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天声 -君を想うー  作者: 零
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帰還

「あの時は、まことに申し訳なく……」

与四郎は刃に深々と頭を下げた。それに対して、刃は静かに首を横に振った。

「凡そのことは見当がつく。理由は、一つではあるまい」

「はい」

「言えないか」

「できるならば」

「許そう、などと言えるほど、お前に何かしてやれたわけではないからな」

「そんな、」

与四郎は驚いて首を横に振った。母の古巣であるという理由だけで置いてもらえた。育ててもらえた。様々な技術を体得できた。恩を並べたら尽きる事がない。

 しかし、それでも刃が、哀しそうに笑うのは、母の死の責を感じているからだろう。与四郎が孤児となってしまったのは、自分のせいだと。

 一座の中には、既に与四郎を知らない者も数名混ざっていた。だが、大半は与四郎を知っている者達で、そのうち何名かは、与四郎の母、ふたのはを知っている者だ。その者達は、少なからずふたのはの死に責任を感じていた。

「お前もここで稼いでいくか」

「お許しいただければ」

「こちらとしても助かる。それまで、少し皆に顔を見せてやってくれ」

そう言うと、刃は柔らかく微笑んだ。慈悲深い父親の顔そのままで。


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