HOPE=希望
階段の下にある大きな空間。シェルターと言えるだけの頑強な作りになっている。
柊月夜の父 千夜の研究所だった場所。
そこには一機の古めかしいDNがそっと眠りについていた。
「月ちゃん 少しこの部屋に入っていて」
「うん」
シェルターの中にもうひとつのシェルターを作ることで最も頑丈になった部屋にいれる。
一秒だって月ちゃんの音が消えるのは嫌だけど・・・
急いで起動させなければ
最初のドライブ・ナイツ ホープ 希望を!
製造されて既に180年 眠りについた希望
ただ母なる宇宙を求めて飛び続けた
白と青で構成されたDN
ショルダーアーマーに書き込まれたHOPEの文字はかすみ、希望を失った様に思わせた。
それでも月ちゃんを守る最後の希望だ!
胴のサイドのパネルを開け、コクピットを開けるスイッチを押した。
しかし、ロックの解除された音だけでコクピットがあく様子は無い。
どうやら電力が足りないらしい。
仕方なく梯子を使って胴体に登り、胸の真ん中にあるハッチに手をかけた。
開けようとする健気なモーター音がする。
「一緒に引っ張るよ!」
全力で引くと軽く開いた。
「どれだけ非力なのよこの子は。それにしても紙装甲ね。今の機体じゃ考えられない」
そんな文句に怒ったのかモーターがぷすんと止まり閉まり始めた。
謝罪の言葉をかけつつコクピットに乗り込む
バケットシートは悪くない
観測者用の後部のシート周りの補強材の硬さを確認しつつ、月ちゃん守らなかったら許さん!と願いを込めた。シートに座り込み、ベルトでしっかりと固定する。
起動キーを握り
「希望!私に力を貸して!」
ねじる。
それに答えるように力強くアイカメラが発光する。
目の前のディスプレイに希望の文字が浮かび上がる。
達筆だ!と感動。
ロータリー型のエンジンは静かに、だが力強く全身の駆動系に力を伝えている
「反撃よ!と言えないところがさみしい・・・第二回逃走大会よ!」