最初の逃走
目指す地点はマンションから2.3km
最短ルートも何度も走ってチェック済
家事をしない専業主婦の底力です!
「月ちゃん 大丈夫?」
「うん いつもこれぐらい走ってるよ」
私は目的地までだいたい半分来たところで避難する理由を知った。
この爆発音は量産型DNがよく使うアサルトライフルのカスタムでつけられるグレネードだ。
防衛する側である大和自衛軍の使うべきものではない。
つまり侵略を受けココまで侵入されているのだ。
近くのビルが爆発、崩壊した。
土煙の中からでてきたDNは容赦無く逃げる人々に向けアサルトライフルの弾をばらまいた。
人から見ればあまりの大口径。死んだというよりも消えたという表現が適切だと思った。
きっと月ちゃんもみんな隠れられたと思っただろう。
でも月ちゃんだけは私が守る!
道路に倒れていたバイクを起こし、ついたままのキーをねじる。
大丈夫!生きてる!
敵のDNが私に気づいた。スミノフ製第二世代ネウストラシムイ。量産型アサルトタイプ。動きがぎこちなく不慣れなことがわかる。
「私に力を貸して!名も知らないバイク!」
月ちゃんを後ろに乗せ、アクセルを回す。
エンジンが暖まって敵がロックオンできるようになるのは知ってる。
経験の少ないパイロットに熟練者同様の性能を発揮させることをコンセプトにした第二世代DN。その特徴が熱源ロック式未来予測射撃。
正確な予測射撃は素人にありがちなばらまきよりも読みやすい。
バイクを自在に操り予測の位置をさける。
カーブの侵入速度もありえない域で倒れようとするバイクをさらにアクセルを回し無理矢理立ち上げる。
背中に感じる月ちゃんを全力で守り切るために危険域での走行を続ける。
道路を走る敵に加速を許さない細かいカーブでバイクを走らせる。
アサルトライフルの弾丸を避け続け目的地を目指す。
この時の私に誤算があったとすれば今回のスミノフ軍の侵攻作戦が本気だったと言うことだろう。
目的地の公園についた時には3機のDNに囲まれていた。