希望VS黒鷲
発射台が視界に入る距離になった
「お母さん。ここで全部止めないと飛べないよ」
残ってる装備を確認しつつレーダーを確認する。星喰用弾丸2発、小型ビームチェンソー1本、EMPグレネード一個。
直前に停止させて近くで倒れているDNのショルダーアーマーには黒鷲のエンブレムが入っている。
今の装備でスミノフ軍最強の一角と言われるエースを叩き伏せられるだろうか。
そして、ある兆候が現れる。
レーダーに映る周囲を囲んでいた敵がレーダーの圏外に向けて後退し始めた。
代わりに、レーダーは上空より急速接近する物を捉えアラートを鳴らす。
「お母さん!チャンスだよ!これをやっつけたら飛べる!」
「うん。しっかり食いしばって舌を噛まないようにね!」
左手にビームチェンソーを構え、臨戦体勢を整える。
土煙を上げ、第二世代チョールヌィイ:オリョール 黒鷲が着地した。
希望と黒鷲が向かい合う。
「我はギャラック・ドボルスキー。貴君に降伏を求めたいが、そうもいかんようだな 。」
「そのようね。この子を宇宙にあげるまでは絶対に聞けない話よ」
「それでは、貴君を止めさせて貰う。武人としてお相手願おう!」
右肩のヘヴィバズーカで狙う。
しかし、狙ったところに既に希望はいない。
普通のDNにはできない空中での回避行動を行う希望。
熟練者であるほどその動きを予想できず対応に遅れをとる。
しかし、幾多の戦場を駆けたギャラックにとって、想定外は想定内。その場で相手を学ぶ。
希望も黒鷲の回避に必中をきする弾丸を放てない。
そうして、互いに一発も打つことなく戦闘開始から5分がたった。
「見えてきたな。しかけるぞ!」
「わざと見せてんのよ!」
黒鷲は星喰の照準の前に躍り出た。打たせる陽動だ。
それを理解して、相手のど真ん中に向けて星喰を放つ。
ギリギリで避けてからの発射時の硬直に対する攻撃こそ、ギャラックの切り札。
しかし、星喰は弾丸以上に空気ごと巻き込む面の攻撃だった。
「ぬおー!」
避けたはずの猛威は目の前にあった。
右足にさらに地面を蹴らせ右に回避するが、左足の膝下を喰われた。
そのまま倒れこむ。
しかし、終わってはいなかった。
倒れながら右肩のバズーカを放つ。
それを月読は余裕をもって回避する。
バズーカの弾は虚しく希望の横を抜けていった。
しかし、希望は後方から攻撃を受け、前方に吹き飛ばされることになる。