1話から26話までの、あらすじ。
久しぶりの更新の為、これまでのあらすじをまとめました。
田舎に暮らしていたエリー、ハンス、トミーの仲良し3人組。
10歳になり、エリーは鞭、ハンスは勇者、トミーは格闘術のスキルに目覚めたが、ハンスが勇者という特異なスキルに目覚めたことにより、ハンスだけ特別に王都に向かうことになり仲良し3人組は解散する。
ハンスが故郷を発ってから5年が経ち、エリー達の村は「勇者を生みだした村」として栄えるようになっていたが、エリーは世話になったお婆ちゃんによりよい生活を提供する為に、一攫千金の夢を見る。そしてそれを叶えられるかもしれないダンジョンに入る為、ダンジョンに入る免許を取得できる学校に通うことを決めた。トミーも偶然にも同じ時に英雄になることを目指し学校へと向かった。
トミーは村で騎士に鍛えられていたこともあり学校で活躍をするが、エリーは珍しい鞭のスキルの為、使える武器がなく落ちこぼれてしまう。同じ村の出身ということもあり対極的な立場となった二人ながらもトミーはエリーに世話を焼き、ベスという色街の鞭使いとエリーを引き合わせる。ここで、ようやくエリーはキャットオブナインテイルと出逢った。
だが、エリーがようやく手に入れたムチでできることはキノコを大きくすることだけだった。
その成果に落ち込むエリーだが、トミーの支えもありベスから鞭の極意を聞き才能を開花させはじめ、在学中にキノコを破裂させることができるようになった。
その茸の特殊な破裂に目を付けたのはダンジョン都市の貴族の中で3本指に入るエムネン家とエスデス家。
エスデス家のソレア・エスデスはトミーを子飼いにし、エリーも下働きとして一緒に手に入れようと考えたが、それはエムネン家の当主、メチヤ・ド・エムネンとエリーが偶然出会い、そしてメチヤのケツがエリーにシバかれて契約が決まった後だった。
エムネン家と契約することを決めたエリーは、早速ムチのスキルでできることを確認する為に、当主のメチヤ・ド・エムネンと、次期当主候補のルーク・カ・エムネンの二人と一緒にダンジョンに潜った。そしてエリーのスキルが茸の子種である菌糸の採取や、蛇の毒液採取に対して大変有用であることを知る。
だが、その採取においてメチヤのムチでシバかれたい願望が荒ぶったことでエリーは貴族の偉い人であるメチヤを鞭打たなくてはならない状況に追い込まれ、メチヤをそれはそれは鞭うった。
メチヤはほくほく顔でそれを許したが、田舎者のエリーは大貴族を鞭打ったことで精神に多大な疲労を感じずにはいられなかった。そんなこんなで目的を果たしダンジョンを出たが、そこにはトミーの姿。
ニッコニコの貴族二人と、ぐったりした様子のエリーを見て、トミーはエリーがダンジョンで貴族の慰み者にされたのだと思い違いをしてしまい激高し、二人に殴りかかる。
だが、ルークは相当な実力者でトミーは軽くいなされてしまう。
その場はエリーの必死の謝罪もあり、トミーの襲撃は無かったこととなった。
しかし、トミーの行為はソレア・エスデスにとって大きな問題となる行為だった。
街には10家の有力貴族があり、そんな貴族の中でもエムネン家、エスデス家、シコルスキー家の3家がその頂点を競いあう三つ巴の関係を築いている。
そんなエスデス家に飼われるトミーがエムネン家を襲撃してしまった事、そしてなかったことにされた事は、とても大きな失態であった。
さらに不幸なことにエスデス家は家督を継ぐお家騒動の真っ只中。姉一人、兄二人と競いあっていたソレアにとって自分の子飼いが犯した失態は、致命的な失態と言っても過言ではなかった。
現状、家督を継ぐ最有力候補である姉に失態を知られ、何もかもを諦め抜け殻となったソレアに対して、責任を感じたトミーは挽回の為に、そしてエリーを取り戻す地位を得る為にダンジョンに潜り、望むだけの活躍をすることをソレアに約束した。ソレアは、そんなトミーの姿勢に、なぜか頬が熱くなる。
約束を果たすため、そして妾や慰み者の立場にいるであろうエリーをエムネン家から救い出す為に、熱い思いを滾らせながらダンジョンに潜ったトミーは、12階で、またもメチヤとルークと共にいるエリーを見つけてしまう。
失態から今度は慎重にその様子を探っていると、エリーはメチヤの指示で12階の「酔いどれ茸」と呼ばれるモンスターに鞭うっているところだった。
だが、この酔いどれ茸。破裂と同時に、爆発的に酩酊効果のある胞子をまき散らし、その場にいたエリー、ルーク、トミー、それだけでなくエリーやトミーと交流のあったシコルスキー家と契約した槍使いのボブと、その先輩が酔いどれ胞子に巻き込まれてしまう。
そして酔ったエリーは、ムチを振るいまくり全員のケツを鞭でしばいて、アオォォン! と鳴かせた。もちろんメチヤも巻き込まれているが、メチヤは鉄壁の防御スキルにより、なんの影響も受けなかった。好きでケツをシバかれていた。
そのまま酩酊から寝落ちしたエリーには、その時の記憶が一切なかったが、その他の者は全員しっかり自分が何をどうしたかを覚えていた。
トミーはエリーにシバかれたショックと、また快感を感じてしまったことのショックなどでエスデス家に戻って眠った。ソレアが何か言っていたけれど寝た。すると翌日、鞭でシバかれたケツ部分から酔いどれ茸が生えていた。
ソレアはそのトミーの服から酔いどれ茸が生えているのを見て喜ぶ。なぜなら、それが地上での酔いどれ茸の養殖という現状を挽回する為の糸口といえる程の発見だったからだ。
トミーは如何ともしがたい不本意な成果に、またすぐにダンジョンに潜り始める。だが前程ただ深みを目指すのではなく、浅い階層であっても有用な発見ができることを学び慎重になる。そしてソレアも有言実行するトミーの姿に、またソレアの立場を取り返そうと頑張るトミーの姿に、心惹かれ始めている事に気がついてしまうのだった。
その頃エムネン家では、アオォォンと鳴かされたルークが何も覚えていないエリーに胸をなでおろし、メチヤが「エリーを酔わせればいいんだ!」と酒宴を開くことを決めルークに怒られていた。
もちろん服は洗われて茸は生えていない。
シコルスキー家のボブと先輩は茸が生えたけれど食べた為、酔いどれ茸の繁殖の糸口は、現在エスデス家のソレアだけが持っている。
また、遠く王都では勇者のスキルに目覚め修行を積んでいたハンスが、王国騎士団長を手玉に取る程の強さや礼儀作法を身に着け、アムー家に名を連ねることを王家から許されハンス・アムーとなっていた――
物語は、メチヤが酒宴を開くと決めた日の王都に続く。