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【BL】勇者推しの俺が何故か敵対する魔王に転生してました。【全年齢版】  作者: のがみさんちのはろさん
二章

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第16話 【最悪の再会】



 海を渡るのは今までの山越えよりもずっとキツイな。

 疲れても降りることは出来ない。それに、段々と重たい空気が漂ってきてる。それだけ敵の本拠地が近付いてるってことだな。

 負ける気はしてないけど、手に嫌な汗をかく。

 この異常なまでに重たい空気のせいだろうか。どす黒い空気が肌にまとわりついて気持ち悪い。


「伊織、敵の場所の目星はつく?」

「ああ。クラッドの気配を辿ればいい。敵の体はクラッドの骨を使って出来てる。だから僅かでもクラッドの気配を感じられる」

「了解。それなら迷わなくて済むね」

「そもそもお前じゃないんだから迷ったりしない」

「アハハ、そうだね」


 蓮の肩をぎゅっと握り締め、俺はさらにスピードを上げた。


 段々と陸地が見えてきた。

 真っ黒な大地。真っ黒な雲。露骨なまでに暗黒。

 悪趣味だな。


「……伊織」

「ああ、分かってる」


 真っ黒に見えた大地の上。俺達を待ち伏せていたかのように、魔物達が群れを成してる。

 これも自称魔王の仕業か。明らかに俺達に殺意を向けてる。俺達が近付いてきてるのに気付いて、各々武器を振りかざしている。

 ふざけやがって。一年前、クラッドが何のために命を懸けて俺を呼んだと思ってるんだ。こんな無益な争いを産まないためだ。


「蓮。俺を見失うなよ」

「わかった」

「それから、絶対に殺すな。魔物は腕や足を切り落としたくらいなら死なない。再生できる」

「行動不能に出来ればいいんだね。了解」


 陸地に着き、俺は蓮を魔物達の中へと落とした。

 俺は空から自称魔王がいるであろう場所へと向かいながら、襲い来る魔物達の動きを止める。陸を移動する蓮は、ガッドさんから受け取った剣で敵の四肢を奪っていく。

 流れるような、舞うような、一切の無駄のない動き。目の前の敵を相手にしながらも、ちゃんと俺についてきてる。

 あの剣、本当に凄いな。勇者の強大な魔力は武器に相当な負荷がかかるのに、壊れる気配がない。むしろ吸収して力を十分に発揮してる。


 ひたすら前に進んでいくと、目の前に大きな城のようなものが見えてきた。

 見るからに禍々しい城。あの中からクラッドの気配がする。


「蓮!! 目の前の城が見えるか!」

「ああ、見えてるよ!」

「よし、じゃあ突っ込め!」

「了解!」


 蓮は全身に魔力を纏い、弾丸のように城の門を貫き、扉へと突っ込んでいった。

 その後ろに続き、俺も城の中へと入っていく。


 壊した扉の残骸がパラパラと降ってくる。

 城の中も真っ暗なのか。壊したドアから入る微かな光で、うっすらと見える程度。

 見た感じ、ここは王の間。薄汚れた絨毯が真っ直ぐと伸びていってる。その先にあるのは、おそらく玉座。

 俺達は一歩一歩、前に進む。


 いる。間違いなく、そこにいる。

 そいつは俺達が近付くにつれて、下卑た笑い声を零してる。


「ようやく来たのか。お前らが勇者と元魔王か?」


 人を馬鹿にしたような口調。

 喋ってるだけでこんなに耳障りな声は初めてだ。

 そいつが立ち上がる気配がした。俺らは警戒しながら、構える。

 周囲のロウソクが一気に灯り、部屋が明るくなった。

 突然入ってきた光に目が眩む。目を薄めながら、俺は目の前の敵を見た。


 見た。

 見て、しまった。


「……っ、あ」


 何も攻撃を受けてないのに、腹が痛くなった。

 吐きそう。

 体が震えて、声が出ない。


「伊織? どうしたの?」

「……っ」


 蓮が俺の異変に気付いて肩を支えてくれた。

 お前は覚えてないのか。

 そうか、別のクラスだったしマトモに顔合わせてなかったのか。

 でも納得した。コイツなら、確かにこの世界を滅ぼそうとするのかもしれないな。


「……加治」


 俺をいじめていたリーダー格、加治(かじ)だ。





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