専業主婦の実力
山の中腹から出たホープを街の中に走らせる。
味方識別信号を探すも反応はなく、熱源レーダーや、音感センサーには、敵を意味する赤い点が大量に溢れている。
後ろからは既に5機を超えるDNが追いかけてきている。
ビル群を利用して、敵から直線的に見えない様にしているがレーダーまでは回避できない。
「このまま発射台に乗れば的にされちゃうだけね・・・」
「お母さん!あんな奴ら倒しちゃえばいいんだよ。」
戦場の相手を殺すことの是非を問わなくさせる空気が、娘にさえも影響を与えていることを感じる・・・
しかし、発射場まで距離もなく、敵を止める事の必要性がでてきた。
「私の腕があれば、敵を止める事もできちゃうのよ?殺す事なくね!」
ビルの上からブレードを構えって突撃をかけてくるスミノフ軍第二世代ネウストラシムイの斬撃を屈んでよけ、コクピットにカウンターの拳を叩き込む。
勢いのつき過ぎた敵機のコクピットが潰れない様に拳を引きながら、気絶するだけの充分な衝撃へと調整してある。
次は前方から火炎放射器を構えた敵が飛び出す。
X型スラスターを活用したバレルロールで火炎を回避しつつ腰にセットされている単発式ハンドガン星喰を抜く。
銃身のやけに太いそれは大口径のハンドガンにも見えるが、専用の弾丸はリング状で、内側は螺旋になっている。
周囲の空気を飲み込み、嵐の様に周囲の物を巻き込む弾丸を放つ。
その嵐を敵の右肩に向けて放つ。
右腕が武器やバックパックごと飲み込まれ、収縮した空間でぽんっと小さな爆炎を残して消えた。
腰部のマガジンから弾丸を取り出し、星喰に弾丸を込める。
左右から飛び出してくる敵に対して、ブレードで突撃してくる方に、あびせ蹴りで頭を吹き飛ばし、その間に、アサルトライフルを構える敵の足を星喰で喰らいつくす。
「吐きそう・・・」
「キャー!月ちゃん我慢してぇー」