無人の救援
「月読。無事か?」
「千夜さん!」
「これから代わりのDNを送る。」
キョートシティーの真上にあたる宙域に千夜の乗る戦艦がいた。
レーダー撹乱剤をばら撒きスミノフ軍に発見されない様に低速で航宙する。
その戦艦のカタパルトから地上に向けて白いDNが射出された。
その白いDNは無人だった。
「月ちゃん。この鞄をもって!」
「なんのケース?」
「データよ。パパに渡して欲しいの。」
「えっ!?母さんは?」
再び上空から接近するものをレーダーが捉える。
土煙を上げて着地した白いDNは無人のコクピットを開けてホープに向けて手を伸ばした。
「早く乗り移って。」
「一人は嫌だよ!」
「ママもやだよ!でも月ちゃんが死ぬのはもっと嫌。だから先に千夜さんのところに行って待ってて。絶対にいくから。」
「うん・・・わかった。」
鞄を抱き、白いDNの手に乗ると白いDNはコクピットまで月夜を連れていった。
聞こえなくなる月夜の鼓動に泣きそうになった。
でも泣かなかった。全力で歯を食い縛って・・・。
白いDNのコクピットに座るとモニターにはwelcome Tukiyoと表示されていた。
「ようこそ月夜。エス・ケラーテのコクピットへ。」
「しゃべるロボット?」
「私は第三世代DN。しゃべるだけでなく考えることができる。」
「すごい!」
「すごいだろ?そんな私が猫型AIエス。第四フェーズだ。」
「かっこいい!」
「そんなに褒めるなこの野郎。せっかくだからお前に合わせてさらにカスタムしてやろう。真ん中あたりのレバーをしっかり握れ。」
「うん。」
ぎゅっと握ってみた。
「データ収集第四フェーズ終了。最適化開始。最適化完了。第五フェーズエス再起動。」
「脱出劇を始めるにゃ!」