1.運命の出逢い
ある一人の男が公園を通り過ぎようとしたとき、不意に袖が引っ張られました。
「ねぇ ねぇ おにいさん。わたしをひろってくれませんか?」
「…は?」
「そんなにつめたいめでみないでください。おにいさんはまいごのこどもをそんなめでみくだすんですね…。おにいさんならひろってくれるとおもっていたんですけど… あんまりです」
「…えっと、君は迷子、なんだ?」
「そうです。まいごです」
「おうちはどこかわかるかな?」
「いえは ありません」
「え…? ないの?…じゃあ君はどこで寝泊まりしてるの?」
「ここです」
「ここって… 公園で?」
「はい」
「君のお父さんとお母さんもこの公園で?」
「いいえ。りょうしんはここにはいません。どうやらわたしをすてていったようです」
「… 。ご飯はどうしてたの? ここに来てから何日? 」
「ごはんは、ここをとおりかかるひとたちからもらいました。ちょこれーと や くっきー がおおかったですが、たまに ばなな をくれるひともいて、にんげんのあたたかみをかんじました。 ここにきてから、かれこれ なのか(7日)くらいですね」
「これからもずっとここで過ごすの…は無理があるよね」
「はい。だからあなたにひろってもらうんです」
「う~ん……そっか。まぁ、日も暮れてきたし 今日は取り敢えず僕の家に来る?」
「ありがとうございます。
もしもあなたがひろいたくないといっていたら おおごえで さけぶつもりでした。おまわりさーん、ろりこん がいまーす って。
よかったですね。あなたの けいれきにきずがつかなくて」
「… ひとつ質問していい?」
「はい。いくつでもどうぞ。ただし でりかしー のないことをきかれたばあいなどは こたえません」
「… 。君ってさ、何歳なの?」
「じょせい にねんれいをきくのはしつれいにあたりますよ」
「女性…… 」
「はい。いっぱんに“じょせい”は せいねんにたっした わかいおんな のことをいいますが、ただ たんじゅんに おんな のことをさす ことばでもあるので、わたしはじょせいといえます」
「君 3歳くらいだよね…?」
「しつれいですね。ほんにんにきくんですか?」
「…じゃあ 誰に聞けと?」
「そういうのは、しらなくていいんです」
茜色の寒空の下、2人並んで男の家へと向かいます。