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天声 -君を想うー  作者: 零
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暁天

やがて、薄く陽の明かりがさし始める頃、上杉軍は八幡原にあった。周りは川霧が立ち込め、視界が利かない。それでも上杉軍は粛々と進んでいた。そして、それは進軍からゆっくりと陣形を整える動きに変わっていった。

 だが、下々の雑兵には今回何故この時機に動いたのかも知らされては居ない。まして、この霧の向こうに何があるかもわからない。当然、黒風にも何も分からない。少なくとも、あの時、政虎と共に見た光景のことを考えれば、武田軍には何らかの動きがあったということだ。今、静けさの中にあるということは、それはまだ、上杉軍には影響していない。少なくとも、この、本隊には。しかし、それは嵐の前の静けさだ。影響しないわけがない。その波紋は、やがて本隊にも届くだろう。

 恐らくは、怒涛のように。

 黒風の脳裏を、あの冬の日の武田信玄の姿が掠めた。

(何故だろう)

恐ろしい気持ちの半分で、どこかで心を躍らせている自分がいる。何かが見られるという予感だった。あの二人が、ここでぶつかれば、今までに自分が見たことも感じたことも無い何かに触れられる。

 そんな、どこか子供じみた、予感。

 何かを破壊しても、何かが、失われるとも、それを意に介さない。純粋な、

 

 そして、昇る朝陽に照らされてゆっくりと霧が晴れていく。晴れた先に見えたものに、驚かなかったものは数少ない。


そこには武田の本隊があった。


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