第六地獄の開演
「月ちゃん しっかりベルトした?」
「全力でベルトしたよー」
そんな安全確認も五回目
まだまだ不安だけど
あの赤い死がいつここを襲うかもわからない
「じゃ外に出るからね」
搬送用エレベーターにのってスイッチを叩かせる。
次々に扉をあけながらエレベーターが上がって行く。
地上で待っているのはきっと地獄だ。
月ちゃんだけは守る!全力で!と決めたけど、今までの日常の一部だった人達が気にならないわけじゃない。
でも、戦うことを選べば、一番大事なものを失うかもしれない。
目標は、民間星間航宙船発車場。
預かってもらっている単機打ち上げ様ロケットを使って宇宙へ逃げること。
多くのステータスで第二世代に劣るホープだが、目的が星間移動の航宙速力は第二世代よりも有利と言える。
背中のX型スラスターはハンパないのだ!
逃走一択!他のものは見ない!
そう決めて最後の扉が空いたところで外に飛び出した。
地上に待っていたのは第六地獄 焦熱地獄だった。
全てが紅に染まっている。
溶けるか燃えるかしか許されない世界。
「これが人のすることなの!?」
ここに逃げるまでにも悪意を見てきた月夜でも、こんな悪意には耐えられなかった。
観測用後部コクピットは、地獄を余すことなく観測者に伝えていた。
早くこの地獄を出ないと月ちゃんの心が壊れてしまう
月夜は目標地点に向かってホープを走らせた