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自分を偽るのはやめましょう。

作者: ありま氷炎
掲載日:2026/04/25

「あーくそ、面倒くせー!」


 眼鏡を剥ぎ取り、彼女は髪をかき上げた。

 

「もう、我慢するのはやめた!やってやる!」


 両親に止められ、極力大人しく過ごしてたエステルは、とうとう我慢ができず、ブチ切れた。

 

「それ、貸しな」


 彼女の豹変に驚いていたクラスメートの男子から、剣を借りると彼女は走り出した。


「魔法、魔法。煩いんだよ。弱小魔法しか使えなくて悪かったな!」


 彼女は荒々しく剣を鞘から抜き取り、戦いに参戦した。


 突然加わった助っ人により、戦況は逆転。

 教師や優秀な魔法使いが手こずっていた、魔物をバッタバッタと切り捨て、学園に平和を取り戻した。


 魔法学園、魔力と爵位の高さは比例し、上位成績者はすべて高位貴族だった。

 魔力の低いものは子爵、男爵子女が多い。

 したがって、学園では身分は関係ないといいつつも、力関係が生まれるのは必須で、子爵、男爵は肩身の狭い思いをしていた。

 エステルは田舎育ちで、魔力が低い。

 生活魔法は火の魔法を少し使える程度の弱小だ。

 その代わり、彼女は腕っぷしが強く、父親の友人の元騎士に剣技を習っていることもあり、魔法を使わない戦いにおいて、無敵だった。

 現実に魔法を使わない戦いなどはありえず、彼女の剣技や体技は宝の持ち腐れだった。


 十五歳になり、貴族なら義務教育になっている魔法学院へ入学した。

 三年ほど魔法や貴族社会のことを学ぶ。

 エステルは両親にも頼まれたこともあり、当初は大人しくしていた。

 魔力の高い高位貴族は、子爵、男爵を馬鹿にしている者が多く、エステルは何度も拳を上げそうになったことがあった。

 しかし弟に宥められ、何度も答えた。

 弟はエステルと異なり、魔力が高かった。

 それは母である元伯爵令嬢の血が濃かったせいじゃないかとエステルは思っている。

 二人は双子であったが見た目はまったく異なり、弟は母似、エステルは父に似ていた。

 

 入学してから半年後、実習があった。 

 エステルの弟は男爵子息に関わらず魔力が高かったため、高位貴族から目を付けられていた。

 姉であるエステルはちょっかい出しそうな高位貴族に対して、拳を振り上げたが、弟の絶妙なフォローで曖昧にされた。

 殴られた高位貴族は殴られた記憶を失っており、今でも自分で転んだと思っている。

 その時にエステルの弟に看病され、変な情が生まれたらしく、エステルはそいつが弟に手を出さないように目を光らせいた。

 話は実習に戻る。

 実習の日、エステルの弟は魔法の集中攻撃を受けた。

 攻撃をすべて耐え、反撃の転じようとしている時、魔物が現れた。

 実習は突然実践になり、一部の教師が生徒を移動させ、残りの教師が魔物退治を試みた。

 生徒の中でも自意識過剰な高位貴族の子息は残り、魔物に魔法を浴びせた。

 しかし、その魔物は魔法が効かないタイプであり、絶対絶命に陥った。

 エステルは、剣を借り、参戦した。


 彼女の剣技に見惚れるもの多数。

 それは男子だけでなく、女子もだった。

 彼女の活躍により、魔力に偏った学園も方針を変えることになった。

 剣技も重視されるようになり、おかしな差別も減ることになった。


「エステル様!」


 あの日からエステルは自分を押さえることをやめ、少しでも頭良く見せようとかけていた眼鏡もかけなくなり、乱暴な言葉遣いに戻っている。

 それがかっこいいと女子生徒に人気になり、他の男子生徒からおかしなやっかみをもらうことになった。

 逆にエステルの弟は可愛らしいと言われるようになり、男子生徒の中では密かにファンクラブが作られてしまったようだ。


 (おしまい)

 

 

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痛快でした。ワクワクして読ませていただきました。
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