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Space.DUST  作者: Sharp♯
2/6

裏に潜む可能性は

 スペース・フライト・シップ本社、データ管理棟。


 セキュリティ管理ルームの中、数名がパソコンと向き合ってサーバー室の監視をし、また数名はイスを並べて横になり、目の疲れを癒していた。



「管理長、第二サーバー室から微小な空気の揺れを確認。」



 パソコンの画面を見ていた一人が、後ろを振り返って言った。



「どのあたりだ?」



 すぐさま管理長は立ち上がり、横になっていた管理員は体を起こした。



「三層目、Dサーバーの前です。」


「わかった。メインモニターを地図に切り替え、位置を確認しろ。」


「了解、メインモニターを切り替えます。」



 前方の大画面に、サーバー室の地図が映し出され、Dサーバーに赤い印が付けられた。



「全員、各パソコンで作業を中断、カメラの動態検知に切り替えろ。」



 管理長は張りつめた表情で部下に命令した。



「一、二は共に異常はありません。」


「三、四もです。」


「一から四層目のカメラは異常なし、か。」



 管理長の手元にあるモニターには、五層目、六層目共に異常なしの文字が点滅していた。


 彼は腕を組み、眉をひそめた。



「生体感知に切り替え!」


「「了解」」



 パソコンの画面上のカメラ映像が、白く曇る。



「反応は確認できません。」


「こちらもです、異常はありません。」


「じゃあ最後、床の感圧確認!」



 メインモニターに、過去一か月のサーバー室の床の圧力値変動グラフが映し出される。



「二週間前のメンテナンス以来、圧力の変動はありません。」



 管理長はその言葉を聞くと、大きな溜息と共に椅子にぐったりともたれかかった。


 半分体を起こしていた管理員たちは、また横になり目を休めた。



「またいつもの誤作動だな。」



 周りの管理員たちも、それぞれ途中やりだった作業に戻る。


 ただ、一人だけ、周囲を気にしながら端末に向かって文字を打つ者が居た。


[今から三十秒、機器をダウンさせる]


 男はその文書を送信するとすぐパソコンに向かい、コードを打ち込んだ。



「セキュリティ機器がダウン、三十秒後に再起動。誤作動による影響と思われます。」


「おう。」



 その男の声に生返事をした管理長は、相変わらずぐったりした姿勢でパソコンを眺めていた。


 この男は、続けざまにサーバーのネットワークを遮断し、電子ロックを解除して”SS\304\Jim\data\money”のデータを検索し、パスワードを入力、消去した。


 僅か五秒の事だった。


 すぐに、この男の端末にメッセージが送られてきた。


[削除を確認]


 この男は頷き、安堵の息を付いた。


 程無くして、管理長の元に電話がかかってきた。



「”こちらデータ管理ルーム、データ管理長。先程、五秒弱のサーバーへのアクセス拒否があった、なにか異常はないか?オーバー。”」


「あー、こちらセキュリティ管理ルーム、セキュリティ管理長。さっき装置の誤作動が起きた。その影響かもしれない。オーバー。」


「”データ管理ルーム了解、オーバー。”」



 管理長は電話を置くとすぐにイスを四つ並べ、顔に温めた濡れタオルを被せて仰向けになった。


 この男は任務を成し遂げた。


 大統領直々の”ジムの金銭データを消せ”の依頼を。


 今日という日のために、二年かけてセキュリティクリアランスを獲得し、S.F.S.(スペース・フライト・シップ社)の管理業に就いたのだ。


 この男”雇われ工作員”は、ただ金のために動く。それだけだった。

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