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天声 -君を想うー  作者: 零
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去来

出陣の日、黒風はそっと春日山城を見上げた。

政虎の城。

さやのいるところ。

家のように、思えた所。

自分が、守らなければ、ならないもの。

その、象徴。


今までの夢のように穏やかな日々の思い出が次々と去来する。

「おい、行くぞ」

「あ、ああ、すまん」

後ろから小突かれ、黒風は慌てて前へ進んだ。

 隊列には何度も加わったのに、今、自分が胸に抱いている想いは、初めてのものだ。そのせいか、まるで初陣のような心持であった。

 初めてなのだ。

 生きて、戻りたい。

 そう思ったのは。


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