない。なので、研究室というものがあるのだが、、、私は研究室に入れるような才があるわけでもない。

 なので、亀のようにゆっくりゆっくり資料を紐解くほか方法はない。

 これで暮らして行ければそれに越したことはないが、そうもいかない。これを生活にするには、もっと没頭しなければならない。


 没頭すると、昼飯夕飯を欠かしてしまうことも多々ある。

 それでも足りないのである。才能があればと思うこともあるが、そんなのは言い訳に過ぎない。やりたいことをやるのに、才能がいちいち必要だったら私は何もできない。言のままにーー寝る才能もなければ、食べる才能もない、服の才能もなければ、家の才能(?)もないーー衣食住を奪われたらどう生きればいいのか。

 

少し極端ではあったが、才能がなかろうが「生きていくために」やるのみである。

 無論、この生きていくためには、お金を指すことではない。自分のやるべきことをやって生きるために、ということである。


 つまりは、夢である。


熱中、熱中、とあらすじであんだけ書いておきながら、本文には一文字も出ないという。我ながら笑ってしまう。

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